デッキ解説 - スキドレTG(TGカオス)(2012.09.17)

先日の関西3連戦に向けて製作したTGデッキの解説記事です。
スキドレTG、TGカオスと呼称が色々あるようですが、今回の構築に関して言えば、別段カオス要素に気を配っている訳でもなく、スキドレもデッキの軸という訳ではありませんので、個人的にはただのTGデッキです。
環境メタを意識した部分が強いため、現環境仕様のメタビートとも言えます。
3連戦における成果は初日の僕の3位を皮切りに、使い手をアーサーに変えて残り2日を連覇、非常に満足のいく結果を得られました。

モンスター(16枚)
ライオウ×3枚
サイバー・ドラゴン
カオス・ソルジャー −開闢の使者−
カオス・ソーサラー
TG ワーウルフ×3枚
TG ラッシュ・ライノ×3枚
TG ストライカー
TG サイバー・マジシャン×3枚

魔法(5枚)
大嵐
死者蘇生
強欲で謙虚な壺×2枚
ブラック・ホール

罠(19枚)
奈落の落とし穴×2枚
聖なるバリア−ミラーフォース−×2枚
神の宣告
激流葬×2枚
強制脱出装置
リビングデッドの呼び声×3枚
スターライト・ロード
スキルドレイン×3枚
TGX3−DX2
TG1−EM1×3枚

エクストラデッキ
A・O・J カタストル
No.30 破滅のアシッド・ゴーレム
No.61 ヴォルカザウルス
TG ハイパー・ライブラリアン
TG パワー・グラディエイター
TG ワンダー・マジシャン×2枚
XX−セイバー ガトムズ
アームズ・エイド
ガガガガンマン
キメラテック・フォートレス・ドラゴン
スクラップ・ドラゴン
スターダスト・ドラゴン
ブラック・ローズ・ドラゴン
大地の騎士ガイアナイト

サイドデッキ
サイクロン×3枚
プロト・サイバー・ドラゴン
強制脱出装置×2枚
強制転移×2枚
次元幽閉×2枚
増殖するG×3枚
魔導戦士 ブレイカー×2枚


概要

破壊を効果のトリガーとするTGモンスターをデッキ基盤とし、最大値の10枚を採用しています。
これらをアタッカー兼壁として運用しながら計画的にサイクルさせ、後続のカオス・リビングデッド・DX2を活性化していきます。


勝利手段はビートダウン達成の1本です。
ラッシュライノとライオウ、それにサイバーマジシャンから繰り出されるシンクロモンスターらが攻撃の主軸となります。
主力モンスターの打点は1600〜2400。
環境の課題打点である2300〜2500(ギアギガントX・メガロアビス・マシンナーズフォートレス)を考慮すると、やや心許ない数値です。
特にスキルドレイン成立後は打点が物を言う世界となり、効果による巻き返しが不可能なことを考えればこの数値差は致命的な問題となりえますが、TG固有のサポートカードであるTG1−EM1がこの点を補います。
通常スキルドレイン系のデッキは、その発動状況における優位を保つためにバルバロスを筆頭とした高打点モンスターを採用する戦略が取られますが、今回の構築ではそう言ったモンスターの採択は行っていません。
相手の高打点は乗り越えるのではなく、このEM1で奪い取る狙いです。
高打点系のモンスターはスキルドレインの存在しない場面ではパフォーマンスの劣化が著しいことがほとんどで、効力に大きなムラがあります。
また2枚のミラーフォース・激流葬に加えてメイン次元幽閉まで存在する現在の環境では、モンスターに価値を置き過ぎる構造自体がリスキーな選択でもあります。
そこで、いっそ自分および相手の引きに依存しがちな高打点モンスターは放棄してしまい、スキルドレインの有無に関わらずパフォーマンスが一定したEM1を用いることで、ハマれば強いスキルドレインをあくまでデッキのサポートとして割り切り、それに依存しない安定感ある作りを意識しています。
またコントロール奪取の手法を取る事で、ビートダウン系列のデッキが苦手とするマシンナーズフォートレスの破壊に対する耐性面の克服を同時に実現しています。


構築における特徴

デッキからカードを加える効果のTGモンスターを主軸とする一方で、3枚のライオウを採用しています。
一見すると著しいアンチシナジーを形成しているように見える部分ではありますが、デッキ全体の趣旨という大きな枠組みにおいて、このライオウはむしろシナジーを発揮します。


元々ライオウと言うカードは何かのカードとコンボしたりするようなことが基本的になく、単一でのパワーを重視したメタ的な採択です。
投入を行う上で気にかける部分は「ライオウの果たす役割とデッキ全体の目的が共通しているか」です。
極端な話、エクゾディアを揃える事を目的としたデッキにライオウが必要とされることがまず無いであろうことはお分かりいただけると思います。
ライオウの持つ2つの効果は共に行動抑止の性質を持ち、その性質上カード枚数的なアドバンテージをもたらすことはほとんどありません。
みすみす損を負うぐらいならカードのプレイそのものを控えることが主流とされているためです。
結果的に期待できる成果としては、抑え込んでいる間に行えるビートダウン、つまり「ライフを奪う」という点に収束します。
そして、デッキの本筋がビートダウンにある以上、このライフを奪うと言う役割が最終的な狙いと合致するのです。

また、何かのカードとコンボしたりするようなことは無いと記述しましたが、単純に相性の良いカードは存在し、今回の構築の中ではリビングデッドの呼び声がそれに該当します。
環境上位デッキに当たるガジェット・水精鱗の2デッキはサーチ効果を多用する作りとなっているため、リビングデッドによるサーチ不可状況の維持は大きな制約を強いることができる上、サーチ効果にチェーンして発動できればアドバンテージさえ生み出します。
ガジェットはよくマシンナーズフォートレス特殊召還によるライオウ排除の後ガジェット召喚のアクションを起こしてきますが、ここにリビングデッドを合わせる事ができれば1:3交換が確定します。
水精鱗相手にも同様のアクションが可能で、ウンディーネアビスパイクからの流れに対し、狙撃兵の場合は対象となったリビングデッドを表にすることで破壊を免れながらコントローラーの回収を無効化したり、竜騎隊の場合は双方のサーチ効果を無効化できます。
モンスターを蘇生させると言う効果は本来攻撃的な面に影響を見せる行為ですが、ライオウの蘇生は防御としての機能も望めるのが優秀です。
特殊召喚を多用するデッキ相手には繰り返しの無効適用が可能で、1900の打点を活かしながら攻守両面での活躍を見せてくれます。
これだけの話であればライオウとリビングデッドを積む事でどんなデッキでも実現可能ですが、リビングデッドを活用し易いTGを基盤とする事で強気の3枚を採用することができ、結果戦略の軸に据えることを可能としています。



ライオウとリビングデッドの2つを除けば非常にオーソドックスな罠デッキの構成を取っていますが、その分だけ神の警告の不採用が目立つことかと思います。
スペースが無かった訳ではありません。ライフ消費が他のデッキ以上に厳しいという事情が存在したからです。
キルドレインを3枚採用している時点で一定の支出が確定していますし、主力の打点がそれほど高くないため戦闘で押し込まれる展開もままあります。
そうした場面においてはTGを裏守備でサイクルさせながら徹底した守りに努める訳ですが、守りに回れば回るほど神の警告の弱さは際立ち、相手の展開を止めに掛かっているにも関わらず、結果的にライフを失っています。
決して神の警告というがカードが弱い訳ではありませんが、ライフ支出の機会が他のデッキよりも圧倒的に多いこのデッキの性質上、上手く使える場面が少ないのです。
ライフ6000と8000では雲泥の差があり、6000をキル圏内とするデッキは多くあります。
(クロス+ギアフレーム+フォートレス=6600、無零怒+無零+九壱九+参謀=5900(こちらの場に存在するモンスターが攻撃力1600以下なら6000オーバー)etc)
キルドレインの支払いが噛んでいればボーダーはもっと下がりますし、発動がリスクを伴っていることに変わりはありません。
また大嵐をケアし、場と手札で2段階の罠を保持する基本的立ち回りを図る上でも、1度の崩しが死に結びつくかどうかは文字の通り死活問題です。
生きてさえいれば、相手の主力をEM1で奪い取ったり、5枚積まれた全体除去でリセットを図ったり、希望はあります。実際そうして勝ったゲームも多々あります。
パッと見は歪な選択に見えても、全体を通して見ればコンセプトに沿った取捨選択を行っているに過ぎないのです。

基本戦略

概要項でも述べたように、勝利手段はビートダウンのみで、そのため取るべき戦略は「効率よくライフを奪うこと」に絞られます。
攻撃の柱はライオウとワーウルフ・ラッシュライノと言った打点を有するTGモンスターの2本で、手札に引いたモンスター次第でプランが大きく分かれます。
前者ライオウを保有する手札の場合は従来のビートダウンデッキのように丁寧にモンスターを扱い、場の維持を重視した慎重な展開を心掛けます。
後者TGモンスターを保有する手札の場合は先のプランと対照的にアグロな動きを心掛け、引いてきたモンスターはどんどん戦線に送り込んでいきます。
本来ビートダウンの天敵とされる全体除去が0:1交換のボーナスとなるため、警戒も必要ありませんから徹底してダメージを重ねに向かいます。
攻撃の面は割と単調で、裏目が少ない分難しいこともほとんどありません。


一方、防御面に関しては非常に繊細で、緻密なゲームプランが求められます。
リストを見ていただければお分かりになるかと思うのですが、このデッキには能動的にアドバンテージを稼ぎ出す手段がありません。その発生要因は全て相手側のアクションに依存しています。
ゲームを決定付けるような一撃も無いに等しい(開闢エイドのみである)ため、一度付けられてしまった差を埋める手段が非常に乏しいのです。
ゆえに、相手の行動をよく観察し、致命傷を避ける慎重なゲームメイクに徹します。
この部分は非常に難易度が高く、TGのサイクル順序や墓地肥やし等計画性を必要とする過程が多くあります。
相手の脅威を目視してから行動に移っていてはいたずらにライフやリソースを失うだけでなく、手遅れになる可能性さえあるため、ゲーム展開を見通し、予測に基づいた事前のアクションが必要不可欠です。
小さなミスさえ許されない展開が続くことから、全体を通して精度の高いプレイが要求されます。


アドバンテージを獲得できないという弱みを埋め合わせる格好で「自らのアドバンテージを失わないこと」および「相手に獲得させないこと」の2点を構築段階より強く意識しています。
TGエンジンは最も大きなリスクを含んだ攻撃と言う行動のリスクを緩和し、リビングデッド・DX2による多伏せ演出は防御を敷く上で最もリスクある行動、嵐サイクの矛盾のリスクを緩和してくれます。

補足:嵐サイクの矛盾
丁度良い呼び方が無かったので勝手に名付けました。
大嵐をケアして伏せの枚数を減らせばサイクロンによる仕掛けが、サイクロンによる仕掛けをケアして複数枚の伏せを敷けば大嵐がケアできない、誰もが経験しうるこの矛盾した状態についてです。
サイクロンは3枚使用できるカードですから、確率的に考えれば大嵐の方を切り捨てるのが無難ですが、数値に託した結果痛い目を見た方も大勢いらっしゃることかと思います。

こうして「失わないこと」に徹すれば、本来相手が得るはずだった戦闘や伏せ除去によるアドバンテージの発生は無くなり、「得させないこと」にも結びつきます。
得させないための手段には他にライオウ・スキルドレインの2枚があり、こちらは戦術的なもの云々ではなくカードの効果でアドバンテージ獲得の機会を抑え込みます。


平行線を辿るアドバンテージ状況の中、損失の発生しない攻め手を用いて唯一変動するリソースであるライフを消耗させていくのが勝利プランです。

各カード採択について

【メインデッキ】


カオス・ソルジャー−開闢の使者−
カオス・ソーサラー
TGエンジンには光のサイバーマジシャンと闇のワーウルフが含まれており、1枚でもTGをドローできればそれを順当に回転させていくだけで光闇を揃える事ができます。
これだけ少ない光闇の数でも計画的な運用を図れば簡単にプレイできますし、その過程に見合う強さがあります。


サイバー・ドラゴン
始めはカードカー・Dの枠でしたが、カラクリの超展開に対する対応策が乏しいと感じたため、メインの内から1枚を追加しました。
機械を軸としないデッキ相手にもサイバーマジシャンのシンクロと合わせる事でヴォルカザウルスに結びつき、盤面解決能力の向上にも繋がります。


ライオウ
主な役割は先の特徴項で話しています。
前環境の終期、「甲虫装機のいなくなる次の環境ではライオウが強くなる」との見解をちらほら見かけました。
それには僕も同様の見解を持っていて、新環境に入ってからはライオウの入りうるビートダウンデッキを模索し続けました。
過程は後述しますが、テストを繰り返す中で最もライオウが合うと思えたのがこのTGです。
主たる理由はリビングデッドを無理なく3積みできることで、除去の多い今の環境で破壊耐性の無い1900はあまりに死に過ぎます。
抑止的効果は場で維持されていなければ効果が無く、それを果たす為にも残り続けるだけの工夫が必要になってきます。
そして今回、それがリビングデッドの呼び声に当たる訳です。


TG−ラッシュ・ライノ
TG−ワーウルフ
TG−ストライカ
TG−サイバー・マジシャン
TGを選んだ理由は対ガジェットを想定した上での事です。
ガジェットの繰り出すギアギガントXに対し、最も効率よく相手をできると感じたのがTGモンスターでした。
これも後述する最後の項にてお話します。


ブラック・ホール
聖なるバリア−ミラーフォース−
激流葬
全体除去の限界値投入は今回の構築の隠されたテーマでもあります。
大嵐や複数枚の伏せ除去により戦線が崩壊した場合も、これらの全体除去があればすぐに復旧が利きます。
破壊されても全く影響の出ないTGモンスターは片っ端から場に展開していきます。
必然的に場に並ぶモンスターの数が増え、崩しを食らった展開においても、同ターン中に死に繋がる事が少なく、返しのターンで手札に残した伏せを敷き直しつつ再度TGで構えなおせば即座に回復を図れます。
全体除去は罠系のTGデッキと非常に相性が良いです。相手の攻めが消極的になりやすいのもポイントで、怯んだ様子を見せれば神の宣告やスターライトロードのようなカードに辿り着きやすくなり、そもそも場を崩すことさえ困難となります。


死者蘇生
デッキに必要なモンスターの種類が限られているため、死者蘇生やリビングデッドをフルに投入するなどして扱うモンスターを絞っています。
カードガンナーやクリッターもデッキ的には悪くないカードですが、劣化した選択を行うよりは趣旨に沿ったモンスターを使い倒す方がやりたいことに対して一貫した姿勢を維持できます。


大嵐
始めは投入されていませんでしたが、デッキの基本的な運用が固まるにつれ必要性が生じ投入しました。
相手の大嵐を想定する手前自分から大量のセットを行うようなことはほとんど無く、逆にこちらのビートダウンに対して牽制の姿勢を見せる相手プレイヤーの方が多量のセットを敷く場面が多かったからです。
また、頻繁に発生する膠着状態に対して有効な打開策であったことも挙げられます。
開闢の使者等明確なフィニッシャーを有している分そのままゲームを決定付ける場面も少なくなく、EM1でサイバーマジシャンを送りつける動きを絡めれば相当量のダメージが期待できます。
リビングデッド・DX2のセットで多伏せを演出して相手の伏せを誘い出し、一層しながら一方的なアドバンテージの獲得を狙うパターンもあります。


強欲で謙虚な壺
積極的な特殊召喚を見ていくようなデッキでもないため、文句無しの採用です。


神の宣告
スターライト・ロード
大嵐を意識する上で必要となります。発動は極力そこに絞ることが望ましいです。
このデッキに対してはミラーフォースや激流葬が有効に機能する場面はほとんど無く、それらはライフを維持するためだけに発動されることがほとんどで、ここに突き刺すスターライトロードは非常に強力です。
神の警告のようなカードで防がれてしまっても、何体かのTGが手札に戻るだけ大した損失を生みませんし、サイクロン(スターダストドラゴン阻止)や神の宣告のようなカードを使用してくれれば御の字です。


リビングデッドの呼び声
こちらも先の特徴項で記した通りです。
墓地のTGとの組み合わせによりセットにリスクが伴わない点が大変心強く、感覚的にはクリッターが10枚入っているようなものです。
キルドレインと合わせ、相手のサイクロンの対象を散らす目的もあります。


奈落の落とし穴
神の警告と異なりライフ消費を必要としないため、防御に厚みを持たすには適切な1枚です。


キルドレイン
始めからスキルドレインが入るデッキを構築しようと思っていた訳ではなく、TGとの相性の良さを買い投入しました。
完全な維持は目的としていません。バルバロスのようなこれを前提とした採択が行われていないため、守り切る必要性が無いのです。
あくまでビートダウン達成の上での補助的位置付けです。


強制脱出装置
調整段階において、除去が不足しているように感じられたため、勝手の良さそうなものを1枚だけ投入しました。
手札に残す、後出しの効く除去です。


TGX3−DX2
一見使いづらいように見えますが、意外にも勝手は良好で増量も考えられるレベルです。
位置付け的には2種カオスと変わりありません。1枚でもTGを引ければそれをサイクルさせることで問題なく運用できます。
サイバーマジシャンシンクロと相性が良く、サイバーマジシャン+ラッシュライノ+出てきたTGシンクロモンスターの3体で一気に条件が整います。
貴重な返し手であるTGストライカーを2度使用できるのもポイントです。


TG1−EM1
ビートダウンデッキを考案する上で常に障害となったのが、ガジェットのマシンナーズフォートレスです。
有する2つの効果が共に致命的で、次元幽閉のようなカードを構えていても攻撃を行うかどうかは相手に依存してしまっていることが問題です。
除外以外の方法では再び場に戻ってしまうため、この部分には大いに悩まされました。
因果切断のような選択は寄り過ぎで、マシンナーズフォートレス以外の全てに対して非効率的です。アドバンテージを得る手段の無いデッキが手札コストカードを使用するのも良しとされるものでもありません。
紆余曲折を経、そうした問題を解決してくれたのが、相手の意志に頼らない破壊以外の方法、コントロール奪取です。
この罠カードは最終的なデッキタイプの選択をTGに決定付けた1枚にもなりました。


エクストラデッキ


キメラテック・フォートレス・ドラゴン
メインデッキのサイバードラゴンは1枚ですが、サイドデッキにプロトサイバードラゴンがあり、かつリビングデッドの呼び声による使い回しも考えられるため増量も視野に入る箇所です。
実際2枚目が必要となる場面も時折訪れますが、現状他スロットを妥協できないものと認識し、1枚としています。


アームズ・エイド
開闢の使者とのコンボ専用です。
以外にも成功率は高く、本戦だけでも3回決まりました。
このデッキ唯一のビートダウン以外のキルパターンです。


A・O・J カタストル
ストライカーを使用した返し手の主です。
カタストルを処理するためには基本的に何かしらカードが必要で、リソースの消費を誘えます。
1度墓地に落ちれば蘇生・リビングデッドで繰り返し利用が可能ですから、相手次第ではこれでハメ切れます。


TG ハイパー・ライブラリアン
TG ワンダー・マジシャン
TG パワー・グラディエイター
サイバーマジシャン効果で特殊召喚が可能なシリーズで、各々が他に無い強みを持っています。
ライブラリアンは打点と属性の二つが有用で、ギアギガントXを一方的に戦闘破壊でき、サイバーマジシャンと合わせて光闇を一気に確保できます。
ワンダーマジシャンは当然その魔法罠破壊効果に有用性があり、開闢のようなフィニッシャー召喚前の伏せ掃除およびサイド後の面倒な永続カード(王宮のお触れ・次元の裂け目・マクロコスモス・ソウルドレイン)の破壊を務めます。
パワーグラディエイターはやや特殊で、破壊された際の1ドロー効果が重要です。除去を受けてしまった場合も保険が利き、交換比率を1:1まで抑えられます。
ドロー能力だけであればワンダーマジシャンも持ち合わせていますが、攻撃力2300の数値に意味があり、ライオウやラッシュライノでは対処できない2000を上回る数値を乗り越えるのに用いられます。


大地の騎士ガイアナイト
ストライカー+ラッシュライノ、サイバードラゴン+サイバーマジシャン等、限定的な状況ではあるものの時折レベル6シンクロの必要性が生まれるため、何かしらの選択肢が必要です。
・大地の騎士ガイアナイト…縛りなし、シエンを処理可能
・ナチュル・パルキオン…ギアギガントX、メガロアビスを処理するには最適
・天狼王ブルー・セイリオス…闇属性、相手の次の手も無力化できる可能性がある
3体いずれもプレイする機会ほとんど無く、非常に限定的な状況下でのみ力を発揮します。
今回は六武衆およびスキルドレイン下でマシンナーズフォートレスに負けない打点という理由でガイアナイトを選択しました。
実際の本戦ではストライカー+ブレイカーでメガロアビスを処理する機会がありました。
意図した用途ではありませんでしたが、そういった意味でも縛りを持たない方を選択する意味があると言えます。


ブラック・ローズ・ドラゴン
メインギミックの中でプレイできる要素はほとんどありません。
主にカラクリの超展開を食らった返し、レベル4(ライオウorラッシュライノ)+死者蘇生(小町)の超限定的シチュエーションです。
ラクリと何戦かマッチングを行えば時折訪れる状況ですが、全体を通して見れば圧倒的に使用頻度の少ない部分であるため、入れ替えの候補となりえます。
本戦ではカラクリとは1度もマッチングせず、代わりにストライカー+パワーグラディエイターで水精鱗の展開を一掃しました。
ガイアナイト同様これも意図していないパターンでした。


スターダスト・ドラゴン
シンクロ召喚によりプレイすることはまずありません。スターライトロード専用です。


スクラップ・ドラゴン
稀に発生するレベル8シンクロが必要となる場面での選択肢です。
キルドレインとのシナジーに期待してギガンテックファイターを選ぶことも考えられますが、スキルドレイン単一とのシナジーよりもTGモンスター全般とシナジーするスクラップドラゴンを優先しました。
裏守備でTGを配しながらスクラップドラゴンの効果を使用していけば、サイド後よく投入される次元幽閉にかかることなく優位を固められます。
TGの回収効果により交換比率を0:1の純粋なアドバンテージに変換できます。


XX−セイバー ガトムズ
ワンダーマジシャン+ラッシュライノの限定的組み合わせで、主な用途は除去避けおよびスキルドレイン下での打点生成、攻撃力3000のトラゴエディアケアの3点です。


No.30 破滅のアシッド・ゴーレム
これもまたスキルドレイン中の最大打点として用いられます。
キルドレインは自分にとっても非常にリスキーなカードであるため、準備段階から保険を張り巡らせ詰みの状態を作らないよう努めるのが重要です。


ガガガガンマン
相手の展開に対する返し手がレベル4モンスター2体しか用意できないシチュエーションが時に存在します。(※主に蘇生絡みのライオウ+ラッシュライノ)
こうした場面の打開策として、単体の解決能力が最も高いガガガガンマンを選びました。
エストロークと言う選択肢も存在しますが、時間のかかるデッキゆえにエクストラターン・デュエルをこなさなければならない試合も度々あり、その点を考慮した結果の採択となっています。


No.61 ヴォルカ・ザウルス
大量のカードを必要としますが、有り無しで勝負を分かちかねない重要な存在です。
レベル5を2体並べる主な方法は、サイバードラゴン+サイバーマジシャン+ラッシュライノの3体か、もしくはデッキに積まれた4種のTGを全て揃えるかの2択です。
サイバードラゴンの方は見たままの通りですので難しいことは無いかと思います。
もう片方のTG4種ですが、滅多に無いことと割り切るのではなく「そうした動きができる」ということを頭に入れておくことでゲームプランの構築に役立ちします。
手札にモンスターが寄ってしまった時、大嵐の発動に合わせたリビングデッドで大量の返し手が手に入った際、どちらもそれなりに発生しうるケースです。
4枚を使いレベル5シンクロを2体並べる訳ですが、そのパターンは主に下記の3つ。
・ワンダーマジシャン⇒カタストル
・ライブラリアン⇒ワンダーマジシャン
・ライブラリアン⇒カタストル
相手の場に伏せがありかつその正体が不明、この先の展開に成功の保証が無いとされた場合は、1つ目のワンダーマジシャンによる伏せ破壊からスタートして様子を見ます。
これが除去されるようなら除去の手段をカタストルに移行し、カタストルの処理範囲を越えているようならストライカワーウルフをそのまま守備表示で場に置いたままターンを返します。
伏せの破壊が成立すれば、カタストルないしはヴォルカザウルスのアタックを交えながら大型2体までの処理が可能になります。
相手の伏せが発動不可能な何かであると断定できる場面では、2つ目のライブラリアンスタートプランを取り、1ドロー+伏せ破壊を狙いします。
その後ヴォルカザウルスでモンスターを焼き払えば4枚分の消費は瞬く間に回復し、相手の場にヴォルカザウルスの戦闘破壊で処理可能なモンスターが存在していればアドバンテージをプラス1まで還元できます。
3つ目のプランは相手フィールドに伏せカードが無く、かつカタストル効果を用いて処理すべき大型モンスターがヴォルカザウルス破壊分を含めて2体以上存在している場合に限り取られるものです。


【サイドデッキ】


魔導戦士 ブレイカー
サイドからよく投入される永続系のメタカードおよび次元幽閉・透破抜きの破壊を目的としています。
メタのメタは本来非効率的であまり良しとされるものでもありませんが、ブレイカーは最悪適当な伏せカードやライオウと1:1交換を果たせる良質なサイドカードです。
メタのメタの問題点は「相手がその動きに出なかった際無駄になってしまうこと」で、相手の意向に沿わずとも最低限の仕事をこなすことがブレイカーの強みです。


プロト・サイバー・ドラゴン
ガジェット相手のサイドチェンジ後は強制転移までもを加えることで相手のギアギガントXを強く意識しています。
1本目の時点では回収に相応しい対象が存在しませんでしたが、相手がガジェットと確定している2本目以降の戦いではこのプロトサイバードラゴンが最適です。
また本家のサイバードラゴンにはできない役割として、ライオウによるビートダウンがブリキンギョの守備により固まってしまった際、その横に召喚することでライオウモードと攻勢を維持できるという強みがあります。
激流葬されてもアドバンテージ的にはイーブンをキープできるため、悪くありません。伏せカードにリビングデッドがあれば積極的に狙っていくプランです。


増殖するG
ラクリの超展開を意識した採用です。
アドバンテージを互いに獲得しない・させないことをテーマとして置いている分、干渉が行えない先行のうちにアドバンテージを稼がれてしまうと後のゲーム展開が絶望的なものとなります。
それを阻止するためにも、この3枚は抑えておきます。


サイクロン
メインデッキの時点ではどうしても処理したい対象が血の代償しか存在しないため特に必要性を感じませんが、サイドチェンジ後は永続系のカードを筆頭に明確な破壊対象が存在しますから、ブレイカーと合わせてこれらを破壊します。
メインのサイバーマジシャン+ラッシュライノの組み合わせを含めれば破壊できないことの方が稀です。


強制転移
後手確定の2本目or3本目のゲームにおいては罠カードのEM1では遅れが生じてしまうため、この強制転移を併用しスピードアップを図ります。
暗黒界相手には計5枚のコントロール奪取で徹底してグラファを狙うことで、1本目の段階ではやや不利なマッチアップの勝率改善を意図しています。


強制脱出装置
対カラクリ戦に向けての追加の選択です。
ラクリを意識しすぎているのは、恐らく僕がもう一つのメインとして調整を進めていたデッキがカラクリだったためです。笑
世間的には過疎の風潮が進んでいるカラクリですが、僕は相変わらずトップクラスのポテンシャルを持つものだと認識しています。
デッキ的にもこちらの動きに関係せず勝手にアドバンテージを稼ぎ出すタイプのデッキは非常に危険で、軽視できる存在ではないと考えているため、意識を強めに寄せています。


次元幽閉
キルドレインの効かないビートダウン系のデッキに対する入れ替え枠です。
脱出装置や強制転移と合わせる事で丁度良い枚数入れ替えられるよう枚数を調整しています。

最後に

先日ツイキャスによるデッキ解説を行った際、なぜTGなのかという質問が多かったので少しだけ経緯について触れておきます。
細かい採択については上記のカード採択項で記述していますので、いきさつに限ります。



今環境に入って色んなタイプのデッキを考案しましたが、そのほとんどはガジェットのギアギガントXがもたらす暴力的なアドバンテージに屈する格好となりました。
ガジェットは人気も高く、CSに参戦すれば1度か2度は対戦を経験するようなデッキで、無視する訳にもいきません。
まずはここをクリアすることをデッキの基準とすることに決めました。
最終的にはTGを選択した訳ですが、それは様々な試行錯誤の過程を経た結果です。
中には瞬間的にボツになったアイデアも多数ありますが、起点となったのはセイクリッドです。
カード採択のライオウの項で少し触れましたが、僕はこのライオウがナチュラルに入りうるビートダウンデッキをずっと探していました。
セイクリッドはその中でもかなり有効な方で、ライオウとシナジーするリビングデッドやオネストを違和感無く投入できることに好感触を覚えていました。
真剣に使用を考え始めた頃、このデッキを選択する上で問題となったのがマシンナーズフォートレスの存在です。
僕の構築していたセイクリッドはプレアデスを軸に戦う構造をしていたのですが、マシンナーズフォートレスのステータス・効果の両面がプレアデスにとっての絶望的な障害になりました。
また、プレアデスをプレイできない状況下において、ビートダウンの構造を取る以上はマシンナーズフォートレスが非常に驚異的な存在であることを認識しました。エクシーズにもシンクロにもロクな回答がありません。
プレアデスはキンギョ・二重召喚絡みの返し手には無類の強さを誇るのですが、フォートレスに対してはサッパリです。
世のガジェットがマシンナーズフォートレスが増加の傾向を見せるにあたり、やむを得ず断念しました。


その後、フォートレスを簡易的に除去できる手段を有するデッキとして忍者デッキに着手しましたが、今度はギアギガントXに対処できなくなってしまいました(エクシーズモンスターを超変化できないため)。
先出しのHANZOは非常に有効ですが、先行を取れるかどうかの問題は50%を抜け出すことがありません。
クロスによるスタートはゲーム展開が非常に速く、あまり好ましくない成金忍者絡みの積極展開に向かわざるを得ないようなシチュエーションが多発したのも問題でした。
豊富に除去を抱えるガジェット相手にこのアクションが通ることは非常に稀です。
成金を軸とする以上デッキ構成が罠に寄りがちで、サイクロンのような後手攻めに強いカードを採用できない事態も問題に結びついています。
七つ道具やトラップスタンのセットによるワンクッションはクロスの2度目の効果発動を許し、取り返しのつかない損害を被る結果にもなります。
また肝心のフォートレスに関しても、超変化したところで脅威が消え去る訳ではなく、墓地に存在する以上回答を要求し続けるのです。



これらの経緯を経た上で得られた成果が以下の通り。
・ギアギガントXの召喚自体を止める事は不可能。出た後に対処できる方法を考慮すべき。
・構造上マシンナーズフォートレスに弱くしてはいけない。
・ライオウ+リビングデッドの組み合わせはやはり有効。引き続き活かせるギミックを探す。
・ライオウを引き入れる確率は一定値を超えないので、デッキ全体がリビングデッドとシナジーしている必要がある。
・他にもいくらか罠を投入しなければサイクロンの対象はリビングデッドに向けられてしまうため意味が無い。
・ライオウは後手の際の弱さが際立つため、後手でも間に合うようミラーフォースを筆頭とした豊富な罠が必要である
・罠を多数搭載すると複数セットを必要とする場面がいくらか生じ、結果的に大嵐に脆くなる
・スタロや賄賂を加えると安定感が著しく損なわれるため、できることならリビングデッドそのもので大嵐をケアできることが好ましい(クリッター・カードガンナーetc)。


以上のポイントの収束先がTGです。
話が飛躍しているように思えるかもしれませんが、最後のリビングデッドによる大嵐ケアという観念が対象をグッと絞ってくれます。
破壊をトリガーとして発動し、かつデッキ単位のまとまりに結びつきそうなものはそう多くありません。
後は抽出された一つ一つの選択肢を、リストアップした要点と比較検討していくだけです。
クロスやフォートレスを意識したカードは手札に引き入れることができなければ意味がありませんが、TGの選択はそうしたカードに行き着く時間や、その間に稼がれたアドバンテージを帳消しにする全体除去の供給を可能とします。
そして、全体除去の多量搭載は後出しの弱さのデメリットを持つライオウの欠点を補うというサイクルに結びつくのです。


余談が混ざってしまいましたが、以上がTGを選んだ理由です。
問題に行き当たった際は、何が求められているのかを徹底してリストアップします。
この作業の良いところは成功失敗の成否が問われないところです。
良かった点はそのまま受け継いでいけますし、悪かった点は「そうならないようにする」という成果に繋がります。
ダメならダメなりの理由を見つることが大切です。


今後のTGについて少し触れておきます。
まず、TGというテーマ自体は決して強力なデッキタイプではありません。
今回の構築においても、TGはライオウリビングと言うエンジンを載せるための基盤に過ぎませんでした。
それ単体が有効に働くケースと言うものは考えづらいです。目的を達成するための手段、パーツとしての認識が相応しいでしょう。
また、今回のリストのまま今後の運用を図るのは困難です。
それはリスト自体が関西3連戦時点での予測に伴った構造を取っているからで、現在に過去のメタを適応させる意味は無いからです。
関西3連戦の結果を以ってメタの事情はまた一つ変化を迎えましたし、EXP5のリリースはより一層環境に変化を与えることでしょう。
他のデッキがそうであるように、このデッキもまた変化が求められています。メタの位置付けを取るデッキはそうした事情がより顕著に現れます。
今後の使用を検討される場合は、環境の変遷をよく観察し、自分なりのチューンを施してみてください。
今回の解説はあくまでその時点の理論に基づいてお話していますから、スキルドレインの必要性、サイクロンや神の警告の採用見直し等、改善の余地は多くあります。
一応僕の中でもまだ一つ案がありますので、今後参加するどこかの大会でお披露目できればいいなと考えております。


長々とお付き合いいただきありがとうございました。
存在が発覚してしまった以上今後の立ち位置はより一層厳しくなるものかと思われますが、今後を考える上での一助になれば幸いです。