使用デッキ解説 - ヴェルズビートダウン(2012.1.20)

昨年末のTCSにて使用したヴェルズデッキの解説記事です。
「V Jump Edition 8」によってもたらされる炎星・炎王の強化が一つ環境の節目となる事が予想されるため、これを機にまとめとして記述します。

概要


ここ最近人気急上昇のビートダウンデッキデッキの一角です。
ポテンシャルの高いヴェルズモンスターをふんだんに採用し、速効性のあるビートダウンで瞬殺を目指します。


ヴェルズのギミック自体は比較的古くより用いられており、ヴェルズヘリオロープとレスキューラビットの結び付きから、主にラギアデッキのビートダウンギミックの一環として取り入れられていました。
「DUEL TERMINAL −星の騎士団 セイクリッド!!」リリース以降ヴェルズに特化することのメリットが徐々に強まり、「デュエリストセット ダークリターナー」で登場したヴェルズケルキオンの存在が一気にデッキのポテンシャルを引き上げました。


デッキの核であるヴェルズオピオンは、攻撃態勢を維持するために必要なアイテムのほとんどを単体で稼ぎ出します。
サーチ先となる侵略の汎発感染は早期ビートダウンを達成する上で付きまとうリスク・除去スペルの全てをケアし、侵略の侵喰感染は肝心要となる追加の攻め手(=ケルキオン)へのアクセスを可能としており、オピオン1体がヴェルズの動き全てを完結させています。
サイド後の《侵略の侵喰崩壊》も合わせれば除去まで担える徹底ぶりです。


ヴェルズという選択をするだけで魔導やHEROビートと言った相性有利なデッキを持てるのも一つの強みだと言えます。
現在のトーナメントシーンには非常に多種多様なデッキが存在しており、勝ち抜くためにはメイン・サイド・エクストラの全てを駆使してあらゆるメタに対応する必要があります。
デッキ相性の面で明確な優位を確立することができればデッキのスロットに余裕が生まれますから、他のメタに対して強く意識を寄せることが可能になります。
結果、相手側がこちらに対して行う対応策よりも多くのメタを被せることが可能となり、全体を通して有利に戦いやすいという利点があります。

サンプルリスト

モンスター(21枚)
レスキューラビット×2枚
ダーク・アームド・ドラゴン
エフェクト・ヴェーラー×3枚
ヴェルズ・マンドラゴ×3枚
ヴェルズ・ヘリオロープ×3枚
ヴェルズ・サンダーバード×3枚
ヴェルズ・ケルキオン×3枚
ヴェルズ・カストル×3枚

魔法(10枚)
大嵐
増援
侵略の汎発感染×2枚
死者蘇生
月の書
強欲で謙虚な壺
サイクロン×3枚

罠(10枚)
奈落の落とし穴×2枚
神の宣告
神の警告×2枚
侵略の侵喰感染
激流葬×2枚
強制脱出装置×2枚

エクストラデッキ
A・O・J カタストル
No.106 巨岩掌ジャイアント・ハンド
No.16 色の支配者ショック・ルーラー
No.50 ブラック・コーン号
ヴェルズ・ウロボロス
ヴェルズ・オピオン×3枚
ヴェルズ・ナイトメア
ヴェルズ・バハムート
ガガガガンマン
ジェムナイト・パール
ダイガスタ・エメラル
恐牙狼 ダイヤウルフ
交響魔人マエストローク

サイドデッキ
ソウルドレイン
強制脱出装置
禁じられた聖槍×3枚
次元の裂け目×3枚
邪神の大災害
侵略の侵喰崩壊
増殖するG×3枚
魔のデッキ破壊ウイルス
冥府の使者ゴーズ

基本戦略


ヴェルズオピオンを筆頭とした高打点モンスターを擁立することでプレッシャーを与え続け、相手側に返し手を強いるのが基本スタイルです。
自分が万全の状態で攻撃態勢に移れない状況では防御系の魔法罠を用いて対処を図るのが一般的ですが、ヴェルズはこれを汎発感染によって阻止できますから、相手側に対し不完全な状態での攻撃リソース消費を迫ることができます。
ここを除去で弾く・侵喰感染で手に入れたケルキオンで更に返すのがセオリーとなり、攻撃態勢の持続に必要なアイテムをオピオンによるサーチ効果で一通り賄える自己完結性がここで活きてきます。
ギミック同士の比較では、極端に上級モンスターを軸にしたデッキでもない限り、ヴェルズが有利に戦えるデッキは理論上ほとんど存在しません。
ゼンマイ・マーメイル・炎星等々、各デッキは「状況さえ整えば」オピオンをものともしないアクションが取れます。
相手の態勢が整い切る前に突き崩す、ビートダウンとしては非常にわかりやすい戦い方をするのがこのヴェルズです。


その都合、最序盤からベストな動きを実現できるよう同カードを重ねて採用し、動きに一貫性を持たせることを第一としています。
丸さがそのまま安定的なスタートに繋がるため、構築面は非常に素直な構造です。
初動であるオピオンにスムーズに結び付くようスタートモンスターの採択はヴェルズ1本に徹底しており、魔法罠の採択も方針に沿った前のめりの選択がなされています。
強制脱出装置はヴェルズの取る戦略の表れとも言える1枚で、性質上は単なるバウンス、マイナスアドバンテージとなるカードですが、早い段階でプレッシャーを突きつけることで無理やりなエクシーズを迫ったり、壁モンスターをバウンスして残りライフを削り切るなど、実に合理的な選択だと言えます。


また、高速ビートダウンと言えば凌ぎ切られてしまった状況において先詰まりを見せてしまうような印象を受けるかもしれませんが、新戦力であるヴェルズケルキオンが返し手としても非常に有用で、攻守両面に渡っての活躍を見せます。
ワントップのカウンター、計画的な多段攻め等、速度のあるビートダウンデッキにはなかなか難しい、粘り強い戦い方を取ることも可能になっています。

メインデッキ



「モンスター」
オピオンの成立がその後のゲーム展開に大きく関与するため、円滑なスタートを切れるようにヴェルズモンスターを採用しています。
相手の動き次第では初動でヴェルズバハムートのプレイが求められることもあり、またサイクロンや汎発感染のバックアップがあるとは言え無効系のスペルの回避は難しいため、手札には少し多めにヴェルズをキープできることが望ましいです。
理想形は
サンダーバードorマンドラゴ
カストル(増援)
+ケルキオン
の組み合わせで、この組み合わせであればかなり高い確率でオピオンを場に成立させられます。
マンドラゴを特殊召喚するか、既に場にサンダーバードがいる状態でカストルを召喚し、追加の召喚権を確保した状態でオピオンをエクシーズ召喚します。
無効系のスペルや除去の重ね掛けを行われても、続く手札のケルキオンで同ターン中に追撃をかけれます。
ターンは跨ぎますが、レスキューラビットでも同様の効果が得られ、こちらはラグがある代わりにより少ないアクションで無効スペルの有無を確かめられる点が優秀です。
相手の手札状況次第ではサンダーバードに対してでも無効スペルが発動される可能性があるので、伏せが敷かれているうちは強引な攻めは控え、攻勢に移るタイミングを見計らいながら段階的に攻撃の準備を整えていくことが重要です。


ダーク・アームド・ドラゴン
ヴェルズにおける詰みパターンを回避するのに有用です。
オピオンに対して無効スペルを合わされてしまうと、アドバンテージ面・テンポ面で壊滅的な被害を被ります。
現在の環境には海皇の狙撃兵・暗炎星−ユウシ等ダメージを展開のトリガーとするモンスターが多く存在しており、1ターンでも場を空けておくことがゲームの行方を左右しかねません。
初動のオピオンが処理された場合、そのまま墓地に闇が3枚貯まるため、ダムドのプレイには特に工夫が要りません。そのまま召喚できます。
ゲームが長引き後半戦にもつれ込んでも、ケルキオンやダイガスタエメラルを用いて墓地の整理が可能です。
オピオンのプレイに力を注いだ構築であるため、それはそのまま闇の貯まりやすさに繋がり、プレイできないと言ったこともほとんどありません。
サイド後は群雄割拠や王宮のお触れと言った面倒な永続カードを処理してくれるだけでなく、汎発感染を恐れて通常の除去カードを外してくるケースも多いため、召喚が通りやすいのもポイントです。
メインデッキでは強制脱出装置、サイドデッキからは禁じられた聖槍とプレイを通すのに相性の良いカードも多く、非常にヴェルズに適したモンスターです。


《レスキュー・ラビット》
デッキ内最強のヴェルズです。
単一で2体のモンスターを取り揃えるため、あらゆる妨害に合おうとも損失を1:1に抑えられます。
それゆえ相手側の防御に対しても積極的なトライして構わないのですが、デッキ単位では基本的には影響を受けないはずのGヴェーラーの対象となるため、その点に関してのみ注意が必要です。
先行初手で他にオピオンにアクセスできるルート(カストル)があるならば、確実性のあるそちらに託す方が無難です。
一方で、しっかりとした防御を構えられたり、強制脱出装置が手元にあれば、先行のプレイは安定します。
ヴェーラーされたラビット+脱出装置の1伏せは非常に安定したアクションで、伏せ除去をプレイされればラビットを手札に戻し、モンスターによる仕掛けであればそれをバウンスすることで続くターン召喚権を温存した状態でラビットからの仕掛けに入れます。
場に残ったラビットは是が非でも処理したいカードであるため、1伏せであっても大嵐を誘い易いのがポイントで、交換比率も1:1、ヴェーラーと合わせ、相手側が一方的に消費を被った格好となります。
裏目はナイトショットですが、採用率が低く、戦闘破壊されてしまった場合でもヴェーラーと合わせて2:2交換に収まりますので、割り切るのが賢明です。
※神の宣告を持っていたり、他にモンスターがいなかったりする場合は全力で守りに行くプランもあり得ます。


《ヴェルズ・ヘリオロープ》
このカードの存在ゆえ、レスキューラビットを使っていけるのはヴェルズの利点の一つです。
バニラモンスターではありますが、基礎戦闘力が高く、他の下級モンスターであれば一部を除き軒並み戦闘破壊が可能で、ビートダウンモンスターとしては素引きも許容範囲の数値を持っています。
稀にレスキューラビットを使用する前段階の時点で2枚以上を引きこんでしまう事がありますが、侵略の侵喰感染でデッキ内に戻すことで効果を使用可能な状態に回復できます。
既に墓地に置かれている状態でも、ケルキオンで拾い上げればデッキ内のバニラ回復が図れ、運が良ければ2回目以降のラビット起動を狙えます。


《ヴェルズ・マンドラゴ》
初動オピオンにアクセスするルートは主に4つあり、ラビット・カストルサンダーバード、そしてこのマンドラゴが該当します。
マンドラゴを採用する理由は当然いち早いエクシーズに結び付けるためで、焦点は「それを達成するのにどのくらいの枚数が適切か」という事になりますが、今回はこれを3と設定することにしました。
この枠には元々2枚目の強欲で謙虚な壺が採用されていたのですが、この謙虚では初動の確保ないし除去をケアしてモンスターを回収することが圧倒的に多く、特殊召喚不可の制約をワンクッション挟むことに対して無駄を感じていました。
結果、ヴェルズモンスターそのものを直接積み増すことでタイムラグを埋めつつ、初動の安定化を図る方針を取ることに決めました。
この増加には3枚積まれたエフェクトヴェーラーも関係しており、ゼンマイの繰り出すゼンマイティにヴェーラーをプレイした返し、モンスターに除去を当てられてしまうと途端に敗色濃厚となるのですが、召喚権を浮かしつつ1550の数値を持つマンドラゴはこの場面で非常に有用です。
その他のデッキに対してはマンドラゴ+ヴェーラーのシンクロパターンがあり、ヴェーラーがあまり有効とされない相手でも戦力に変換することが可能になっている事から、これらの枚数は密接な関係があります。


《ヴェルズ・カストル》、《増援》
高速ビートダウンを成す上で非常に重要な役割を持つ1枚です。
召喚権の増加はそれだけライフを奪う速度の増加に繋がりますし、早期決着を望むヴェルズの狙いに合致しています。
Gヴェーラーの裏目があるラビットと比べより確実性の高いオピオンのプレイが可能で、これとラビットを合わせ初期手札の時点でもオピオンをプレイできる確率は6割近くあります。


《ヴェルズ・サンダーバード
地味ですが、デッキ内では重要な位置付けにあるモンスターです。
単純な除去を受け付けないことから無効系のスペルを誘いやすいのもポイントで、後続のエクシーズに対するリスクを低下させられます。
実質1950と決して低くない打点を持ち放置も難しいことから、確実に相手の攻め手ないし無効スペルをを誘い出せます。
攻め手が強力なものであればバハムートで奪い取り、最低限の消費と見れればオピオンによる戦闘破壊で更にプレッシャーをかけます。
退避能力により返しの起点となるエクシーズ素材にそのまま変換することができます。


《ヴェルズ・ケルキオン》
攻守両面で輝くヴェルズのエースモンスターです。
侵喰感染の主なサーチ対象となり、オピオンの2度目の効果で汎発感染を確保しながら墓地にヴェルズモンスターを確保する動きが単純ながらも強力なアクションとなります。
ケルキオンとカストルの追加召還効果は別々に取り扱われますから、侵食感染を組み合わせながら手札のモンスターを整理していくことで2体エクシーズから3体エクシーズまでを計画的に行えます。





「補助」
ビートダウンデッキは「相手を倒し切る戦闘要素」および「相手側の脅威を捌く(防御)除去カード」の2本柱で成立します。
そのあたりに関係しない補助的なアイテムの採用は最小限に収まる作りとなることが多く、それは手札の偏りが発生し、補助系のカードが集中すると盤面の維持や攻めが困難となってしまうためです。
今回の構築もその例に漏れず、採用した補助カードは以下9枚に絞っています。
強欲で謙虚な壺は他カードに変換が可能なため、実質的な枚数は8枚です。


《死者蘇生》
《大嵐》
基本的な魔法で、別段変わった使い方もなく、強く使える時に強く使うのがセオリーです。
特筆するとすれば、オピオンで侵喰感染をサーチした後大嵐をセットするプレイが有効です。
文字に起こせば大したことはありませんが、侵喰感染を見ている以上大嵐やサイクロンは発動し辛く、大嵐をセットする上でのリスクを軽減できます。
侵喰感染を張っていく手前手札の大嵐は打ち所を無くしかねませんから、2枚を効率よく消化するのにも悪くないプレイです。実際に伏せ除去をプレイされたとしても1:1交換の範囲で、かつオピオンから汎発感染をサーチできるため本当に致命的な魔法罠は限定されてきます。
伏せ除去を消費したことでこの後セットする侵喰感染のプレイも成立しやすく、どちらの道に進んでも悪くない結果が得易いです。
またこうして書き記すことで以後このプレイが推測されることはあるかもしれませんが、実際に大嵐がセットされている確率は高くて15%程度しかないため、前提として考える相手側の方に無理が出るため、こちらから気に留めることは特にありません。


《サイクロン》
ゼンマイとの対戦のうち、大嵐マジシャンシャーク以外の負け筋は全てゼンマイマニュファクチャのアドバンテージ差によるものでした。
マニュファクチャに回られてしまったゲームはかなり高い確率で落としてしまったこと、逆に破壊できたゲームはかなり高い確率で勝利できたことを重視した結果が3枚の採用です。
また現状の環境にはサイクロンが有用とされないデッキはほとんど存在せず、仮に存在した場合でもヴェルズはそれらに対して有利に立ち回りやすい(ライトロード・カオスドラゴン)事を考慮して3枚に決めました。


《強欲で謙虚な壺》
モンスター・魔法罠を比重よく手札に揃えたいため、カードを探し出すという役割面ではデッキにマッチしたカードですが、最序盤からエクシーズ召喚を意識していくデッキの狙い上、特殊召喚不可のラグが足を引っ張ってしまいがちです。
多少のテンポロスを考慮しても1枚までならなんとか処理が可能ですが、2枚ともなるとデッキ的な動きはかえって弱くなってしまいますから、搭載する枚数は1枚に抑えてあります。
元々搭載されていた2枚目はヴェルズマンドラゴと差し替えられました。詳細は上記の通りです。


《侵略の汎発感染》
サイクロンの増加に合わせて数を抑えました。
強み・勝ち筋でもありますが、重ねて引くことは負け筋ともなるため合わせて5枚ぐらいのバランスがちょうど良いかと思います。
サイド後は相手もこれを想定して除去の枚数を調整してくることが多く、合わせ打って数を減らすことが多かったも理由として挙げられます。
禁じられた聖槍とも役割が重複するため、除去回避に構築の枠を取られ過ぎてしまいます。


《侵略の侵喰感染》
ヴェルズの安定感を象徴しているカードで、1度のオピオン成立が後続の展開力を保証します。
パワーカードであるケルキオンを連発できる訳ですから単純に使っていても十分に強力ですが、起動にチェーンして破壊されてしまうと損失が大きいため、最初の起動には工夫が必要です。
1.エスケープ
あらかじめセットしておき、除去カード・戦闘にて破壊されそうになったヴェルズモンスターをコストとして引っ込めます。
侵喰感染を破壊できるカードがあればプレイされるでしょうが、元々破壊されるはずだったモンスターをコストとして確認を行っているため、損失は最小限に済んでいます。
2.ブラフ
サイクロンを発動し、チェーンして侵喰感染を発動されると役割を果たされてしまうため、相手の目に見える格好で侵喰感染を回収した後のセットカードには除去がプレイされ辛いです
結果、本命の罠が通しやすくなります。
盤面の組み立て方としては、オピオン+本命罠1枚⇒相手の攻めを罠でいなす⇒汎発感染を盾に追加の攻め手を展開⇒返しの相手ターンで倒されそうになったら引込める(上記1のエスケープと連携)となり、結果的に損失を抑え込みながら成立の判定を確かめられます。
3.複数セット
1のエスケープと2のブラフを併用したパターンで、本命の罠と2枚1組で伏せ、サイクロンを打ちづらい状況を作りつつ、オピオンをサポートします。
大嵐をプレイされた場合でも、侵喰感染自体はオピオンの効果にて無償で手に入ったものですからダメージはそれほど大きくなく、チェーンして侵喰感染を発動すれば返し手の保険を獲得できます。
前のめりののサイクロンプレイは侵喰感染という大ハズレが内包されているため、相手側が一方的にリスクを背負う格好です。



「防御」
基本的なカードばかりですが、前面に妨害要素を持たないビートダウンならではの採択がいくつか施されています。
展開するモンスターは相手の行動に影響を及ぼすことが無いものばかりです。オピオンそのものが有効な相手はせいぜいHEROビート・魔導・聖刻・カオス忍者等々、シェアが狭いものばかりです。
ゆえに、使用する防御カードは信頼性が高く受けの広いものが中心に選ばれています。


《エフェクト・ヴェーラー》
炎星の台頭を意識して徐々に数を増やした格好です。
直前までG1枚ヴェーラー2枚の構成でしたが、
1.マンドラゴとのシンクロ
2.炎星の流行
3.メインにトラゴーズの無い作りが知れているためGではゼンマイに突っ張られやすい
4.ミラーマッチにおいて、Gでは役割は皆無、ヴェーラーであれば有用性あり
の4点を考慮して全てヴェーラーに差し替えました。
エフェクトヴェーラーは擬似的に神の宣告のような役割を果たします。
少し分かりづらいかもしれませんが、つまりは防御の構え方の問題です。
神の宣告があれば大嵐をケアして何枚ものセットカードを場に置いておき、あらゆる事態を想定できる事は皆さんご存知の通りであるかと思われますが、逆に神の宣告が無ければ大嵐が懸念され、なかなかこの行動に踏み切れません。
実際あまり賢くない選択だと思います。初手のガバ伏せに対する大嵐の発動率は瞬間的な数字では15%でしかありませんが、同大会中同じスタンスを取り続ければその確率は徐々に増していき、いずれどこかで負けに直結します。
かといって単一の伏せで構えれば、サイクロンやナイトショットのような伏せ除去発動で戦線が瓦解してしまい、悪い結果に結び付くことに変わりがありません。
この解決に結び付くのがエフェクトヴェーラーです。
伏せ除去の影響を受けない間接的な除去を手札に構えることで、結果的に伏せ除去に屈しない防御体勢を築くことが可能になります。
神の宣告によって他の伏せカードをカバーして多段の防御を構えるのと同様、エフェクトヴェーラーも場と手札において多段の防御を構え、盤面の安定化を図ることが可能です。
ヴェルズの場合前面の前提となるモンスターはオピオンですから、モンスター効果に縛りをかけた上でこれが突破されるケースは非常に稀で、信頼の置ける防御であると言えます。


《神の宣告》
《神の警告》
《奈落の落とし穴》
一般的な除去です。罠デッキゆえ神の宣告のみ重みが変わってきますが、他2種の除去に然り、単純な除去としての運用で十分です。


《激流葬》
ビートダウンデッキに搭載される激流葬には少々違和感を感じるかもしれませんが、汎発感染と組み合わせることで相手側に対する一方的な全体除去に変化します。
基本的な運用はこの方向に絞られ、2枚1セットです。激流葬を手に持つ場面ではオピオンのサーチ対象として積極的に汎発感染を選択します。
必然的に両者は合わせてセットされることになるのですが、この布陣は安定感があり、リターンも大きめです。
障害となるモンスターがプレイされればノーマルに激流葬⇒汎発感染と発動して行けば良く、相手が安全確認のためにサイクロンを発動した場合、ハズレの汎発感染を射抜いてしまうと、汎発感染の解決後にモンスターを召還する事となるため、結果的に激流葬を一方的に受けてしまいます。
かといって攻めに出なければフィールドのオピオンは再び効果を適用して次なる汎発感染を手にしますし、攻めに出る場面の2伏せに対して大嵐をプレイしなかったことで手札にそれを持っていないことが発覚し、より一層厚い防御を敷かれる事態が想定されます。
単体のカードパワーも高く、デッキ的なシナジー・状況把握と有用性に秀でた除去です。


《月の書》
《強制脱出装置》
強制脱出装置と比較を行い、1枚を入れ替える形で月の書を1枚メインに搭載することを決めました。理由は7つあります。
1.ゼンマイのマジシャンシャークコンボの際、強制脱出装置ではセカンドチャンスが生じるため事態が解決しない恐れがある。マニュファクチャ擁立下の場合次ターンもう1度同じ仕掛けが行われる。
2.マーメイルのメガロアビスの行方に関係。手札に戻るとサルベージから2陣の恐れあり。コストが龍騎隊の場合そのままもう1度プレイされる可能性もある。
3.マーメイルのウンディーネ狙撃に関係。血の代償がセットされていた場合月の書なら生き残りの可能性あり。
4.マーメイルの重装兵に関係。オピオンが対象に取られた場合裏守備にする事で、追撃のメガロアビスやアビスフィアーが無ければ生存の見込み。守備力が1650あるためアビスパイクに負けず、ダメージのタイミングでは表に戻るためトラゴエディアもプレイされない。
5.魔導のシスティorブレイカー+ヒュグロのコンボに耐性。脱出装置ではトーラ罠宣言で抜けられてしまうため速効魔法の必要あり。
6.炎星相手に、脱出装置では一時凌ぎにしかならない
7.暗黒界のグラファ処理に関係。手札に戻すとディスカード効果からオピオンが破壊される可能性がある。戦闘破壊して墓地ならオピオンで蓋ができる。
ヴェルズを使ってからの対戦は10マッチ程度しか経験していないので抜け目も恐らくある事かと思いますが、それだけの対戦数でこれだけの利点が生じたのであれば、散らしの理由としては十分と判断できます。


エクストラデッキ

エクストラデッキには汎用性の高いランク4モンスターを用意しており、中でも汎発感染の対象となるヴェルズモンスターを多めに取り揃えています。
能動的なビートダウン行為に向いたモンスターはオピオンしか存在しないため、この部分は3枚の枠を割いています。
調整の段階では8枚しかエクシーズモンスターをプレイしませんでしたが、その8枚の中にオピオンの3枚目は含まれています。


《A・O・J カタストル》
マンドラゴとヴェーラーが3枚ずつの投入であったため、1度くらいはプレイの機会があるかもしれないと残しましたが、結局デッキを組んでから今に至るまで1度もプレイしたことがありません。
最近では聖なるあかりがヴェルズメタとして急増しているため、この枠はスカーウォリアーに変更するのが良いかと思います。


《ヴェルズ・ナイトメア》
プレイするとほぼ確実に損をします。
計3500以上の打点を950という非常に小さな枠に収めてしまうため、キルスピードも低下しますし、ほとんどの場合は攻撃態勢も維持できるジャイアントハンドの方が勝ります。
利点はヴェルズモンスターであることで、オピオン・ケルキオンの流れが決まった際、汎発感染のバックアップを失いたくない盤面で安全にプレイが可能ですが、頻度としては非常に低いです。


《ヴェルズ・バハムート》
ヴェルズ最強の返し手です。
ミラーマッチではこの存在ゆえ安易なオピオンのプレイが許されません。生半可な防御ではこの奪取から一瞬で盤面を支配されてしまいます。
またオピオンの突破には戦闘力の高いモンスターがプレイされることが多く(パール、マエストロークetc)、オピオンから獲得した侵喰感染でケルキオンを獲得しておき、返しの盤面にてこれらの脅威を奪い去る戦い方が非常に強力です。
相手側はバハムート・奪われたモンスターの両者に対する回答が求められますから、この状況を打開するのはそう容易いことではありません。
本戦では4度プレイし、全試合勝利に直結しました。


《ヴェルズ・ウロボロス
こちらもナイトメア同様、汎発感染絡みのヴェルズ縛りでアクションを起こす際にプレイされます。
ただし、死者蘇生でも絡まない限りはヴェルズ3体でプレイされることがほとんどで、その場合はヴェルズバハムートがプレイ可能となりますから、バウンスにより相手の脅威を排除するという事は基本的になく、考えられるケースとしては、相手の墓地ないし手札に確実に取り除きたい脅威があり、かつヴェルズでなければならない(可能であればショックルーラーの方が好ましいことが多いため)といった状況となり、より一層限定的です。


《ジェムナイト・パール》
《交響魔人マエストローク》
《ガガガガンマン》
《恐牙狼ダイヤウルフ》
汎用ランク4エクシーズ群です。各々必要性に応じてプレイします。
ヴェルズ固有の利用方法などは特にありませんが、ガンマンはオピオン+ケルキオン+カストル+ヴェルズモンスターによる2ターンキルに用いられます。


《ダイガスタ・エメラル》
長期戦の際、肥え切った墓地からダークアームドドラゴンをプレイすること、ビートダウンミラーにおいてジェムナイトパールを蘇生することの2つの仕事を持ちます。
しかしながら両者共に稀なケースで、ジャイアントハンドの登場でエクストラデッキが圧迫されつつあるため、今後の投入はあまり考えていません。


《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》
防御カードの存在しない状態で水精鱗・ゼンマイを相手にするのに用います。
2本目以降スノーマンイーターライコウと言った汎用サイド群もまとめてケアするため、プレイ機会は多く、抑え込みにも大変重宝します。
本戦では謙虚で回収された大嵐に対し、魔法宣言を連呼してそのまま押し切る事もありました。
他のデッキのように、アドバンテージを獲得し切った延長線上でプレイされる訳ではないため、3体消費のプレイは非常にリスキーですが、見合った価値を発揮するカードであり、モンスターに溢れたハンドでは明確な勝利プランの一つとなります。


《No.50 ブラック・コーン号》
破壊耐性を持つモンスターで詰んでしまわないよう保険的な意味合いでの投入です。
主な破壊対象はゼンマイン・マエストローク・魂を削る死霊など。
マーメイル相手には2体展開が決まった場合2体を配したままターンを終え、コーン号の脅威を突きつけてアビスフィアーの発動を抑止するプレイもあります。
※主に同ターン中何からしらの罠をセットしたい場面で使用、後攻1ターン目宣告絡みのガバ伏せ時など。カストルサンダーバードの展開時など特に有用。


《No.106 ジャイアント・ハンド》
主にヴェルズミラー・セイクリッド相手にプレイすることとなり、ケルキオン・ソンブレスのケアに用います。
闇以外の脅威という点を利用し、除去を誘ってダムドをプレイする墓地の調整にも用います。


サイドデッキ

メインのエフェクトヴェーラーに加え、ゴーズ・増殖するGの手札誘発をふんだんに採用し、罠デッキ同士の対決においても手札から使用していける禁じられた聖槍の他、後出しの利く強制脱出装置を3枚用意しています。
ヴェルズには以下の特性があります。
1.大型を場に立てやすい
 ラビット・カストルによる速効性から汎発感染によるバックアップ
2.返し手が強力
 ケルキオンから豊富な4エクシーズ、ケルキオン自体もサーチ可能
前者はGヴェーラーを運用してい行く上で必要となる「場に残った脅威の排除」を解消し、後者は罠デッキにありがちな「1度前面を崩されてしまうと持ち直しが利かない問題」を解消します。
以上の事から大嵐を諦める必要性が無くなり、手札誘発と組み合わせることで多段の防御体勢を成す、安定的なプランを構築できるようになりました。
無論状況次第では危険なガバ伏せも必要となりますが、頻度としてはそれほど高いものではありません。(エフェクトヴェーラー項にて前述)


冥府の使者ゴーズ
対ゼンマイにおける1ターンキルケア、ビートダウンミラーで投入します。
対ゼンマイ戦ではヴェルズが場にモンスターを配せないことはほぼないため、1ターンキルを狙う場合はヴォルカザウルスがプレイされることがほとんどです。
そのためゴーズをプレイできれば不要なダメージの一切をカットできる他、それまでに一定量ビートダウンができていれば反射のバーンダメージで焼き殺すことも可能で、少し足りない程度でも返しのターンにゼンマイティあたりを攻撃すれば十分量のダメージが見込めます。
ビートダウンのミラーマッチでは一通りのデッキに対して投入します。
ヴェルズのゴーズは警戒されづらく、ヴェルズミラーに関しても、オピオンが攻撃反応系の除去をケアして2回目の効果を使うことも珍しくないため、サイクロンや大災害で伏せを片付けながらこれをプレイするプランがあります。
現在ではリストが出回ったため警戒される場面も出てきましたが、投入時点では非常によく機能しました。
ゴーズが出てしまえば戦闘面で圧倒優位となるため、相手の手札に加わった汎発感染はほとんど意味をなさなくなります。


《増殖するG》
現状のゼンマイは群雄割拠や御前試合といった致命的な永続による詰みを回避すべく、砂塵の大竜巻をサイドデッキに取るのが一般的です。
ヴェルズの構成上自然に御前試合が投入可能なため、当然これを意識して、相手側からもサイドデッキの砂塵の大竜巻が投入されてきます。
これでは完全に相手側の思惑通りで、メタに合わせ打っていては有った無かったの勝負となりかねません。
こうした状況の打開には2つの方法があり、1つは相手の用意する対応策よりも多くの枚数を被せる方法で、もう1つは相手の対応策とは角度の異なるメタを合わせて勝負する方法になります。
今回の場合は「永続罠を通せるか」、という部分の話になりますが、こちらの最大3枚の御前試合に対し相手は大嵐1枚サイクロン3枚砂塵の大竜巻1〜3枚の計5〜7枚を備えており、この枚数に打ち勝つのは非常に困難です。
また相手側のメタが魔法罠除去と言った汎用的なものであるのに対し、こちらの用意は2枚目以降が無駄になりやすい永続カードで、圧倒的にリスクが高く、張り合うのは割に合いません。
よってもう一つのプランである「角度の異なるメタ」に焦点を当て、増殖するGをフル採用しています。
メインのヴェーラーと合わせ、手札誘発特化のプランです。
相手目線で見ると、前述した永続罠カードを警戒するがゆえに複数枚のセットに対して事前に除去をプレイするのは躊躇われがちであるため、永続の採用を断ち切ることで各種除去が有効に働きやすくなっています。
仮に伏せ除去をプレイされたとしても、手札の本命(手札誘発)に触れる訳ではないため、どちらに転んだにせよ有効に働き、こちらの都合が悪くなることはありません。


《次元の裂け目》
《ソウルドレイン》
対マーメイル・暗黒界用のメタです。
僕はこの手の盤面に干渉しない永続カードを個人的に嫌っており、採用をギリギリまで見送っていたのですが、この点に関して相談した人物2人から強く採用を勧められ、実際僕自身もこれに代わる回答を用意できなかったための相談でしたから、改めて採用を決めました。
結果としては、完封できたゲームが1つと、搭載した4枚全てを引き切ってもたついている間に引き分けたゲーム1本のイーブンイーブン。
両極端ですが、確実な正解とは言い難いように思えます。
昨年末のジャンプフェスタにてリリースされたアーマーカッパーの存在により、ディーヴァは妨害が必須のモンスターとなってしまいましたから、安全に手札誘発をプレイできるよう次元の割合を減らす必要性が生じてきています。


《禁じられた聖槍》
同系および炎星を筆頭とするビートダウン同系に対するメタです。
ミラーマッチの先行オピオンは非常に強力なアクションですが、汎発感染及びこの聖槍をバックアップとして用いたヴェルズバハムートが窮地をチャンスへ転換します。
他、炎星の繰り出すコンバット系のカードに対して非常に有効で、どれだけの数値を持っていてもこの聖槍1枚で十分突破可能になります。
ビートダウン同系でのダメージコンバットとしての優秀さはもちろんの事、暗黒界のグラファをオピオンで戦闘破壊、魔導のヒュグロ・ゲーテをケア等、細かな用途もいくつか持ち合わせており、非常に優秀なサイドカードです。


《強制脱出装置》
必要とされる相手の追加用として。
先伏せ・後伏せ双方に利点があり、エクシーズモンスターに対する除去としてはやはり最高峰の性能だと思います。
僕が最近作るデッキにはメインとサイドを合わせてこれの複数投入が標準化してきています。
ヴェルズは高速のビートダウンデッキであるため、この脱出装置で場をこじ開け、アドバンテージ面での損失を被りながらもライフを奪いきるといったプランも十分現実的です。
早い段階で突きつけたプレッシャーに対し、相手が無理のあるエクシーズに向かいやすいのもポイントです。
デッキ的な相性は非常に良いためメイン3枚の構築が主流となっていますが、先の月の書の項で述べた理由から、1枚をサイドに落としています。


《邪神の大災害》
プライドの咆哮のようなビートダウンメタが増え始め、汎発感染の上からでも伏せが厚みを持つようになりました。
プライドの咆哮は計算時限定の発動であるのに加え罠カードですから、必ず場に置かれます。
災害のトリガーとなる攻撃宣言の条件まで相手側で整えてくれるので綺麗に一掃できます。
チェーン聖槍もダメージステップ前の段階なら汎発感染で弾けます。
※自分からのアタックは保険のモンスターを展開して攻撃するだけで良いので、問題とされる場面ではケアを利かせながら動く前提です。
相変わらずほとんど警戒されることが無い1枚なので、後攻スタートでも一撃でゲームを決定付けられます。


《魔のデッキ破壊ウイルス》
特定のデッキ相手に非常に高い効力の望める1枚ですが、イマイチ信頼性に欠けるため打てればラッキー程度の感覚で1枚だけ採用しています。
と言うのも、ビートダウンデッキで2000以上の打点を単純に消費してしまうのはあまりに惜しいためです。
主な対象となるゼンマイにも最近は炎舞天キの搭載が標準化されつつありますし、マニュファクチャの存在も考えると裏目が多くあります。
マーメイルにもサルベージの裏目があり、これは逆にゲームを決定づけられる要因にもなりえます。
コストの関係上発動機会も1回限りだと思いますから、個人的には1ないし0の採用枚数で納得しています。


《侵略の侵喰崩壊》
ゼンマイ戦における詰みへの一手です。
相手が有効に発動できるデッキと確定していれば良い働きをします。
基本的には損をするカードなので、闇雲なサイドインはお勧めしません。
バウンスが有効となる相手、つまり複数のエクシーズを攻めの基軸に置く相手であることが前提条件です。
相手側のデッキに魔法罠除去がまるでなく、汎発感染が有効に使用できないと考えられる場面で入れ替えるのも良いです。
フリーチェーンゆえに最低限の働きはします。


採用しなかったカード

以下、今回の構築で採用を見送ったカード群です。


《ヴェルズ・アザトホース》
主にミラーマッチにおけるオピオン除去要員として採用される傾向にありますが、先にオピオン擁立に成功されてしまうと、そこから獲得される侵喰感染により2体目のオピオンがすぐにフィールドに現れてしまいます。
裏守備を初動とすることで2度目のオピオンサーチ効果の発動も可能となり、手元には追加で汎発感染も入りますから、ここを捌くのは非常に困難です。
侵喰感染を破壊する、ないし無効スペルを決める、そのどちらかを追加で合わせなければアザトホースは無駄となってしまいかねません。
結果、ミラーマッチの後手側の回答はヴェルズモンスターを多めに採用する事によるバハムートの逆襲に特化し、聖槍や災害を採用してこの動きを全力でサポートする方針に決めました。
プランの強みとして、戦闘を介さないことで相手側のダメージコンバット系のカードのあらかたを避け、かつ成功すれば大型を2体取り揃えることができるので、相手の解決策も2つが必要になってきます。


《闇の誘惑》
オピオンを起点に動くデッキの都合、動き出すのに2枚のモンスターが必要不可欠です。
また、そのオピオンからサーチする侵喰感染にてケルキオンを獲得する動きのために、3体目のモンスターが必要になります。
よって、ヴェルズ3枚までの手札は一般的に「良い手札」です。誘惑は発動する必要がありませんし、かえって愚策です。
結果誘惑の交換により利がもたらされるのは4枚目以降のモンスターを持つ状況という事になり、そこに誘惑自身をカウントして手札を想定した場合、「モンスター4枚以上+闇の誘惑」という手札が必要になります。
確かにこうした状況での闇の誘惑はこれ以上なく頼りになる1枚ですが、成立までがあまりに限定的で、このような場面は滅多に訪れません。
他、オピオンの召喚になかなか辿り着かない3枚以下のヴェルズモンスターが重複している場面でも有用な発動が認められますが、その3枚の中にマンドラゴ・カストル・増援が1枚も絡んでいないというのもまたレアケースです。
不要と判断するには十分な理由が揃っています。


《禁じられた聖衣》
水精鱗相手には非常に有用性のあるカードです。
相手側がオピオンを突破するためのメインプランである重装兵をどの角度からでも弾くことができますし、サブプランのエクシーズによる突破(バハムートシャーク・アシッドゴーレム・ゼンマイン)の全てに対応可能と文句無しの働きを見せます。
ですが、これはあくまで水精鱗相手に限った話で、かつオピオンの擁立に成功し、かつ相手に伏せ破壊の手段が無い、等々折り重なる条件の上でようやく成立するケースです。
投入を控えたのは汎用性の面で融通が利きづらいと感じたためです。
激流葬や奈落の落とし穴のようなカードの回避にも用いることができますが、そうした除去をケアするカードとしては汎発感染と役割が重複しており、サイクロンや大嵐と言ったカードと合わせて考えると少々やり過ぎです。
ダメージステップの発動カードとしても聖槍に劣る600と言う数値は信頼性が低く、総じてうまく使える盤面が限定され過ぎています。
魔法罠以外の除去が豊富な水精鱗・暗黒界相手のサイドカードとして考案したこともありましたが、採用が確定していた聖槍と役割が被っていたのも問題でした。
使えず終いに終わるリスクを内包した汎用性の低さに目を瞑るよりは、オピオンは「除去から守る」のではなく「ケルキオンを用いてもう1度出す」ことに目を向けた方が効率的です。


《マクロコスモス》
次元の裂け目の欠点である「破壊できる体制が整うまではカードを温存される」をある程度克服できますが、水精鱗はカードを墓地に送る行為をコストとしているため、結局前立って表向きにしておく必要があります。
暗黒界相手には有効にプレイできますが、水精鱗相手にはあまり意味をなしません。
アーマーカッパーの登場した現在ではエクシーズ素材を除外できることに利点を見出せますが、次に気になるのは自身に対する影響度です。
ヴェルズがここまでトーナメントに台頭するレベルのデッキに昇華されたのはひとえにヴェルズケルキオンの力で、前述したようにケルキオンはヴェルズのあらゆる要所を担います。
マクロコスモスの利点は上記に挙げた通りエクシーズ素材をもまとめて取り除く点にありますが、強みであるはずの除外行為はケルキオンを考慮するとそのまま自分への跳ね返りともなります。
水精鱗のサイドデッキにはスノーマンイーターやライトロードハンターライコウの採用率がそれなりにあり、マクロコスモスの性質上自らそれを表向け、除外の体勢を明示的にした上で相手にそれらをセットされる格好となり、非常に博打的な採択となります。


《御前試合》
上記の増殖するGの項で記した通り、展開重視のデッキに対する永続のプランを取り下げたためです。
これらのメタカードや侵略の侵喰感染等考慮すれば、ヴェルズに対して積極的にサイクロン等の魔法罠破壊カードをプレイする道理はありません。
よってこれらの永続に対し、温存されたそれらは的確に発動されてしまい、考えていたような防御態勢は成立しないことがほとんどです。
次元の裂け目やソウルドレインはこれに勝るものが無かったために採用と言う格好になりましたが、対ゼンマイを意識する上ではビートダウンデッキであること+Gヴェーラーの優秀なプランがありますので、敢えてリスクのある方向を選ぶ必要は無いと考えています。


《プライドの咆哮》
ダメージコンバット系のカードは文字通り戦闘にしか関係しないため、積み過ぎると事故に繋がりやすく、伏せておかなければ機能しないため大嵐に弱くなる問題が伴います。
10回戦を戦い抜く上で大嵐に負ける構造にはしたくないと常々考えていたので、その方針に従事しました。
コンバット系のカードは既に禁じられた聖槍の3枚が用意されており、この枚数で十分だと判断したことも挙げられます。
ちなみに大嵐を無視してゲームを進めたのは25本ほどプレイして1本だけです。


《ヴェルズ・バハムート》2枚目
1枚目のバハムートを除去された、という事は2枚のヴェルズモンスターないし1枚のレスキューラビットを消費しています。
この状態で2枚目のバハムートをプレイするためには、レスキューラビットorケルキオンorヴェルズモンスター2体と、コストとして使用するヴェルズモンスターがさらに1体必要です。
ほとんど一人回ししかしていないのですが、そのような手札状況になったことがまずなかったので、理論上は必要でも実際に可能とされる場面はほとんどないと踏み、採用を見送りました。


今後の改善点

TCS前後よりヴェルズは急速に広がりを見せ、トーナメントシーンに台頭し始めました。
現在では意識レベルも高まり、聖なるあかりやプライドの咆哮を筆頭とした対抗策が増えてきています。
また、冒頭で記したVE8が登場した事により相性で分の悪い炎星が徐々にシェアを広げつつあるのも懸念事項の一つです。
今回解説を行った構築では現在のトーナメントを戦うのは難しいでしょう。
最後に、使用から今回の執筆に至るまでの間の変遷を考慮したタイプの構築を紹介し、締めとさせていただきます。

上記リストより変更点


エクストラデッキ変更前
A・O・J カタストル
ダイガスタ・エメラル
↓
変更後
イビリチュア・メロウガイスト
スカー・ウォリアー


サイドデッキ変更前
ソウルドレイン
次元の裂け目×3枚
邪神の大災害
侵略の侵喰崩壊
魔のデッキ破壊ウイルス
↓
変更後
スカル・マイスター×3枚
デモンズ・チェーン×2枚
ブラック・ホール
ブレイクスルー・スキル


《スカー・ウォリアー》
AOJカタストルからの変更です。
単体のスペックとしてはカタストルに勝るレベル5シンクロは存在せず、何かしらの理由が無ければこの処置はなされませんが、行われたという事は当然意味があり、今回の場合は聖なるあかりの存在がここに挙げられます。
聖なるあかりはヴェルズにとって非常に危険なカードです。メインギミックでは全くと言っていいほどに対処するすべを持たず、その処理には必ず何かしらの工夫が必要になってきます。
スカーウォリアーもその一環で、ヴェルズモンスターの反転召喚からヴェーラーを召喚し、シンクロを行う事でプレイが可能となります。
闇属性のカタストルを外すと、他候補としてマジカルアンドロイドの採用も考えられますが、現状2400である事の意味が特に見い出せません。
カタストルレベルならまだしも、攻撃力が2400あるだけのバニラモンスターのために貴重な防御手段であるエフェクトヴェーラーを消費するのは大変好ましくなく、余程の必要性に迫られていない限りこの選択を取ることはあり得ません。
聖なるあかりは十分過ぎる程に「余程の必要性」を持った脅威ですが、その場合は攻撃力の数値はさほど問題ではありません。
ともなれば、目を向けるべきは各々が持つ効果になります。
アンドロイドはご存じの通り、エンドフェイズにライフを回復します。エキストラターン付近でこそ重宝すれど、基本的にはあってないような効果です。
スカーウォリアーは2つ効果を持ち、一方は他の戦士族モンスターへの攻撃を自身に誘導する避雷針能力、もう一方はターン1制約のある戦闘破壊耐性能力です。
避雷針能力に関しては、デッキ内の戦士族がカストルしか存在しないことを考慮すると、役立つことはまずありません。ライフ回復よりも意味のない効果とも言えます。
注目すべきは戦闘破壊耐性能力の方です。ターン1制限こそあれど、元々の攻撃力が2100あり、これを上回る数値を用意することは簡単にはいきません。擬似的な不死モンスターとして盤面を支えてくれます。
また、聖なるあかり同様、ヴェルズを含めたビートダウン系のデッキに対するメタとして使われているプライドの咆哮の存在がこの能力に付加価値を与えます。
プライドの咆哮は一時的な上昇効果であるため、このタイミングを破壊耐性能力で凌いでしまえば続くターンで再度攻撃を行えます。
あかりもこのプライドの咆哮に対応しており、多くのライフを払いこそすれど、攻撃モンスターは処理されてしまうため決定打となりかねません。スカーウォリアーはこの線に蓋をできます。
またプライドの咆哮同様、炎星の繰り出す炎舞天センにも同様の効力が期待でき、エンショウ・リュウシシンでは単体の突破が図れません。
アンドロイドに比べて遥かに利点が多いため、ヴェーラーとのシンクロ枠としてはスカーウォリアーを選択するのが無難でしょう。


《イビリチュア・メロウガイスト》
頻度としてはそれほど高いものではありませんが、時折必要性が生じ、またその代替は効かないことがほとんどです。
主な処理対象となるのは、暗黒界のトランスデーモン、水精鱗の裏側守備表示、それにゼンマイの置く裏側守備表示モンスターです。
・暗黒界の門+スノウ+トランスデーモンの暗黒界側のブン回りパターンをケア。
・水精鱗の裏守備はアビスリンデの可能性が非常に高く、この処理の成否は相手側のゲームプランの行方に関係するため影響度が高く、存在の有無が勝敗を大きく左右します。
・ゼンマイの裏守備も同様、クリッターないしゼンマイネズミの起動を意図するものです。スタートとしては苦しそうでも、一度墓地に送られれば途端に回転し出すことから、この行方も非常に重要な要素です。
TCSでは1回戦の1本目・2本目で必要となり非常に歯痒い思いをしました。
代わりにアウトとなったダイガスタエメラルは実戦を経験してみるとほとんど使い道のないモンスターであるため、この入れ替えを実施しました。


《スカル・マイスター》
アーマーカッパーの登場により、深海のディーヴァに対して的確にGヴェーラーをプレイする必要性が生じ、それを妨げる次元の裂け目は非常に使い辛いカードになりました。
この事態を考慮し、ここ最近の墓地対策はソウルドレインにシフトする傾向がありましたが、罠カードゆえに相手側先行のアビスフィアーセットに対応できないという欠点があります。
出遅れてしまうどころか狙撃兵との組み合わせで破壊されてしまう可能性すらあり、このシフトは非常にリスキーな選択でした。
この問題を解消してくれるのが、スカルマイスターです。
手札誘発ゆえ速効性がありますし、引き込んだ瞬間から機能が望めるため一手遅れと言う事態が存在しません。
ダメージステップにも有効なため、水精鱗のセットカードに対して積極的な攻撃を仕掛けることが可能です。
水精鱗側はアビスリンデ以外にもジェネクスコントローラーや海皇をよくセットするため、攻撃に踏み切る選択肢が取れるのは大きな変化です。
スカルマイスターの欠点として、直前のチェーンブロックにしか反応できないといった問題があり、これはメガロアビス絡みの複数チェーンブロック発生に関係するのですが、ヴェルズであればオピオンがこのメガロアビスの召喚そのものを抑止してくれるため、デッキ的な相性も良好と言えます。
手札誘発を軸に防御を構築できるため、大嵐を諦める必要がなくなったのも大きな利点です。


《ブラック・ホール》
《デモンズ・チェーン》
《ブレイクスルー・スキル》
聖なるあかりを意識したカード群です。
あかりを意識するだけであれば他にも様々な選択肢がありますが、これらのカード群はあかり以外のカードに対しても使用していけることを考慮して採用してあります。
あかりを主に投入してくるデッキは、炎星を初めとした闇を取り扱わないビートダウンデッキ、それにゼンマイで、これらのデッキには効果無効のスペルが有効に働きます。
メインギミックのみを見ればもっと直接的な除去を当てるのが好ましいのですが、あかりの意識を前提に考えるとその有効牌は非常に限られてきます。
デモンズチェーンとなっている理由に関しては、
・あかりに対して攻撃を行い、除去やプライドの咆哮等でそのターンの撃破に失敗した場合でも、引き続きの無力化を図るため
・禁じられた聖槍をプレイされた場合でも、エンドフェイズを迎えれば再び無力化できるため
・炎星モンスターを相手にする際、天権をプレイされた場合でもバトルフェイズに入れば再び無力化が適用されユウシ、エンショウを抑え込める
・攻撃を抑え込めるので、あかりの隣に並べられたアタッカーに対して発動する選択肢も取れる(裏守備の保護)
があります。
サイクロン等の伏せ除去を警戒する場合はブレイクスルースキルが有用です。
セットしたターンのエンドフェイズに破壊された場合でも、これであれば墓地からあかりの破壊に貢献できます。
今回はデモンズチェーンを2枚、ブレイクスルースキル1枚を採用しました。
大嵐されたり、勇炎星エンショウの破壊対象とされた際などデモンズチェーンでは裏目の出るケースもありますので、重ねて引いた際に選択肢を持たせられるよう数を散らせてあります。


■不要と判断されたカード群
《次元の裂け目》
《ソウルドレイン》
上記スカルマイスターの項にて説明済みですが、アーマーカッパーの登場を受け、次元の裂け目が廃案、ソウルドレインへの移行は後攻時の遅れが深刻な問題となり、結果としてスカルマイスターに変更となりました。
暗黒界相手には徐々にプランが劣化していますが、水精鱗のシェアが急速に広まり、逆に暗黒界が激減した現在のメタ事情を考えれば、合理的な採択となるはずです。


《邪神の大災害》
あかりを意識する上でスペースを迫られており、止む無くアウトに至った1枚です。
主な投入対象であった炎星に対してデモンズチェーンを投入することになり、アンチシナジーを形成してしまったことも要因の1つです。


《魔のデッキ破壊ウイルス》
《侵略の侵喰崩壊》
投入する相手が限定的であり、無駄が多いです。
確実性も薄く、足を引っ張る場面も多いので、抜いてしまって差し支えないとの判断です。




以上です。
引き続きのビートダウン環境ですが、1か月前の時点とは大きく状況が異なってきています。
既存の構築に固執せず、柔軟な変化を心掛けましょう!
最後までご覧になっていただきありがとうございました^−^