魔導VS征竜


[2013/04/03 23:06:57] yume: ゆめさん絵うまいな
[2013/04/03 23:07:13] yume: 誰か魔導vs征竜みたいな記事かいてこれ使ってよ(^-^)/
[2013/04/03 23:07:28] J-SPEED: 任せろ
[2013/04/03 23:07:37] yume: やったー(^-^)/


魔導VS征竜

2013/3環境が始まって1ヶ月が経過しました。
近年のメタゲーム変遷は大変著しく、前環境もそうであったように(記事リンク)この3月も繰り返されるメタゲームがトーナメントシーンを激変させています。


《魔導書の神判》により一躍トップメタへと躍り出た魔導は環境初頭から好成績をマーク。
第1ターン目から生成される圧倒的なアドバンテージの前に、数多のデッキが淘汰されてきました。
中速以降のデッキは軒並み食い物となり、前環境終期あれだけの猛威を振るった3軸炎星でさえ例に漏れなかったのです。


この選別の中、生き残ったデッキタイプの1つに今回取り上げる征竜があります。
LTGYにてリリースされた征竜は店頭配布プロモーションパックに封入された下級征竜を用いることで、同ギミック内で完結したデッキタイプとして確立されます。
魔導同様暴力的なアドバンテージ発生機能を持ち、この対抗馬として徐々に頭角を現し始めます。


今回は2極化の進む現環境のこれまでのいきさつを振り返り、メタゲームの内容をまとめて行きたいと思います。

魔導・基盤の確立

正式な施行に先駆け、新制限最初のイベントとして第8回新宿杯が開催されました。
ここでテンプレートとなる魔導の構築が打ち出されます。


2/17 第8回新宿杯2位 魔導/鉄蟹さん
http://sinjukuhai.seesaa.net/article/324368653.html


モンスター比、魔導書比等、構築そのものの認識は使用者の間でこそ合致しやすいものの、それは実際に構築を手がけた人間らの見解であり、外向けに情報が公開された事は大きな意味合いを持ちます。
環境初頭はメタの手段も精度もそれほど高くなく、いわゆる「ブン回り系デッキ」が幅を利かせる事が多いのですが、本来のスタートである3月から2週間も早いこの時点より研究が推し進められる格好となり、メタゲームの高速化に拍車をかけることになります。
実際この日好成績をマークしたヴェルズの搭載していた《闇のデッキ破壊ウイルス》の有効性は高く評価され、今後のメタゲームに大きく影響することとなります。


征竜・《闇のデッキ破壊ウイルス》

以降開催されるトーナメントでも魔導は順調に成果を残していきます。
構築の定まりきらなかった環境初頭こそいくつかのジャンルが上位に駒を進めることもありましたが、魔導側が構築の精度を増す毎にその数は減少していきました。
トーナメントを勝ち上がれば、魔導と戦うことは避けられない道です。
それだけ魔導は強く、ゆえに数も多いからです。
勝ち抜くためには魔導を打ち下すための明確な手段が必要となりますが、その方法の1つとして《闇のデッキ破壊ウイルス》が注目されるようになります。
ヴェルズ・暗黒界・3軸炎星・ドラグニティ等々いくつものデッキがこれを手掛けることとなり、中でも一際このカードを生かすことができたデッキこそが「征竜」でした。


征竜はこれまでに存在してきたデッキの中でも非常に特殊な戦い方をします。
一般的な対戦において、2者間の優勢・劣勢を表すのは場に出ているカードや手札に持っているカードの総数等、目に見える部分のアドバンテージで判断できることが多いのですが、征竜の場合、墓地状況がこれに加算されます。
これまでにも墓地をリソースとして用いるデッキは存在しましたが、それがメインリソースとしての価値を持つことは稀でした。
墓地にカードさえ揃っていれば、次のターン、その次のターンと連続的に展開が可能で、かつフィールドや手札のアドバンテージも瞬時に回復が可能と、一般的なアドバンテージの概念からはややズレています。


繰り返し使用の図れるその征竜も、単体で運用すれば擬似的な不死モンスター程度の役割しかありませんが、エクシーズを用いることで明確な脅威に変換できます。
《No.11 ビッグ・アイ》《幻獣機ドラゴサック》はボードアドバンテージ獲得に長け、相手側のリソース消費を強要します。
エクシーズ素材となった征竜は消費されれば再び墓地に送られるため、リソースとして再活用が可能です。対処されてもアドバンテージを失いません。
大型を駆使する割に相手の除去カードに対する対応策が取られていないのはそのためで、防御を払いのけるための《サイクロン》のようなカードは必要とされていないのです。(封殺系の永続対処除く)
また、対処されても構わないということは、自ら犠牲にする選択肢を取ることも容易であるということになります。


3/3 第13回カード王CS1位 征竜/sinさん
http://ameblo.jp/card-oh-namba/entry-11483454479.html


それこそが征竜が闇のデッキ破壊ウイルスを最大限活用できる理由であり、「闇属性攻撃力2500以上」というシビアなコストもほぼノーリスクで満たすことができるのです。
魔導側は《魔導書の神判》の性質上魔法カードを多めに採用せざるを得ないため、この直撃を避けられません。
《魔導書院ラメイソン》等ささやかな対策もありますが、期待値が薄く征竜側もこのケアは簡単にこなせます。


コスト面以外にも、征竜が他の選択肢より闇のデッキ破壊ウイルスの発動に適している理由として、成功率の高さがあります。
闇のデッキ破壊ウイルスを持った状態で《ヴェルズ・オピオン》や《天狼王ブルー・セイリオス》を先行1ターン目にプレイできる確率は一般的な構築で6割程度ですが、征竜がビッグアイをプレイできる確率は9割近くあります。
征竜を少しでもプレイしてみた方なら分かるかと思いますが、動けないと言う状態が基本的に存在せず、行動可能な状態は即ち闇デッキの発動が可能な状態を表します。


征竜・《光と闇の竜

征竜が魔導と並び勢力を拡大した結果、イベントで征竜がトップシェアを誇ることも頻繁に見られるようになりました。
発動自体はローリスクだった《闇のデッキ破壊ウイルス》もやはり相手のデッキ次第で効力に差があり、こうなってくると実質的なディスアドバンテージを被ってしまうケースが増加します。
とは言え魔導のシェアも決して低いものではなく、征竜の構築は自身と魔導の板挟みに合う苦しい展開が訪れるようになりました。


3/10 第2回蒲田CS2位 征竜/でぃんさん
http://blog.livedoor.jp/mitsu713/archives/52104462.html


その中間的なアイデアとして打ち出されたのがこの《光と闇の竜》を用いるプランです。
《嵐征竜−テンペスト》《エクリプス・ワイバーン》《おろかな埋葬》を用いてデッキ内の《光と闇の竜》にアクセスすることで、召喚権を持て余す征竜では第1ターン目からこの召喚を狙いに定める事ができます。
魔導側の《光と闇の竜》に対する回答は非常に狭く、《魔導法士 ジュノン》《月の書》以外に有効な回答を持ちません。
一度《魔導書の神判》が成功すれば《魔導法士 ジュノン》《ゲーテの魔導書》の2つの回答を確保できるため《光と闇の竜》は無力ですが、先行での召喚であれば高い効力が期待できます。
何より《闇のデッキ破壊ウイルス》より圧倒的にミラーマッチで生かしやすい利点があります。増え始めた征竜と相変わらずの人気を誇る魔導の両デッキを意識する上で画期的なプランであったと言えます。


魔導・《昇霊術師 ジョウゲン》

順当にシェアを拡大し続けた征竜は遂にシェア率トップの座に君臨し、魔導を2番手に引き下げました。
長年の歴史を誇る関東の人気イベント「関東チャンピオンシップ」でも最大シェアを記録しています。
しかしながら同大会、決勝トーナメントに駒を進めたデッキ分布の段階では魔導が征竜を逆転しており、順位に関してもベスト4・12デッキの内魔導が10名を占める結果に終わりました。


3/20 第14回関東CS2位 魔導/みらーふぉーすさん
http://kantocs14.seesaa.net/article/350921753.html


その要因はメインに搭載された《昇霊術師 ジョウゲン》に他なりません。
魔法使い族であるこのカードを《魔導書の神判》のサーチ先に用意し、メインデッキの段階から征竜を強く意識した構造となっています。
征竜側はメインギミックでジョウゲンに触る現実的な手段をほとんど持たず、頼みの綱の《ブレイクスルー・スキル》は《トーラの魔導書》の対処範囲内であり、下級征竜による攻撃には《ゲーテの魔導書》、《焔征竜−ブラスター》には《ネクロの魔導書》と、魔導側の対応策が全てサーチ可能な「魔導書」の範囲内で解決しています。
また解決に費やせるターン数が短いのも征竜側にとっては大きな問題で、盤面を放置してターンを回すと《魔導書士 バテル》を重ねての《シャインエルフ》《アーマー・カッパー》、神判で回収したトーラ・ゲーテのセット等、状況が次第に悪くなっていきます。


また特殊召喚を封じるジョウゲンは征竜以外のデッキにも多大な影響を及ぼし、特殊召喚に依存かつ盤面解決能力の低いデッキが壊滅的な被害を受けました。
ドラグニティのワンショット構築、水精鱗のテンポ構築等は起点が破壊されてしまい、アドバンテージ面でのゲームを強要されるようになってしまったのですが、そうなってくると神判のアドバンテージに真っ向から対抗していくのは至難の業です。
結果トーナメントシーンのメタは一層狭まり、メイン・サイド共に魔導・征竜への意識がより一層強まって行きます。


征竜・《月読命

ジョウゲンに対する対応策は非常に限定的で、この攻略を考える際は大いに頭を悩まされることになります。
魔法・罠では《トーラの魔導書》で無力化されてしまい、攻撃は《ゲーテの魔導書》に阻まれ、モンスター効果による処理を目指すしかないのですが、ジョウゲン自身の特殊召喚不可効果とゲーテの対応力が回答を更に狭めます。
この苦しい状況下の中、遂に征竜が見出した回答として《月読命》が浮上しました。


3/24 東海CS2013春1位 征竜/光さん
http://tokaics.seesaa.net/article/353464927.html


召喚権を持て余す征竜なら《月読命》に召喚権を費やすことは問題にならず、《焔征竜−ブラスター》では「リソースの問題でそのターン中に殺しきれない」という課題もクリアすることができ、殺しきれない場合でも同じくブラスターが課題としていた「返すターンの《ネクロの魔導書》による蓋」を繰り返し使える《月読命》が解決してくれます。
非常に画期的な回答で、これまでの征竜が魔導に対してそうであったように、魔導側もまたこの《月読命》に対して明確な回答を持てずにいたのです。
再び征竜が盛り返す格好となり、魔導側は新たな策の提示を求められるようになります。


魔導・《群雄割拠》

その回答が示されたのは僅か1週間後の出来事でした。
と言うのも、その回答は元々魔導側のオプションとして用意されたアイテムの中に存在しており、各所で発見され、同タイミングにて全国のトーナメントで披露されました。


3/30 宮原CS1位 魔導/ぐるーみーさん
http://d.hatena.ne.jp/XMAN_0710/18000302


元々征竜というコンセプトに結びつきがない《月読命》はドラゴン族とは無縁の存在であり、《群雄割拠》の影響を大きく受けます。
ジョウゲンに対する月読命のプレイに群雄割拠が発動された場合、以降プレイ可能なモンスターは魔法使い族に限定されますが、当然征竜側にこの用意はありません。
加えて裏側守備表示となったジョウゲンの守備力は「1300」あり、攻撃力「1100」の月読命ではやはり回答にならないのです。
また月読命の絡まないドラゴンを中心とした展開の際も群雄割拠は働きを見せます。
「征竜」はあくまでエンジンであり、戦線を支えていくのは《No.11 ビッグ・アイ》《幻獣機ドラゴサック》らエクシーズモンスターです。
両者はドラゴン族ではないため、群雄割拠中はプレイが成立しません。
ビッグアイがプレイできなければ《闇のデッキ破壊ウイルス》もプレイできないため、この発動中にゲームを決定付けることはままならないのです。
一方の魔導は魔法使い縛りの中で動きが完結するため、群雄割拠とジョウゲンの多段縛りも容易に実現し得ます。


これに対し、征竜側も新たに2種類の対応策を講じることになります。


対応策1.《ドロール&ロックバード

強力なサイドカードの台頭により、2本目以降のゲームにおける信頼は徐々に希薄なものとなっていきます。
先行展開が圧倒的に有利な現在の環境では有った無かったで2本目・3本目のゲームも終わってしまいかねないのです。
上記で魔導メタの一環としてメインデッキからの《闇のデッキ破壊ウイルス》搭載を挙げましたが、この発動には下記の制約が加わります。
・魔導側が先行ではないこと
・もしくは先行での展開に失敗すること(事故。実質上先行・後攻の入れ替わり)
闇のデッキ破壊ウイルスは破壊力の大きさに増して非常にベターな魔導対策で、魔導が展開に成功した際は必ずこのケアを意識します。
ゆえに手札に引き入れること(40枚デッキの3枚搭載でおおよそ4割)+先行を獲得すること(相手の事故も加算されるので5割強)+自身が安定的な展開要因を手にしていること、の3点を潜り抜けなければならず、これらを合わせてようやくの安泰が得られます。
実際闇のデッキ破壊ウイルスの発動条件を満たす手札を持ちながらも、魔導側の先行展開により発動の見込みがなくなり負けてしまった方も大勢いらっしゃることかと思います。僕個人の体験でも何度もあります。
瞬間的に見れば先行を獲得できるかどうかの確立は1/2の数値ですが、毎ラウンドこの数値を重ね続ければ相当数勝敗を分かつ原因となりえることでしょう。




3/30 はねまんCS1位 征竜/スタースクリームさん
http://haneman.jp/hblog/archives/7816#スタースクリーム


この問題の解決策として、魔導メタの手段を闇のデッキ破壊ウイルスから《ドロール&ロックバード》に切り替えたリストが出始めました。
魔法罠を1枚も採用しないデッキなどほぼ存在しないため、どんなデッキ相手にも一縷もしくはそれ以上の望みがある闇のデッキ破壊ウイルスと比べてドロール&ロックバードは相手のデッキ次第で発動できるタイミングはいよいよ0となります。
征竜のミラーマッチにおいても使えないことはありませんが、有効かどうかは別の話です。
ゲームプラン的には強く使える場面も存在するものの、サイドデッキのこれを征竜のミラーマッチで積極的に投入しているようなプレイヤーはまずいなかったことでしょう。
しかしながら、対魔導を考慮する上では実に安定的なプランです。
先行・後攻のどちらでも効力は一定で、闇デッキのようにじゃんけんの結果で効力が上下するような潜在的ディスアドバンテージにもなり得ません。


闇デッキにはない利点として、「風属性モンスターである」点も挙げられます。
《風征竜−ライトニング》《嵐征竜−テンペスト》のコストとして運用できる事はおまけの一言片付けるには惜しいアドバンテージですね。
実際にプレイしてみると思ったよりも多くのこのシチュエーションに出くわすことが分かります。


対応策2.《サンダー・ブレイク》

魔導側が用意した《昇霊術師 ジョウゲン》《群雄割拠》はいずれも征竜の融通の利きづらさに付け込んだ封殺系の戦術でした。
《超再生能力》のシナジーに期待した構築が推し進められた結果、各種手札誘発や《ブレイクスルー・スキル》にカード採択が寄り始め、汎用性を失っていった結果です。


3/30 第6回岡山CS優勝 征竜/クレインさん
http://04351992.blog48.fc2.com/blog-entry-366.html


上記リストではその汎用性の補強として《サンダー・ブレイク》が用いられています。
封殺系の戦術に対して有効な回答をメインデッキの内から用意しておける他、汎用的な除去能力はミラーマッチにおいても高い効力を望め、コストも豊富な征竜では実に理に適った採択です。
一方で《大嵐》《サイクロン》の影響を受けづらい利点は徐々に失われていった格好となりますが、環境がそれらの価値観を引き下げ、各デッキのメインデッキから取り払ったことから、少量の伏せカードでも信頼の置ける防御手段として活用できるようになりました。


ジョウゲンに対し、ブレイクスルースキルでは果たせなかった《トーラの魔導書》セットの隙にジョウゲンを狙うプランも取れます。
ゲーム進行の都合非常に限定的なタイミングではありますが、この手の事象はできる・できないが大きな差を生みます。

総括

以上が今日日までに行われた魔導VS征竜のメタゲーム総括です。
現状互いのメタが交互にサイクルするいたちごっこが続いており、後出し有利の法則で結果も入れ替わり入れ替わり、今日までの結果が続いています。
以前も記事に記したように、ここ最近はDuel Entrance・Twitter等での情報流通が非常に早く、構築の寿命が短命になりがちです。
1週間前の勝ち組リストを翌週のイベントに持ち込んでも、そのリストの強みは死んでしまっているような事態も頻繁に見かけられるようになりました。
上記で紹介してきたアイデアはどれも素晴らしく、賞賛に値すべき内容だと思います。
それらが瞬間的に使い古されていくこの環境、終着点はどこにあるのか!
今後のメタゲームからも目を離すことなく、分析を進めて時代の一歩先を目指しましょう^−^