デッキ解説 - 魔導(2013.06.30)

今期手掛けた魔導デッキについて記述します。


記事構成
・はじめに
・メインデッキ解説
・サイドデッキ解説
エクストラデッキ解説
・全体方針
・魔導ミラーのゲームプラン
・対征竜のゲームプラン
・構築の経緯
・反省点
・おわりに

はじめに

今期は選考会という一つの目標に向けて、3か月の間地道に調整を重ねてきました。
期間中は試行錯誤を交えながら多種多様な選択肢を検討してきたつもりです。
その最たる例が選考会1週間前に開催された近畿CSにて使用したリストでしょうか。

【第6回・第7回近畿CS】(準優勝・優勝)
モンスター(15枚)
霊滅術師 カイクウ×3枚
魔導法士 ジュノン×2枚
魔導書士 バテル×3枚
魔導教士 システィ
増殖するG×3枚
青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)
青き眼の乙女
昇霊術師 ジョウゲン

魔法(24枚)
魔導書廊エトワール
魔導書庫クレッセン×2枚
魔導書院ラメイソン×2枚
魔導書の神判×3枚
月の書
ヒュグロの魔導書×2枚
ネクロの魔導書
トーラの魔導書×2枚
セフェルの魔導書×3枚
ゲーテの魔導書×3枚
グリモの魔導書×3枚
アルマの魔導書

罠(2枚)
神の宣告
神の警告

エクストラデッキ
TG ハイパー・ライブラリアン
エンシェント・ホーリー・ワイバーン
ガチガチガンテツ
クリムゾン・ブレーダー
シャインエルフ
スターダスト・ドラゴン
ダイガスタ・フェニクス
ブラック・ローズ・ドラゴン
マジックテンペスター
レッド・デーモンズ・ドラゴン
霞鳥クラウソラス
虚空海竜リヴァイエール
聖光の宣告者(セイント・デクレアラー)
閃?竜 スターダスト
蒼眼の銀龍

サイドデッキ
エフェクト・ヴェーラー
サイクロン×3枚
ソウルドレイン×3枚
パペット・プラント
ブラック・ホール
王宮の鉄壁×3枚
月読命(ツクヨミ)
大嵐
魔導戦士 ブレイカー


【検証点】


・メインの罠を極限まで削減
 要点:防御面の影響度テスト
 結果:征竜に何度かアドバンテージ無視の1キルをされる、2枚では不十分。


・モンスター枚数を厚めに構築(15枚)
 要点:乙女リリースによるゲーム高速化の度合いを検証
 結果:モンスターを多めに抱えた試合は絶対に勝てない。
    最小数値を意識し、事故のない構築にて全勝を目指す。
 

・ヒュグロ2枚
 要点:対征竜戦における影響度テスト
 結果:征竜に1本目を超再生ゲームで落とすことが多い。
    1本目の時点から寄せていかないと間に合わない。3枚確定。


・サイドブレイカー・月読命
 要点:魔導の後手ゲームにおいて召喚権の犠牲がどのくらいまで許されるのか
 結果:召喚している暇なし。バテルと揃って持つだけで事故。
    ミラーの解決は特殊召喚か魔法・罠に限られる。


・パペットプラント・ブラックホール
 要点:魔導の後手ゲームにおいてモンスター除去の戦略事態が有効か
 結果:ゲームが長引けば有効。
    序盤の2キルに対しては無力。スロットの無駄。


・エフェクトヴェーラー
 要点:バテル・カイクウの両面に対応と理論的には完璧。現実性の検証。
 結果:大変良い。どの展開になっても腐ることがまずない。
    ただし、発動機会はゲーム中1度程度、複数は考え辛い。単品なら◎。


・対征竜向け永続6枚
 要点:永続を重ねるプランの有効性をテスト
 結果:60点。良くもないが悪くもない。保険の選択肢として確保。
    失敗点として、6枠はメンタルドレイン追加で2x3にすべきでした。
    後述の虚無空間と異なり先張り型なのでバレていても支障がないです。


運よく2日間連続で決勝ラウンドまで駒を進めることができたので、18ラウンド(うち1ラウンドBYE)をフルに戦い、十分な検証を行えました。
他にも試したかったカード群がありましたが、使用できなかった理由は以下の通りです。



《エクスチェンジ》
《方舟の選別》
魔導ミラーの先攻ゲームを促進させる問題児です。
手札の全てを掌握した上で最も強力なカードを奪うエクスチェンジ、バテル・カイクウの両面に対応しながらセフェル・ゲーテの発動を抑止する方舟、両カード共に先攻ゲームのマウント状態を強力にサポートします。
結論的には、ミラーマッチの先攻は特殊なオプションを用いずとも最低限の入れ替えのみで勝利できるため、このあたりのカードは不要です。
しかしながら相手側に使われ出すと、自分が後攻の際捲りが困難となるため、絶対に流行って欲しくない選択肢でした。
一部の相談相手らのテストプレイを眺め、必要性の検討だけを行いました。






聖なるバリア−ミラーフォース−
《激流葬》
《邪神の大災害》
警戒され出すと途端に価値を失う選択肢なので、本番の瞬間まで見せることができません。
一般的な罠の採用は奈落の落とし穴に寄っているため、対象範囲が大きく異なり、知られていない状態では大損害を与えられます。
特に激流葬は今回の構築におけるキーカードで、実際の対戦中「発動すれば確実に勝利できる」状況でもなるべく発動しないまま勝利し、次ゲーム以降も初見状態を維持できるよう心掛けた程です。





《虚無空間》
他の永続罠と異なり、発動の時点から1:1交換を狙える点が評価できます。
永続が苦手とする下級征竜からの展開を弾ける上、場にすら出させないので1種を断てます。
チェーンでサイクロンを発動されても1:1交換にしかならないので損がありません。(自壊効果は発動成立後にしか有効とならないため)
1種を断った後に他の対象にサイクロンを打たれても2:2ないし2:3交換なので、交換比率は上々です。
特殊召喚行為を宣言することさえできないので、そのサイクロンはぶっぱ気味に消費せざるを得ず、ブラフをまじえて多伏せで構えれば有効牌と交換される確率も低下し、相手側にとって不利な立ち回りを要求できます。
バテルが戦闘破壊される場合も、アタッカーが月読命ならリバース効果で損失回避、下級征竜ならもう1体上級征竜の展開を阻止できているのと同義なので、どう転んでも損をしません。
存在が認知されてしまうと上級征竜のプレイから入られてしまうため、交換の比率が悪くなり、発動に際するリスクが増します。


他、近畿CSで得られたデータは以下の通り。


・征竜側の前面除去プランがまばら。
 モンスター効果派の人間もいれば除去魔法派の人間もいる。
 サイドチェンジ後トーラの2枚目を残すのは五分五分の期待値。


・闇のデッキ破壊ウイルスは相変わらずの主流プラン
 hikariを筆頭とする征竜プレイヤーの何人かが闇デッキからの脱却を図っていたので、世間もこれに従うかと思いきや全体的な流れはこれにあらず。
 チームを組んだグロスのバトルフェーダー・和睦の使者のプランに注目するも、闇デッキ負けもそれなりの数あったようなので、闇デッキ意識はマスト。


・エクチェンも方舟もそこそこ見かける
 残念ながら確実に打たれないということにはならない状況。
 それなりに意識しつつ、後手時はこれらをなるべく意識できる選択肢に絞る。


・理解度に差がある
 プレイの勝負になれば確実に勝てる自信が持てたので、サイド後は泥沼化するようなプランを積極的に取り入ることに決定。
 2日間を通して負けたマッチは先攻マウント+事故が続いた1マッチのみ。


以上の結果を踏まえ、選考会には下記のリストを持ち込みました。
上記で述べなかった各魔導書配分の理由等も合わせて記述します。

メインデッキ解説


【2013年度東日本選考会】(ベスト4)
モンスター(13枚)
霊滅術師 カイクウ×3枚
魔導法士 ジュノン
魔導書士 バテル×3枚
増殖するG×3枚
青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)
青き眼の乙女
昇霊術師 ジョウゲン

魔法(24枚)
魔導書廊エトワール
魔導書庫クレッセン×2枚
魔導書院ラメイソン
魔導書の神判×3枚
月の書
ヒュグロの魔導書×3枚
ネクロの魔導書
トーラの魔導書×2枚
セフェルの魔導書×3枚
ゲーテの魔導書×3枚
グリモの魔導書×3枚
アルマの魔導書

罠(4枚)
神の宣告
神の警告
激流葬×2枚

エクストラデッキ
TG ハイパー・ライブラリアン
エンシェント・ホーリー・ワイバーン
ガチガチガンテツ
クリムゾン・ブレーダー
シャインエルフ
スクラップ・デスデーモン
スターダスト・ドラゴン
ダイガスタ・フェニクス
ブラック・ローズ・ドラゴン
マジックテンペスター
霞鳥クラウソラス
虚空海竜リヴァイエール
聖光の宣告者(セイント・デクレアラー)
蒼眼の銀龍
発条機雷ゼンマイン

サイドデッキ
エフェクト・ヴェーラー
サイクロン×3枚
ソウルドレイン×3枚
トルネード×2枚
王宮の鉄壁×3枚
大嵐
方舟の選別
魔導書院ラメイソン


《魔導書士 バテル》3枚
《昇霊術師 ジョウゲン》1枚
《増殖するG》3枚
《グリモの魔導書》3枚
《ネクロの魔導書》1枚
《アルマの魔導書》1枚
《魔導書の神判》3枚
基本枠です。
全勝構築を意識する上で、極力事故要素を排そうと増殖するGを減らしたりネクロの魔導書をアウトしたりしましたが、対征竜相手に目に見えて勝率が低下していったため、仕方なく元に戻しました。
引けるか引けないか・あるかないかが死活問題です。




青眼の白龍》1枚
《青き眼の乙女》1枚
時折、各種を2枚以上に増量した乙女寄りの構築を見かけます。
僕も銀龍のポテンシャルには期待を寄せていて、対征竜向けのプランとして複数枚の乙女を搭載するなど(ヒュグロ媒体を兼ねて)注目していましたが、早々にボツになりました。
理由として銀龍は、
・レドックス守備
・ヴェーラーを持たれている
・チューナーを持たれている
・ラッキーストライプで1度でも5以上の目または合わせて7が出る(約94%)
・死者蘇生でブルーアイズを奪われる
で紙屑と化す、穴だらけのカードです。戦略の軸に置くことなど到底考えられません。
あくまで延長線上の動きの一つです。
特にレドックスの守備で受け流されてしまうのが致命的な問題で、相手側に求めるアクションの難度が低過ぎます。
ラッキーストライプを捌く事を考慮しても、結局魔導書が回り切る以外に征竜の攻勢を止めることは不可能です。
ゆえに、これらを増やすことが対征竜戦における課題の解決には結びつかないのです。
また当然魔導ミラーにおいては無用の存在で、最終的な採用枚数はこの数字になります。


《魔導法士 ジュノン》削減
《魔導教士 システィ》アウト
乙女リリース以降の魔導ミラーは、システィをプレイするようなゲームではなくなりました。
相手ターン神判から乙女を特殊召喚し、続くターンでも相手ターン神判を維持するか、ブルーアイズでボコ殴りないし1キルを行う、一方的なマウントゲームです。
征竜相手にも、システィが有効とされる場面は非常に稀なタイミングでしか訪れないため、アウトを決めました。
またジュノンを多めに構築をするとトップジュノンの可能性が高まり、デッキ内にそれが存在する際常時手札に魔導書を多くキープしておかなければならないという問題が伴います。
今回採用した激流葬を有効に機能させるためにはいくつかの伏せの中に混ぜ込んでおく必要があるため、魔導書のキープと戦略的な矛盾が発生しますから、並行してジュノンの数を抑える必要があります。


《霊滅術師 カイクウ》3枚
魔導・征竜の両デッキを相手にする際非常に重要な位置付けを担うモンスターです。
ミラーマッチではこのカードを握れているかいないかが後攻を捲るターニングポイントとなってくるため、必ず最大数を投入すべきです。
『対魔導』
カイクウ・ジョウゲンのフィールドを攻略する鍵です。
テンプレート的な魔導のリストではカイクウが2枚、激流葬が0枚の構築がほとんどで、これでは上記の盤面を諦め過ぎています。
カイクウ・ジョウゲンは魔導のミラーマッチにおける最悪のフィールドで、その凶悪さとは裏腹に、カイクウを召喚しつつ神判を回すだけで簡単に成立します。
僕自身も後手の捲りはこのプランを中心に考えていて、先攻でどれだけ回られようが相手側もカイクウを抱えていない限りアッサリ形勢逆転します。
盤面発生の頻度、その危険性を考慮すると、カイクウは必ず3枚を用意する必要があります。
『対征竜』
対征竜のカイクウは、能力面で見ればやや博打です。
相手の手札消費が粗ければ墓地封殺の効果で完封できますが、超再生能力が回り出すとカイクウの能力が苦にならず、アッサリ攻略されてしまうことも多々あります。
それでもなおカイクウを選び続ける理由としては、ヒュグロの魔導書の媒体確保の意味合いが強いからです。
対征竜相手には神判・ヒュグロ・セフェル(+ゲーテ・エトワール)の戦術を基本としているため、どうしても一定数の魔法使いをデッキ内に確保する必要があります。
魔導・征竜相手に有用な魔法使い、という観点で見ると採用候補は一気に限定され、先述した対魔導戦のことを合わせて考えると、カイクウ1択になります。


《トーラの魔導書》2枚
1枚しか搭載されていないリストを時折見かけますが、魔導のミラーマッチをやり込み、かつ対戦相手がそれなりの技術を有していれば必ず2枚の結論が出ます。
僕はもともとトーラの複数搭載には否定派で1ヶ月半ほど1枚の方針を貫いていましたが、調整を重ねるうちトーラの枚数でゲームの行方が左右されることが増え始め、乙女のリリースが後押しする格好でこの2枚目を確定させました。
トーラ1枚構築が決定的な差を生む瞬間は、ミラーマッチにおいてカイクウが絡まない攻防が繰り広げられるシチュエーションです。
ゲーテ⇒トーラの順番(もしくは同一チェーン上)にカード消費を促されると、トーラを除外ゾーンに置けないため、自ターンでゲーテを打ち直し、それをアルマ(セフェル)で拾い直す手間が発生し、カード消費が激しくなり、先に魔導書が枯渇して敗北します。
後手側は相手側の神判に乗っかってジョウゲンでフタをするのが基本プレイとなるため、ジョウゲンをトーラで保護しながら相手モンスターをゲーテで弾き続け、両カードを毎ターン構える必要があります。
2枚のトーラを交互に除外ゾーンで行き来させなければ、魔導書の消費効率が著しく低下し、リソースが枯渇してしまうのです。
また、僕は今まで征竜相手にトーラを減らし続けていたのですが、近畿CSの決勝・代表決定戦共にトーラが不足して敗北しました。
もはや対征竜を考慮する上でもトーラは確実に2枚が求められています。
調整の段階でも最後の最後の瞬間にブラックホールやライトニングボルテックスをトップされて負けることはあったのですが、それをまぐれや偶然ではなく、現実としてしっかりと認識できる頭があれば、2つの結果は違ってきていたかもしれません。



《ヒュグロの魔導書》3枚
ゲーテの魔導書》3枚
《セフェルの魔導書》3枚
征竜攻略の鍵は「いかにドロールを回避しながら神判カウントを稼ぎだすか」と言うところにあり、上記に挙げた魔導書群の3枚構築は、この議題を戦術として成立させるための中枢ギミックです。
征竜相手には神判+ヒュグロ+セフェルのギミックが非常に強力で、現状メインデッキの戦いはこの成立に賭けています。
ただし、このプランで攻略可能な対象は
・媒体となる魔法使いの攻撃値
・展開された征竜のステータス
の2点に左右され、手札状況次第ではカイクウ+ヒュグロのみと言った具合に、詠唱回数が限られることが多々あり、レドックスやブラスターと言った高ステータスモンスター相手に戦闘破壊がままならないケースも存在します。
その際、追加のオプションとして用いるのがゲーテないしエトワールです。
征竜のステータスは片側に寄っているため、擬似的にセフェルの役割を果たし、組み合わせの幅が広がるため安定感が出ます。
またセフェルやゲーテのような強力な魔導書をデッキ内に増やすことは、魔導のミラーを優位に戦うのにも役立ちます。
強い魔導書を相手よりも多く使用できるため、魔導書同士の競り合いになった際はほぼ確実に勝利します。


《魔導書院ラメイソン》1枚
ラメイソンは魔導書の中で唯一即効性に欠け、フィールド魔法ゆえブラフとしての能力もなく、重なりが死活問題となります。
そのリスクを背負ってでもラメイソンを複数枚搭載することで得られるメリットは2つあり、
・ミラーマッチにおける張り替え合いに耐性
・対征竜戦において、1枚目が破壊されてしまった際の立て直し
という2点において、2枚目以降のラメイソンは有効に機能します。
『ミラーマッチにおける張り替え』
張り替え、と言うことは相手側からラメイソンがプレイされていることになります。
相手フィールド上にラメイソンが存在する状況は以下3点。
1.こちらがプレイしたラメイソンを張り替える時
2.相手がこちらのターンで神判をプレイする際、こちらが唱える魔法の数を増やす目的でラメイソンを敢えて先張りした時
3.神判カウントを稼ぐために、仕方なくラメイソンを先張りした時
1に関しては自分からラメイソンを絶対にプレイしないことで発生し得なくなります。
2に関しては、相手側が既にマウントを取っており、その時点でこのゲームの焦点は「乙女からの瞬殺・継続される相手ターン神判の阻止」に移行するための、ラメイソンの成立・不成立は問題にならず、目を向けている暇もありません。
唯一張り替えが求められるのは、ゲーム展開に余裕があり、比較的長期戦化しやすい3の場面なのですが、乙女リリース以降の魔導ミラーで相手ターン神判を放棄してメインでカウントを稼ぐ行為事態が稀で、そもそもこの展開になることがほとんどありません。
加えて、今回の構築では通常より多くのゲーテ・セフェルを構えているため、場合によってはラメイソンを取り払うのに使用する余裕もあります。
『征竜相手に破壊された際の保険』
征竜のメインデッキで効率よくラメイソンを破壊できる手段は大嵐のみです。
また、1本目時点ではラメイソンから供給されるアドバンテージがゲーム展開を分かつような長期戦になることも稀であるため、わざわざ破壊をケアした2枚目を搭載する意味はありません。
逆に2本目以降のゲームではよくサイクロンや妖精の風の的となるため、永続プランを取る上でのラメイソン成立は勝敗に大きく影響することから、サイドデッキに2枚目を用意しています。


《魔導書庫クレッセン》
待望の事故防止カードでしたが、実際使ってみるとデメリットの方も深刻でした。
初動が切れない事故と、クレッセンの浮つきによる事故が同レベルの問題と考えられたためです。
クレッセン単一の浮つきならさほど気にはなりませんが、魔導にはブルーアイズやジョウゲンを筆頭とした事故カードがそれなりの数あり、各魔導書も条件を満たせなければ事故カードの位置付けになります。
手札内容のバランスを意識し、結果的に2枚の枚数を決定しました。


《魔導書廊エトワール》
主な用途は、
1.ミラーでのバテルの小競り合いに優位性を持たせること(バテルをフィールドに残せるかどうかはゲーテ発動の可否で結果に大きく影響します)
2.魔法使いなし+神判+クレッセンのハンドを握った際、クレッセンでグリモ+ラメイソン+エトワールを選択することで確実にグリモにアクセスすること(33%負けの防止)
3.ミラーの後手ゲームにおいて、カイクウ・ジョウゲンのフィールドが作れない場合、バテル+ジョウゲン+エトワールのフィールドを築き、ゲーテ+トーラでジョウゲンを守りながらバテルビートでライフを奪い、逃げ切ること
の3点です。
始め2つに対し、3つ目が分かり辛いかもしれません。
ミラーの後手ゲームの捲り方は大方カイクウ+ジョウゲンのフィールドを築き上げることになるのですが、カイクウは素引きに頼るしか方法がないため、用意できない場面もあります。
その状況ではトーラでジョウゲンを保護しながら相手のバテルをゲーテで弾き、攻撃体勢を維持することで、魔導書の続く内にビートダウンを敢行して轢き逃げを目指します。
アドバンテージの概念云々よりも魔導書の残数・その間に稼いだライフの値が勝負の行方を分かつため、エトワールの全体パンプ効果が非常に有効です。
通常の構築では魔導書をごりごり使い倒すこの方法は取れませんが、ゲーテ・セフェルを3枚ずつ採用しているこの構築ならギリギリ可能です。


《神の宣告》
《神の警告》
和睦も奈落も強制脱出も魔導には不要の選択として次々と切り捨てていきましたが、上記2枚だけは別格です。
無効スペルは魔導ミラーで一際強く、後手の捲りにも使えます。後手でも活きる罠と言うのは後述する激流葬に然り、採用の最低基準です。



《激流葬》
『対魔導』
この枠には通常奈落か強制脱出が採用されていますが、奈落には魔導の先手後手の関係を覆す力はありません。
先攻で相手ターン神判が行われれば、マウントを取られてボコ殴りに合い、奈落の発動機会が訪れないままにゲームが終わってしまうことも多々あります。
こちら側の相手ターン神判に絡ませることでカイクウをケアするなど、先攻時には強力なカードとなるのですが、元々有利な先手ゲームを強化するのは行き過ぎた行為だと考えます。
メイン神判⇒システィの動きが廃止され、相手ターン神判⇒乙女の動きにシフトした時点で奈落の価値は失われているのです。
役割を失った奈落の代替案として浮上したのが、この激流葬です。
カイクウ・ジョウゲン絡みのフィールドを築き上げられても、魔導書を回転させることは可能ですから、ここでデッキ内から2枚のトーラをかき集め、相手の召喚ないし自分のバテル召喚に合わせて激流葬を打ち込みます。
相手もトーラによる応戦を図るでしょうが、こちら側から魔法宣言のトーラを合わせ打つことで場を壊滅でき、そのままカイクウないしジョウゲンでフタをすれば先手後手が綺麗に入れ替わります。
魔導ミラーの激流葬は情報がなければ全く警戒されないため、クロックを速めようとバテルを追加で召喚してくるプレイヤーは多く、こちら側は何の損失も被らずに場をリセットすることも可能です。
こちらのセットをゲーテないしブラフ読みして1ターンキルに向かった際も被害は甚大なものとなり、攻めに向かう際はジョウゲンをゲーテで裏側にしているので、トーラで守ることすらままなりません。
『対征竜』
ドロールのケアに有効です。
相手の先攻展開+即投げドロールに屈してきた魔導プレイヤーは多くいることかと思います。
僕もこの点には大変頭を悩ませており、和睦の搭載を真剣に考えていましたが、和睦は魔導相手に無力で意味のないカードであるため、採用に踏み切れませんでした。
激流葬であれば、上記に上げた通り魔導相手にも有効であり、かつ征竜相手にはドロールにて明け渡した1ターンを除去により守り切る目があります。
また、魔導が頭を悩ませ続けてきた月読命にも激流葬は高い効力を発揮します。
ジョウゲン裏⇒征竜展開⇒ドラゴサックorビッグアイの流れに打ち込むことで、征竜の浪費によるこのターンの安全&月読命処理の2役を同時に果たします。
想定されてしまえば比較的ケアも簡単なのですが、搭載したリストが全く出回っていないため、想定のうちに収まり切ることはまずありません。
『ヴェルズ』
単純な除去なので、ヴェルズ戦にも役立ちます。
ゲーテ⇒汎発⇒激流葬のパターンが最も簡単です。バテルを裏で置くなどゲームをなるべく引き伸ばし、自ターンでも狙っていけるよう準備を整えるのがポイントです。
キービートルを優先し、その後続としてヴェルズを追加してきた際にも有効です。




メインデッキで意識していることは
・征竜に勝ちやすいこと
・魔導の後手ゲームに勝つこと
の2点です。
魔導の先攻は「先攻である」という事実だけで8割程度勝てるので、そこに寄せた構築は必要ありません。
またヴェルズや水精鱗と言ったいわゆるメタ外の存在も、マッチングする確率そのものが圧倒的に低いため考慮するに及びません。
それらのデッキの数が少ない理由は「魔導と征竜に勝ち辛いから」です。増える理由がありません。


サイドデッキ解説

《エフェクト・ヴェーラー》
バテル・カイクウの両者に対応しており、打ち所に長ける手札誘発です。
このスロットにはよくドロール&ロックバードが採用されていますが、相手ターン神判に徹するプレイヤーには効力が薄く、即投げプレイも相手の手札状況次第でムラがある事から、汎用性の面を考慮してヴェーラーを選択しました。
先手後手どちらでも使っていける受けの広さが評価できます。
ただし、単一ではディスアドバンテージしかもたらさず、あくまでメインギミックが回りきったことを前提とした1枚なので、中枢部分の動きを鈍らせないよう最小限の1枚としています。


《大嵐》
《サイクロン》
《トルネード》
ミラーマッチの後手における回答です。
神判にチェーンする速攻魔法の連打でリソースを削り切ります。
神判⇒チェーンサイク⇒チェーンゲーテは一見損をしているように思われるかもしれませんが、そのままターン終了が通れば神判+ゲーテとサイクロン1枚を交換できているので、単純ながらも有効です。
当然裏側となったバテルは返すターンで反転されるので交換比率は最終的に1:1に落ち着きますが、魔導書の枚数は減っているので続くターンの神判の威力は弱まります。
手札状況次第では同様の体勢を築くことが困難であり、複数枚サイクロンorトルネードがあれば、追加されたゲーテと思わしきセットカードを狙い続けることで、こちらの本命となる魔導書を消費しないまま相手をじり貧に追い込むことができます。
後手のサイドチェンジはブルーアイズ・乙女・ネクロの魔導書と言った事故要素になり得るもののあらかたを排しているので、手札内容が安定しやすく、相手の展開に合わせ打つ立ち回りがこなしやすい作りになっています。


《魔導書院ラメイソン》
征竜を相手には永続による封殺をメインプランとしているため、その状況下ではゲームが長引きやすく、有効リソースの数で勝負する展開に競り勝つための追加分です。
1枚目がサイクロンや妖精の風で破壊されてしまうことも少なくないため、2枚目を用意しています。


《方舟の選別》
先攻時は何のテコ入れがなくとも問題ないと判断できたのでこれらは使わない方針としていたのですが、先攻で激流葬を2枚残すのは問題があると感じ、入れ替え用に1枚を用意しました。
先攻時に有用性があり、後攻時でもジョウゲン+方舟の布陣は捲りに使える目処があります。


《王宮の鉄壁》
《ソウルドレイン》
対征竜の攻略にはカイクウ・ジョウゲンの前方脅威と永続6枚の後方脅威2種を合わせることで、相手側に求める回答の数を増す狙いです。
征竜側の永続メタは大嵐1枚・サイクロン3枚・妖精の風1枚の計5枚が主流です。
一般的なリストではそれに対する用意が鉄壁3枚しかない事が多く、むしろどうやって通そうと考えているのか不思議で仕方ありません。
3枚の枚数もテストしましたが、やはり通ることの方が稀です。
ラメイソンは相手の攻め手を抑え込んで長期戦が確定した状況でようやく力を発揮するカードであるため、どちらかを囮にもできません。2種1セットです。
最低でも台頭数値となる5枚は用意をしなければ、永続を通せる見込みは無いと考えています。




メタの対象は征竜及び魔導に完全特化しています。
それらのデッキをさらに先手・後手で分岐させ、4パターンの入れ替えを取り入れています。
両デッキ共に序盤の数ターンでゲーム展開が決定付くため、十分枚数を用意して大きめの入れ替えをイメージしています。


エクストラデッキ解説

《霞鳥クラウソラス
《TG ハイパー・ライブラリアン》
《蒼眼の銀龍》
《ダイガスタ・フェニクス》
《シャインエルフ》
確定枠です。
アーマーカッパーはブラックホール・ライトニングボルテックスの両除去に対して弱すぎたため、プレイする価値がなくなりました。


《マジック・テンペスター
用途は以下2点。
・カウントダウンやチェーンバーン系のデッキ相手に戦闘以外のダメージ源を確保する
・ミラーマッチにおいて、ゲーム中破壊されたジョウゲンを除外しながら乙女をネクロしてシンクロ。自分または相手のエトワールカウンターを奪い切って射出
共にレアケースですが、代替が効かず、特に前者はテンペスターが入っていないと魔導ではカウントダウン系のデッキにまず勝ち目がありません。
1枚でも入っていれば、ヴェーラー+ヴォルカニッククイーンのようなカードで対処されても、ネクロの魔導書とラメイソンを合わせることで何度でもトライできます。
バトルフェイズ・ゲーテ3枚除外と並行して相手のリソース消費を迫り続ければ、必ずいつかライフを削りきれます。


《エンシェント・ホーリーワイバーン
《スクラップ・デスデーモン》
バテル+カイクウ+乙女で1ターンキルを行う際に使用するレベル7群です。
バテル+バテル+乙女でもリヴァイエールルート(下記リヴァイエール項で詳細)で1ターンキルが可能ですが、カイクウが用意できればヴェーラーに左右されないキルを視野に入れられます。
2種類を分けて採用しているのは、それぞれ用途が微妙に異なってくるからで、エクストラのスロットには余裕があったため両方を採用しました。
基本的にはブルーアイズ+デスデーモン+ライブラリアンで8100です。

乙女対象=ブルーアイズ(3000)
乙女+カイクウ=ライブラリアン(2400)
ネクロ乙女(カイクウ除外)+バテル=デスデーモン(2700)

ここがエンシェントホーリーの場合、ライフが凹んでいてそもそも攻撃力が足りなかったり、G中にツッパした結果最後にヴェーラーを引かれるなどすると、キル失敗の恐れがあります。
逆にそのエンシェントホーリーが強みとなるのが乙女の効果に対してヴェーラーをプレイされる場面で、

乙女起動、相手ヴェーラー
⇒カイクウ+乙女でライブラリアン
⇒カイクウ除外ネクロで乙女蘇生
⇒バテル+乙女でエンシェント
⇒ライブラリアンにヒュグロ
⇒3400+5500で1ターンキル

になります。
上記手順の場合、ヒュグロはターン1制限があるため、乙女の起動はトーラでこなす必要があります。
トーラを既に手札に抱えている場合はスタンバイフェイズに発動すればヴェーラーの影響を受けないため、この流れに向かうこと自体は非常にレアです。
※トップでキル関連のカード(主にカイクウ)を引き込む必要があり、引けるかどうかは分からないのでトーラではなくグリモを神判で回収した場合など
その他、フィールドが空の状態で墓地にカイクウ&乙女の2体があれば、

バテル召喚
ネクロ乙女(カイクウ除外)
乙女対象=ブルーアイズ(3000)
乙女+バテル=エンシェントホーリー(5100)

による1ターンキルもありますが、やはりこれも機会はほとんどありません。


《ブラック・ローズ・ドラゴン》
ヴェルズ相手にネクロの魔導書が通った際、最もリターンの大きいレベル7として採用しました。
アーカナイトマジシャンの場合、DNA改造手術がケアできません。
エトワールがプレイできていない場合はカウンターの数が不足する可能性もあり、どちらも通ってしまえばほぼ勝ちなのでこちらを選択しています。


《スターダスト・ドラゴン》
《クリムゾン・ブレーダー》
征竜相手にジュノン・乙女が並んだ際、これらを放置してターンを返すメリットは基本的にないため、状況に合わせて分岐可能な2種を用意しています。
ヴェーラーがないと確定で判断でき、かつ戦闘破壊可能なモンスターがいる場合はブレーダーを、そうでない場合、またはブラックホールやライトニングボルテックスが考えられる場合は安定性を重視してスターダストドラゴンを召喚します。
魔導のミラーマッチでは逆にシンクロ召喚を行うメリットが無く、他のレベル8はプレイする機会が無くなり、切り捨てました。


《ガチガチガンテツ》
全体除去からの1ターンキルをケアするエクシーズです。
それ以外に負け筋がない場面であれば積極的にプレイします。
他のランク2エクシーズではこの役割は果たせません。


《聖光の宣告者》
あまりプレイする機会がないとの声をよく耳にします。
実際問題こいつをプレイする場面は非常に限定的で、率先してプレイすることはまずありません。
唯一合理的にプレイが推奨される場面として、征竜相手の先攻時、神判を回せる手札+増殖するGを持っていた場合があります。
相手ターン神判+Gの構えを取るとドロールで大損を食ってしまうため、基本的にはメインで神判をプレイします。
ここにドロールを受けた場合はターンを返してGでやり過ごす訳ですが、その返しのターン、特に有効となるアクションが取れなかった場合は、バテルを重ねてこの聖光を送り出し、Gを使い回すことで追加の1ターンを得ます。
返しに聖光はほぼ確実に破壊されてしまうためそれほど有効なアクションと言う訳ではありませんが、ドロールの2発目を受けるなどした場合、このプランに向かわなければ続くターンで致命的な損害を被りかねません。
延命の一手として、保険的な意味合いで投入されています。
また、征竜相手のサイドプランが永続プランの場合、デッキ内の攻め手が枯渇してしまう場面が時折訪れるため、そういった状況では積極的に聖光の特殊召喚を目指して攻め手の回復を図ります。


《虚空海竜リヴァイエール》
バテル+バテル+乙女からの1ターンキルに用います。

乙女対象=ブルーアイズ(3000)
バテル+乙女=クラウソラス
ネクロ乙女(バテル除外)+クラウソラス=リヴァイエール
リヴァイエール効果=バテル
バテル+バテル=ダイガスタ(1500)
ダイガスタ効果⇒リヴァイエール(1800x2)
3000+1800+1800+1500=8100


《発条機雷ゼンマイン》
激流葬との相性・ヴェルズ相手の有用性を評価して採用しています。
プレイ頻度は低めなので、何か代わりに投入を考えたいものがあればアウトして構いません。
今回はメイン・サイド共にヴェルズの意識が薄かったため、気持ち程度の対策としてエクストラデッキの一枠を割きました。




実際のところ、ゲーム中エクストラデッキはほとんど使用しません。
エクストラデッキに触れないままゲームを終えることも多々あります。
よって、エクストラデッキの採択は入れておかなければできない動きを実現するためのカードに寄せています。
特定のデッキに対する勝ち筋(テンペスター・ブラックローズ)であったり、1キルパーツ(リヴァイエール・エンシェントホーリー・デスデーモン)など。

全体方針

今回の構築で最も強く意識しているポイントは、後攻に対する考え方です。
「先攻である」と言うことは、たったそれだけで勝率が飛躍的に上昇し、優勢が確定する事実です。
魔導も征竜も先攻時は歴代トップクラスの展開力を有します。
かつそれらはデッキの有する基本ギミックでのみ達成が可能な内在の機能であり、特別なカードを必要としません。
ゆえに、「先攻時に強い」と言ったカード群は全て「やり過ぎた行為」にあたり、それらが活きる可能性は50%しかありません。
50%を高いと見るか低いと見るかは人それぞれだと思いますが、全勝を目指すケースにおいては、あまり有効な選択肢に思えません。
今回のような環境であれば、構築は必ず後手に寄せて行うべきだと考えています。


・カイクウ3枚
・ヒュグロ3枚
ゲーテ3枚
・セフェル3枚
・激流葬2枚


これらの採択はいずれも後攻を強くイメージした選択であり、その全ては先攻の際にも役割を有するカード群です。(先攻時のヒュグロは後述する「デッキに触れない神判カウント」にも貢献します)
じゃんけんに全て勝つことは恐らく不可能です。CSに出始めて4年が経ちましたが、1日の間全て先攻でゲームをプレイした日など1度もありませんでした。
来たるべき本番の日も、必ずやいくつかのゲームを後攻でプレイするはずです。
そして選考会においてはただの1敗も許されず、後攻をプレイしたゲームにおいてもその全てに勝利しなければなりません。
CSで7勝1敗するデッキがあれば、それは素晴らしく出来の良いデッキです。
ですが、全勝が前提となる選考会においてそれは「惜しいデッキ」でしかなく、限りなく良しに近いものであっても「最善」足り得ないのです。


以上の事から、今回は後手で勝利することを全体方針として定めました。
後攻の想定はこれまでのどの環境でも当然行われてきたことですが、今期は特に先手・後手の差を覆すのが困難なゲームとされています。
魔導も征竜も圧倒的なポテンシャルを有するため、意識を寄せたところで必ずゲームに勝利し得る訳ではありません。
相手のプレイスキル、初手の巡り等々、自分では干渉し得ない部分が大半を占めるからです。
しかしながら、100%は無理でも、10%から20%、20%から30%、勝ち得るだけの理由を用意し、自分なりの最善を尽くすことが必要だと考えます。


魔導ミラーのゲームプラン

先攻・後攻および手札の内容でいくつかの分岐を迎え、それぞれの基準に基づいたゲームプランを構築します。
全体的な目安として、先攻時に求められるのは「いかにマウント状態を維持しながら相手をねじ伏せるか」で、後攻は「その抑え込みをいかに潜り抜けるか」の勝負です。


先攻時
分岐基準は以下3点。
・相手側のカイクウをケアできるか
・無理の無い範囲でどのくらいメイン神判のカウントを稼ぎ出せるか
・ドロールをケアできるか(2本目以降)


まず第一に意識すべきは相手側のカイクウをケア可能かどうかです。
ミラーマッチにおいてカイクウは本当に危険なカードで、カイクウジョウゲンのフィールドは先手・後手に関わらず絶望的なフィールドです。


カイクウジョウゲン成立後の現実的な解決方法は
・大嵐ないしサイクロンの連打で防御を崩し、バテル+ヒュグロでジョウゲンを倒す
・こちらからもカイクウをプレイし、ジョウゲン破壊後にジュノンをプレイするか、カイクウを相殺して泥沼に持ち込む
・激流葬+トーラで流す
の3点。
メインギミックである魔導書の範囲内では太刀打ちできません。
どれだけ大量のアドバンテージを得ていてもこのフィールドが崩せないだけで負け得ます。


成立前の段階で下記の用意があれば、計画的に対処できます。以下3点。
1.オプション防御がある(ヴェーラー・月・宣告・警告)
2.自分もカイクウを持っている
3.メイン神判でカイクウを出し、トーラを伏せる
1>2>3の順で信頼性が高く、1・2を満たせていれば相手ターン神判に向かって乙女からの瞬殺を目指すのが簡単です。
3はやや泥沼ですが、カイクウがプレイされる確率は4割近くあるので、無視できません。
相手側の現実的な解決手段はジュノンのプレイに限られるため、受け皿もかなり狭いです。カイクウの相殺もありますが、本来的には詰んでいた可能性が高いのでカイクウプレイで正解です。
そのアクションが厳しかったことを指す合図でもあるので、返すターンバテルを重ねてダイガスタ⇒ネクロカイクウで一気に詰められます。
※入っているなら、奈落をかわしつつ、返しのもう1体のカイクウをケアできるアーマーカッパーの方が有効です。
 これ以降魔導のカイクウ3枚は更に増えると思うので、構築を行う際はカッパーの再搭載を推奨します。


後攻時
分岐基準は以下2点。
1.メイン神判ないしシスティ通常召喚でジュノンが確定しているか
2.スタンバイ神判が発動されたか


1のジュノン確定ハンドの場合、目指すべきは神判からのジョウゲンプレイです。
ただし、システィ効果の結果ディスカードが絡むなどした場合はモンスターの重なりが濃厚で、続くターンをジュノン+カイクウで仕掛けてくる可能性が高くなります。
ジュノン+カイクウ+ジョウゲンのフィールドが成立しかねませんので、相手側がジュノンに向かい、続くターンに予想されるジュノン+カイクウの両者に対応できない場合は、仮にカイクウを引いていた場合でも温存を心掛け、二陣に対するカウンターの手筈を整えます。
相手側のカイクウ・ジョウゲンさえ駆逐できればどのタイミングで抑え込みに向かっても成果は同じなので、折角引き入れたキーマンは最善のタイミングで使用できるよう注意を払います。


後手ゲームの全般に通ずることなのですが、カイクウによる仕掛けは最後のタイミング、「今ここで決める」と判断した瞬間に限ります。
初動にはなるべくバテルを用い、相手の無効スペルを誘います。
バテルが僅かでも脅威になり得、相手側が無効スペルの発動を有効と考えるタイミングはカイクウ成立の前段階、「ゲーテがプレイ可能な状況」しかあり得ません。
この前段階でいち早くカウンターを誘い、後の本命に備えて最低限の確認を行うことが重要です。


次に2のスタンバイ神判ですが、これに対する対応は「最小限」か「最大限」の2択です。
「最小限」はとにかく魔法のプレイ枚数を抑え、相手の神判の有効度を低下させる狙いです。
・バテルを召喚して攻撃、罠の構えのみ作ってエンド
・カイクウを召喚して攻撃、ゲーテを抑えて神判を無駄打ちさせる
何もしなければゲーテからの乙女特殊召喚で返しのターン100%死んでしまうので、それを阻止する最小の動きのみを取ります。


「最大限」は逆に全力で動き切るプレイで、いわゆる神判の「乗っかり」です。
最低条件として、こちらからも神判をプレイし、相手側の神判からの特殊召喚をジョウゲンでカットする必要があります。
さらにそこから、ジョウゲンを守り切る何かしらの方法が合わせて必要です。
1.無効スペル
2.カイクウ+トーラ(or月の書)
3.トーラ2枚(1枚月の書可)
求められるのは上記3点いずれか。
1>2>3の順に信頼性が高く突破され辛いですが、後続の問題から最も強力なのは2です。
それぞれが重複すれば攻略の難度は更に増すため相手側に求める回答の数も増加します。
ちなみに、不完全な状態で乗っかってしまうと膨大なアドバンテージから圧殺されることが目に見えているため、上記の1〜3のうちいずれかは必ず満たしておく必要があります。
また、満たした場合でも突破されてしまう可能性もありますが、後攻でここまで辿り着けるだけでも上出来なので、それ以上を求める必要はありません。むしろ不可能です。


最小限・最大限どちらのプランも取れない最悪のケースでは、ひとまず1ターンキルをケアして手札のカードを何枚かセットに散らせておきます。
攻撃力500以上のモンスターがあればひとまずこれで相手側のバテルに攻撃を仕掛け、ゲーテを誘発します。1本目の増殖するGなどは適役です。
ほとんどありませんが、手札内容次第では次のターンカイクウをトップして捲れる事もあります。


対征竜のゲームプラン

魔導が征竜に勝つための方法は基本的には「制圧」になります。
魔導がサイクルさせることのできる防御手段がゲーテ1枚であるのに対し、征竜側は4種の征竜を毎ターン攻め手に利用できます。
ゲーテ1枚でこれらの攻撃を防御し切るのは不可能であるため、必ずどこかで相手側の行動に蓋をしなければならない訳です。
乙女の登場以降1ターンキルも視野に入りましたが、相手側の攻めを捌き切りながら攻撃に転じるのは難度が高く、ゲームプランとしては考えられません。


征竜はデッキ単位での殺傷力が非常に高いため(1ターンキル・闇のデッキ破壊ウイルス)、一度包囲を掻い潜られてしまう(大嵐・ブラックホール)か、囲う前に突き放されてしまう(超再生能力)と手に負えなくなります。
適切な制圧の手順、突破手段に対するケアの手筈をよく理解し、一つ一つ丁寧にこなしていく必要があります。


まず相手フィールドに既に脅威が成立してしまっている状態では、これらの除去が最低条件です。
これまでにも何度か述べたヒュグロセフェルの戦闘破壊プランに加え、ゲーテを交えて相手フィールドの掃除に徹します。
一つ問題となるのは、これらの動きを成す中で相手側から繰り出されるG・ヴェーラー・ドロールの3種妨害を潜り抜けなければならない点です。
最も致命的なのはドロールで、封殺の核となるカイクウ・ジョウゲンの特殊召喚に抑止をかけられてしまいます。
今回の構築では、神判成立の際デッキに触れないことを第一とし、神判⇒ヒュグロ⇒セフェル・ゲーテ⇒エトワール・ラメイソンの流れを征竜戦の狙いとして定めています。


バテルやグリモを神判に絡めずに運用することでアドバンテージに被害が及ばないよう立ち回るのは確定ですが、アドバンテージをかなぐり捨てた即投げのドロールの場合は異なる手法にてケアが必要です。詳細は以下。


1.手札にカイクウを持っており、かつ相手フィールドに攻撃力2800未満のモンスターが攻撃表示で存在するか
2.カイクウを持っており、手札に神判・ゲーテを用意できるか
3.乙女を持っているか
4.ジョウゲンを持っているか
5.増殖するGを持っているか
6.激流葬を持っているか


によってサーチの手順が変化します。
いずれのパターンにおいても「追加の1ターンを獲得すること」に狙いがあり、この1ターンを耐え抜くことに重点を置きます。


1.カイクウ所持&攻撃力2800以下存在
ドロール中は相手側も征竜の回収効果を起動できないので、カイクウによる墓地除外、ゲーテ3枚除外を合わせてドラゴンカットのプランに移行できます。
グリモやクレッセンでヒュグロの魔導書を回収するだけで良く、ドロールされればドラゴンカット、されなければ通常通りヒュグロプランを進めます。


2.カイクウ所持&神判ゲーテ
カイクウと書きましたが、あくまで理想形の話で、最悪ジュノンでもバテルでも構いません。
相手ターン中の神判ゲーテで延命を図り、乙女を特殊召喚しながらその返しのターンに以下の3番プランに派生しながらドロールの網を掻い潜ります。


3.乙女所持
グリモ・クレッセンでヒュグロを選び、ドロールを受ければ銀龍に流れて1ターンを受け流します。
ヴェーラー・G・ラッキーストライプで崩壊するため確実性はありませんが、一つのプランです。


4.ジョウゲン所持
ドロールを受け、このターンの回転が不可能と判断されればこれを繰り出し、1ターンの延命を買います。
状況次第では手札の不要牌と相手場のモンスターと交換を行っても良いです。
このディスカードでいくらか魔導書を墓地に送っておけば相手ターンでゲーテが発動可能となり、場合によってはそのままジョウゲンでの制圧に切り替えても良いです。


5.増殖するG所持
死なない程度の防御体制を築き、返すターンをGにて受け流します。
ゲーテを発動可能な状況に届かせられない場合は突っ張られて死んでしまう可能性があるので、相手の攻めになるべくリスクを伴わせられるよう多量のセットカードで厚めの防御を演出する必要性があります。
僅かでも奈落の落とし穴を意識してもらえれば成功ですし、実際に本命の罠が混じっていれば(下記6番)なお良いです。


6.激流葬所持
死んでしまう、ないしドラゴサックに割られてしまうかもしれない場面まで引っ張り、これを打ち込んで1ターンを受け流します。
場に既にドラゴサックが成立している状況では、多量のセットを行って割られないように祈るしかありません。
大嵐を握られている場合はどうやっても回避できませんので、セフェルが発動できるよう手札に1枚程度魔導書を残し、残りのカード全てをセット、死んでしまう前にやれるだけのことをやります。




眼前の脅威を排し、制圧のモードに移行できれば、後は防御の成立に万全を期すのみです。
制圧を成す上での懸念事項は以下の通り。


1.《大嵐》
2.《月読命
3.《パペット・プラント》
4.《焔征竜−ブラスター》
5.前方除去(《ブラック・ホール》・《ライトニングボルテックス》etc)
6.後方除去(《サイクロン》・《妖精の風》)





1.《大嵐》
防御と言う意味での回答は神の宣告しかありません。
《スターライト・ロード》や《封魔の呪印》という選択肢もありますが、発動可能な場面と不可能な場面が五分五分程度の比率であったため、取り止めました。
大嵐に対する現実的な回答は以下3点。
1-1.前面の防御を完成させる(複数体のカイクウ・ジョウゲン・大嵐にチェーンできるトーラ)
1-2.相手のリソースがない(=カイクウが抑えとして明確に機能する)場面でラメイソン配置(相手の大嵐でカイクウジョウゲン成立)
1-3.打たれる前に倒す
3つ目に関しては投げやりに見えるかもしれませんが、実は最も確実性があります。
大嵐は往々にしてフィニッシュが濃厚な場面でしかプレイされないため、ブラックホール月読命と併用してプレイされることが多く、多段攻めで突破されてしまうのがほとんどです。
ゆえに、ソフトロック気味に抑え込んでいる間に相手ターン神判から乙女を繰り出し、ネクロの魔導書を絡めて倒してしまうのが最も確実性があります。
王宮の鉄壁を張り出すなどしてそれが難しくなった場合にのみ、1-1や1-2を狙うよう心掛けます。


2.《月読命
2体以上の魔法使いをフィールドに並べ、ゲーテがプレイ可能な状態の維持に徹底します。
2体以上の擁立が図れれば裏側にされたモンスターを起こすのにも、相手側の攻め手を潰すのにもどちらにも対応できます。
複数回使用可能な点等、他のカードと勝手が異なるため対策が非常に困難です。
ヴェーラー・激流葬・無効スペル等は出来得る限り月読命に備えてキープすることが望ましいです。


3.《パペット・プラント》
不用意に魔法使いを並べすぎないことが重要です。
カイクウを横並べに追加することはキルスピードの上昇だけでなく、パペットプラントによる相殺のリスクを増していることにも繋がっています。
カイクウ・ジョウゲンは非常に安定的なフィールドですが、カイクウ・カイクウはパペットプラントを考慮するとやや博打的な打ち回しです。
ゲーテで裏側に向けてやることでコントロールの奪取自体はかわせますが、同ターン中ゲーテが使用できなくなるため、盤面のリソースの全てを失い兼ねません。
また王宮の鉄壁を張り出している場合、ネクロを発動できなくなるためアタッカーが不足してライフを削り切れる目処がなくなったりします。
上記月読命のケアと矛盾しますが、現状のリソースと相談し「どちらがより致命的か」で判断することを心掛けます。
どのプランを相手側が選んでいるか、現在持っているのかは不明であるため、完全な回答は出せません。
この点に関しては守る側と攻める側の有利不利に関係するため、魔導を選択した時点での宿命です。


4.《焔征竜−ブラスター》
《ガガガシールド》等、何かしら特殊な防御策を用いない限り回避方法はありませんが、征竜1種+手札炎属性の2枚消費がなされるため、同ターン中死に結びつく事は殆どなく、生きてさえいればネクロでリカバリーが可能です。
永続罠を敷くなど脅威を多方面に散らしておけばリスクの分散が可能ではありますが、ケアを考える方が無駄が生じやすいので、《封印の黄金櫃》や自身のエンドフェイズバウンス効果等で回収が確定している状況でもない限り、考慮しないのが無難です。
ブラスターの回収が確定している状況であれば、パペットプラントは割り切ってカイクウを2体並べる方向に持っていくのも良いです。
盤面状況一つ一つに注目しながら、都度ゲームプランを再構築していきます。


5.前方除去(《ブラック・ホール》《ライトニング・ボルテックス》etc)
トーラを用意することで解決しますが、トーラは原則これら以外には使用の用途が無いに等しいため、余裕のある展開でしか構えられません。
ゆえに、サイドチェンジで減らしたりせず、「なるべく持っておける状態を作る」ことが大切です。
征竜側の対魔導における全体除去プランは現在最も主流な対策手段であり、乙女の起動条件も考慮すればトーラの複数維持は絶対だと考えます。


6.後方除去(《サイクロン》《妖精の風》)
防御が永続方向に依存している際はこれら単品で突破されます。
永続に依存した防御は非常に危険であるため、相手側に求める回答の数を増やすためにも、積極的なメイン神判から前後両面のメタで動きの抑制を図るのが良いです。




主に想定される突破手段は上記6つです。
征竜は一度の突破をゲームの勝利に結びつけるために原則溜め込みを行うため、与えられる1ターン1ターンを活かしながら、一つ一つの負け筋に対してケアを利かせていくのがポイントです。
また、あらゆる防御策よりも「相手プレイヤー本体を倒し切ってしまうこと」がプランとしては最上位にあることを必ず忘れないようにしてください。


構築までの経緯

今回僕がメインの調整手段に用いたのは「ADS」です。
DOは時間効率が悪過ぎたので止めにしました。
マナー云々、対戦以外の面での問題が多く、費やす時間に無駄が多過ぎます。
対戦相手が特定される状況に限り利用することにしていました。hikariとの調整は100%DOです。


ADSはレーティングシステムのお陰で、上位まで行けば征竜ないし魔導、時折ヴェルズと言った具合に、実際のトーナメントシーンと変わらない状況下で対戦ができます。
上位に辿り着けば、そこからはそれなりのレベルで調整ができます。
ただし、あくまでそれなりでしかないので高い質を求めることはできません。
ADSのシステム上の問題で、制限時間60秒の制約は大きな問題ですね。
難しい局面が訪れた際、手なりプレイによるその場凌ぎをやってしまいがちです。
とは言えあまり長い時間設定も快適さを失いかねませんから、このあたりは一長一短でしょうか。


プレイの質に問題を感じたらすぐさま打ち止め、一人回しにて問題となった箇所を中心に検証を行います。
ADSで賄えるのは「基礎的なプレイの習得」と「アイデアの現実性検証」の2点のみです。
恐らくそれ以上のスキルアップは不可能で、無理に制限時間60秒のリミットを体に馴染ませるとかえってプレイスキルが低下する恐れもあります。


ADSで得られた調整結果の内、実践の価値ありと判断されたものをリアルの調整の場にて検証します。
今回はこの過程でアークさんに大変お世話になりました。
ミラーマッチの立ち回りが絶妙で、ミスも少なく仮想敵としては理想的でした。
やはり実際の対戦の中からの方が感覚は掴みやすいです。できることなら全てこの方法で確かめたいところですが、時間的な問題から現実性に欠きます。
実践的経験値の得やすいCSは、そうしたリアル調整の内の一環でした。


3月 東海CS
魔導を初めて使いました。
デッキ内容はこの数日前に開催された関東CSにおける上位陣のいいとこ取りのような構築です。
不慣れな面が多く、プレイの拙さが目立ちましたが、強いと聞いていたが実際に自分で使ってみると使い勝手の悪いカードがちらほら見受けられ、自分自身で根元から再構築し直すことを決めました。
全体の方針としては、闇デッキと月読命の危険性、それに和睦の弱さを認識した程度です。
5勝1敗1分


3月 岡山CS
東海CSから間が無かったので、間に合わせの回答を盛り込んだ程度の内容です。
月読命に対する群雄割拠は非常に良い回答でしたが、相方として用いた次元の裂け目が最悪でした。
罠には罠を重ねて相手側の仕掛けを誘発しなければ意味がありません。
また、回復に負けてしまったので、プレイスピードとサイド後以降の考え方に変化を持たせる必要があるように感じました。
5勝1敗


5月 九州CS
4月いっぱいを使って構築の土台を固めていました。
この頃は既にデッキの基盤が完成していたのですが、使ってしまえばそれまでなのでいくつか試したい案(ヒュグロ3枚、ラメイソン1枚、サイドブレイカー)を散りばめながらテストしました。
感覚的には良好で収穫も多いCSでしたが、ブレイカーの案はこの後リリースされたエトワールによって無駄になりました。
5勝1敗3分


6月 近畿CS
冒頭にて記述の通りです。
両日7勝2敗


反省点

反省点は2つあります。


まず、問題点の一つを「偶然」で片づけてしまったこと。
具体的に言えば対征竜における《トーラの魔導書》の扱いです。
僕は調整段階からこのカードをサイドチェンジでずっと減らしていました。
打ち所が非常に限定的なため、浮いてしまうことを恐れたのです。
対征竜の2本目以降は永続による抑え込みプランを取るため「相手が回答を引き入れるまでにどれだけ有効なカードを揃えられるか」という点が重要視されます。
特定場面でしか必要とされないトーラはこの「有効」の範囲から外れると考え、ずっとそれに従ってきました。
しかし、時折そのトーラが複数枚必要になるときがあり、それが大嵐+ブラックホールの組み合わせです。ブラックホールの部分はライトニングボルテックスでも魔女狩りでも構いません。
確率的に考えれば、この2枚が手札に揃うことはそれほど高くありません。
より高い勝率を追い求めるにあたり、「期待値の低いケースは切り捨てる」方針を取っていたのですが、結果的に言えば近畿CS決勝最終戦・選考会決勝最終戦をこの負け方で落としてしまいました。
調整の際も、CS決勝の際も、必要性を感じたのは確かなことです。
そして反映を保留に留め続けた結果、一番大事な瞬間もそれにより負けてしまったのです。
偶然と言う考え方は「そうあって欲しくなかった」という願望をフィルターにかけただけだったのかもしれません。
僕は常日頃「感じた事が全てであり、調整の結果であればそれは事実である」という方針に基づいてカードゲームをしています。
今回であれば、調整の結果確かに「トーラが必要」という結論は得られていたはずなのに、どうしてそれを無視したのか。


もう1点は《王宮の鉄壁》及び、その他永続罠についてです。
環境終期に入り、突如鉄壁入りの魔導がCSの上位を占めるようになりました。
僕は常々このカードに対して疑問を抱いていて、「自分側に対してもこれだけ影響を及ぼすカードが良い選択肢な訳がない」と、ずっと感じていたのです。
しかしながら、そんな思いとは裏腹にいつしかサイドデッキの鉄壁は主流のプランとなり始め、そうなってくると試さない訳にもいかなくなり、自分でテストした結果、それほど悪くはないカードだと知ることができました。
しかしながら、やはり自分に及ぼす影響度の高さがずっと気になっていて、いつしか痛い目を見るのではないかと不安で仕方がなかったのです。
結果、選考会決勝において、自らの貼り出した鉄壁によりゲーテ・ネクロの2枚が発動不可能な状況となり、もたついている間に、全体除去を受けて敗北に結び付きました。
たまたま、最も大事な試合で裏目を引いただけの話だったのかもしれません。ですが、予測できた事態ではあったはずです。むしろしていたはずです。
結果が出ているカードが弱い訳がないと妄信し、自らの検証を怠り、楽な方向に流れたことによる結果に思えます。


反省点を考慮し、改めて「あの日時点」で最も良いサイドデッキを考えるのであれば、下記のようになります。

1 エフェクト・ヴェーラー
1 大嵐
3 サイクロン
3 トルネード
1 魔導書院ラメイソン
1 群雄割拠
2 虚無空間
2 ソウルドレイン
1 メンタルドレイン

おわりに

今期はキムをパートナーに設け、約3か月の間構築からプレイプランまでみっちり話し込んできました。
前期から魔導を使いこんでいるだけあって理解の深さは相当なものでした。
実戦値の足りない僕の薄っぺらな投げかけ一つ一つに対し、経験に沿った確かな理由付けがなされ、理論まで昇華させてくれました。


対征竜に対する立ち回りは同期間中、hikariに相手をお願いしました。
律儀な奴で、「○○の入った後手」と言ったような条件設定に何時間も付き合ってくれます。
とにかく間違いがないのが素晴らしい。
僕が持ち込むくだらないアイデアを、一切の慈悲なく完膚なきまでに叩き潰してくれるので、無駄なことに時間を割かずに済みます。
全く勝たせてくれないので、本当に強い選択肢を見つけるしかなくなり、良い意味で追い込まれました。


両デッキ共に、2人に任せておけば間違いありませんでした。
他にも多くの方からヒント・答えそのものをいただきました。
本当に感謝してます。
できることならその言葉も勝った上で言いたかった。


終わります。
長々と書き綴りましたが、僕の魔導はこれで一通り吐き出せたと思います。
ご覧いただきありがとうございました。