4.サーチカードの有効利用

竜の渓谷の項で少し触れましたが、4色がリソースに揃った後でもサーチカードが役割を失う事はありません。
これは今回の構築を取る上で非常に重要な要素ですから、掘り下げてお話します。


墓地にレドックス・タイダル・ブラスター・テンペストの4種類が1体ずつ存在したと仮定しましょう。
どのドラゴン効果も使って行ける良好な状態で、デッキは程良く回っています。
ですが、存在するリソースがこれだけではまだ完璧とは言えず、もっと言えば、ここから展開に広がりを見せる事は難しい状態です。
この状態から2色を除外して場にドラゴンをプレイし、コストで除外された同征竜モンスターを手札に加えたところで、プレイした征竜は相手ターンのエンドフェイズに手札に帰ってしまうため、有限リソースを食い潰しながらドラゴンをプレイしているだけの状態となります。
今回の構築もそうですが、ここ最近の征竜はその防止策としてプレイしたドラゴンをシンクロやエクシーズに利用することで場にモンスターを残す方針を取っています。
それには除外された征竜からサーチが効き、かつ使用後も除外コストとして利用価値のあるドラゴン族モンスターがよく用いられますが、上記のような状況から征竜以外のドラゴン族をサーチすると色が1色失われます。
これを繰り返していくとリソースが徐々に消失していき、後続のドローが奮わなければ、ゲームが進行する毎に苦しい状況に立たされる事となります。


ここで活きてくるのが、先ほど上記にて紹介した大量のサーチカード群です。
各種ドラゴンを征竜以外のサーチに利用したのち、サーチカードでその色を補完すれば4色維持を保てます。
征竜デッキは4色が存在していることがMAXの状態ではなく、4色+場のドラゴンを消費する手段が最高値であると言え、継続的な展開を考えていくと4色+5枚目・6枚目のドラゴンカードが必要です。
先ほどのレドックス・タイダル・ブラスター・テンペストのそれぞれが存在している状況、例えばここに追加で1枚竜の霊廟が存在していたならば、4色の中から好きな属性の征竜外ドラゴンをサーチしたのち霊廟でその色を補う事ができ、これは状況に応じた最適なドラゴンをプレイできたことになります。
最序盤のうちは書かれたままの通り「デッキからドラゴンを1体墓地へ送る」効果ですが、4色成立以降は「デッキから地・水・炎・風いずれかの属性のドラゴン族を1体手札に加える」のテキストに変化します。
ドラゴンサーチカードは序盤の下積みから後半の展開補助まで、その一通りをこなすカードとなり得るのです。


上記の理論を適用するにあたり、無駄が発生しないように各色にサーチ先を用意しています。
4属性全てのドラゴンを取り揃えることで同色の被りもケアされる他、黄金櫃で気兼ねなく不足色を選ぶことができます。

【補足:黄金櫃で気兼ねなく不足色を選べる】
黄金櫃で対象としたいカードは当然、現在のリソースに存在しない色のドラゴンです。
墓地がレドックス・ブラスター・テンペストの3枚なら、この対象はタイダルということになります。
この際、もしデッキ内に《幻水龍》や《ドラゴン・アイス》が存在しない場合、タイダルを除外することで加えられるのはタイダル一択ということになり、更に2ターン後にもタイダルが加わります。
4色を維持する上で最低1枚のタイダルはリソース内にキープしておくべきですが、もう1体のタイダルには現状役割がありません。
ドラゴンリソースとして食い潰すか、相手側の奈落の落とし穴・次元幽閉のケアという名目で墓地に控える他なくなり、無駄が発生している状態です。
目に見えて2枚目が確定しているタイダルに奈落や幽閉がプレイされることはまずないでしょうし、事実上この2枚目はリソースとして"死んでいます"。
上記に挙げたような水属性ドラゴンが採用していれば、黄金櫃の除外の際に直接それを獲得しに行くか、途中タイダルが重なった際、片方をそのサーチに費やすことでこの無駄を無くすことができます。
また黄金櫃の場合がより顕著と言うだけであって、通常のドローの中でドラゴンが重複した際のケアともなるため、構築的なフォローにもなります。


《幻木龍》(地)
コピーの対象となるのは幻水龍とタイダルの2枚で、それぞれ8エクシーズと7エクシーズに繋がります。
どちらの展開も内容としては申し分なく、序盤から後半にかけてのどのタイミングでも有用性があります。
また、上記の組み合わせ以外にも後述のデブリドラゴンンの蘇生対象となっていることが重要で、パール・ビュートの2種エクシーズモンスターにアクセスが可能です。
ヴェルズを筆頭とするビートダウンデッキに対して有効で、それ以外にも相手側のクリムゾンブレーダー中の回答となるなど、先攻展開から返し手まで手広く仕事をします。


《幻水龍》(水)
デッキ内の地属性は幻木龍・レドックスの2種、そしてエクストラデッキにスクラップドラゴンが存在しています。
幻木&幻水のコンボが有名ですが、それだけでは手中で浮いてしまう展開も多々あります。
単一のパフォーマンスはかなり低いため、事前に用途を確認しておく必要があるでしょう。
以下パターンです。
1.タイダルのサブ効果コストで捨ててしまう
 苦し紛れですが、他の征竜に姿を変えつつ除外コストの確保にもなったと考えれば悪くない結果です。
2.スクラップドラゴンの横に並べることで効果の的にする
 キルに向かう際、破壊対象に困る場面で有効です。
3.2について、スクラップドラゴンの的は別のカードとし、効果使用後にエクシーズさせる
 主にミラーマッチにて。
 相手ターンでは攻撃力2800のバニラであるため、ギガンテックファイターを筆頭に様々な脅威に晒されます。
 エクシーズに変換しておけば、これらの問題は解消されます。
4.レドックス召喚時点で特殊召喚しておき、その横にチューナーを召喚してレドックスと8シンクロ、その後8エクシーズする
 スクラップドラゴン以外のレベル8シンクロが求められる場面にて。
5.打点の足しにする
 僅かに打点が不足する場面で手軽に足せる特殊召喚モンスターは重宝します。
 トークンを筆頭とした低ステータスの壁を取り除いたり、頭数を取り揃えるのには最適です。
 例として上記4と組み合わせ、相手のサックトークンを葬りながらクリムゾンブレーダーを決めるプレイがあります。


《ガード・オブ・フレムベル》(炎)
霊廟との関連もありますが、単純に8シンクロを行いたい場合は優先してこの獲得に向かいます。
他のレベル1チューナーであるコルセスカは竜の渓谷のサーチ対象となる他、デブリドラゴンの効果対象とならないため、率先して墓地に落としたいのはこのフレムベルだからです。


デブリ・ドラゴン》(風)
ガードオブフレムベルを釣り上げることで一気に2体のドラゴンシンクロを並べられる他、前述した通りビートダウン系のデッキに対しては幻木龍を蘇生の対象とすることでパール・ビュートのプレイを可能とします。
デブリドラゴンを使用する上でネックとなりがちな墓地の充実も、竜の渓谷・竜の霊廟をフルに採用しているため、第1ターン目からでもプレイの機会を生み出せます。


《ドラグニティ−コルセスカ》(風)
ガードオブフレムベルに加え、単純な1チューナーを風属性にも用意しています。
デブリドラゴンの都合により優先して使用するのはフレムベルですが、常にブラスターを除外のコストにできる訳ではなく、テンペストしか用意できない場面も多々あるためです。
また竜の渓谷のサーチ対象となっていることも重要な要素の一つで、前述したように渓谷が回転している状況であればコルセスカに関わらず全てのドラゴンがサーチ可能な状態となるのですが、
・ドラゴンのプレイが行えない状態(《ヴェルズ・オピオン》、《王宮の鉄壁》、《虚無空間》など)
・リソースが広がり切っていない状態(序盤の事故)
において、直接的に手札に加わる効果が重要視されます。
主にテンペストの効果使用のためのコストということになりますが、デッキに1枚存在しているだけで受け札の数が飛躍的に増加します。


上記ドラゴンらは、デッキに1枚存在するだけで大量に搭載されたサーチからいつでも選択肢に入れる事ができます。
本体+同色の征竜3+黄金櫃3+渓谷3+霊廟3となりますから、1枚入れるだけで13の通り道が存在しています。テンペストのサーチ効果を考慮すればさらに増加します。
選択肢の多さは柔軟性の向上に繋がり、フィールドの完成度、返しの対応力等、あらゆる面において利便性を発揮します。