10.総括と今後
総括
最初から最後までしつこいぐらいに安定の言葉を掲げてきましたが、ここまで徹底した背景には普段の調整方法、すなわちADSが関係しています。
まだ征竜を使うとも決めていなかった10月の半ば頃、色んな選択肢に手を出しては投げ出す時期が続いていたため、たくさんの負けを重ねました。
ADSにはレーティングシステムと呼ばれるものが導入されており、ゲームの勝敗でプレイヤーのスコアが上下し、そのスコア(レーティング)が近い者同士が対戦を行います。
レーティング上位になるとトーナメント環境のデッキでシェアが占められるようになるのですが、下位〜中位には様々なデッキが混在していて、メタやカード採択もバラバラ、その全てに勝つのはなかなか困難です。
実際のトーナメントシーンとはやや事情が異なるのですが、そこで調整を続ける以上はその環境が全てで、どんな環境であれ勝てないデッキをCSに持ち込むのは気が引けました。
その結果デッキの作りはどんどん丸くなり、あらゆるデッキに対してそれなりに勝てるような、安定的構築に向かった訳です。
今回の構築はここ最近組んできたデッキの中でもかなり気に入っている方です。
使い勝手が良く、事故が滅多にありません。
プレイに自信がつけば普通のゲームができるだけで十分で、事故が起きないという利点の価値は大きく増します。
並大抵のデッキで安定を取ると、モンスターがかさばり易くなるだとか、《強欲で謙虚な壺》を搭載することでスピードが落ちるだとか、その手の問題が溢れ出し「かえって安定しなくなる」ことがよくありますが、征竜は単体のポテンシャルが非常に高く、サーチ効果により応用が効きやすいことから、「安定性の追求が対応力の高さに繋がる」点が評価できます。
突き詰めれば突き詰める程に発見があり、構築していて非常に楽しいデッキです。
これだけ長い間トーナメントシーンに居座り続け、それでいてテンプレートや鉄板が存在しないのですから、その自由度を窺い知ることができますね。
今後
上記の構築で今後を考えるのであれば、いくつか手を加えるべき点があります。
1つはメインに攻撃停止系の手札誘発が入っていないため、突っ張り切られた場合確実に死んでしまうこと。
《神樹の守護者−牙王》のリリースにより、《ドラグニティ−ピルム》の価値が見直されました。投入も徐々に増えてきている印象です。
ピルムと言えば当然《トライデント・ドラギオン》の投入もセットになってきます。1ターンキル率が飛躍的に上昇するため、「あの構築に対しては行ける時は絶対行った方がいい」等と考えられ始めると、残念ながら目に見えて勝率が落ちるでしょう。
これに備え、最低1枚〜2枚は《バトル・フェーダー》や《ゴーストリック・フロスト》にスロットを割き、1ターンキルを止められるような構築にしておく必要があるでしょう。安易な勝利は許さず、踏み出すことへのリスクを作り出しておく必要があります。
個人的な一押しは《エフェクト・ヴェーラー》ですね。最近幻水幻木が一気に増えたので、1ターンキル以外にもこの辺りを止めるのに効果的です。
他のデッキ相手にもそれなりに効くので悪くありません。
2つ目はヴェルズに対する意識です。
僕が征竜を使った時点では、ヴェルズは正直征竜をかなり甘く見ていて、非常にやりやすい状態でした。
征竜が散々暴れまわったこの1ヶ月、ヴェルズ側の意識にも大きく変化が生じ、メインからの《禁じられた聖杯》や《聖なるバリア−ミラーフォース−》の搭載他、なんと《王宮の鉄壁》や《虚無空間》まで現れ始めました。
だからと言って征竜側がメインからこのような特化を果たす必要はないかと思いますが、メインデッキの細部やサイドデッキの構築にはこの辺りの事情を反映させるのが好ましいかと思います。
今までは《王宮の鉄壁》《ソウルドレイン》の永続6枚に対して嵐サイク砂塵の7枚をぶつけたギリギリの枚数優位を取るプランでしたから、これが9枚や12枚になってくると事情が異なってきます。
思い切って《王宮のお触れ》を採用したり、いっそ永続の全てを受け付けないプランを選んだり、何かしらの採択をこなす必要があります。
3つ目はさらに増えるであろう征竜のミラーマッチに対するメタの持ち方です。
僕はこれまで、増殖するGとサイクロンの2種類しか用意していませんでした。これだけで十分だと考え、実際に勝ってきたからです。
とは言え、相対的に征竜が増え始め、各自がその状況を受け止めてミラーマッチに対するウエイトを大きくし始めると、これだけでは足りなくなるかもしれません。
そうなってくると他のデッキに対して割けるスロットが狭まり、特にヴェルズ相手に厳しい戦いを迫られるようになります。
征竜同士の争いがヴェルズに付け込む隙を生み出している格好です。
スロットの都合メインデッキに手を付け始めるしかなくなるので、上記の構築を用いていこうとするのは難しいかもしれませんね。
今後の征竜を考えていくのであれば、この辺りの意識は不可欠だと言え、場合によっては基盤の切り替えが必要になってくるかもしれません。
以上です。
また懲りずにだらだらと書き綴ってしまいました。
征竜は本当に奥が深いデッキです。ほんの少しの間触っただけでこれだけの気付きがあったのですから、煮詰めて行けばより多くの発見に出会えるはずです。
徐々に昇華されつつある征竜というデッキが最終的にどこまで進化を果たすのか、大変見物だと思います。
今後の進展に期待して、今回はこの辺りで・・・
最後までお付き合いいただいたことに感謝を示したいと思います。ありがとうございました。
それではまた!