環境変化 - サイファー?パペプラ?

以前東京CSの総括を行いましたよね。part1で終わっちゃってますけど。w
環境って生き物なんですよね。新しいカードが出たり大会が開かれるたびにどんどんメタが変遷していきます。
実はデブリの解説記事みたいなものも書いてたんですけど(17000字ぐらい)、《TG ハイパー・ライブラリアン》が出る前の古いタイプのもので、アイスくんが先に質のいいものを上げちゃったのでこれはお蔵入りになりそうです。



そんな話はさて置き、既に公開済みの東京CS総括part1では《パペット・プラント》のその時点での有用性及び流行の内訳を説きましたが、僕自身がそうであるように、プレイヤー達の考え方は徐々に移り変わりつつあり、今回のISDCSでは《サイファー・スカウター》の採用率が《パペット・プラント》のそれを大きく上回りました。
東京CSでは上位3チーム9人の《パペット・プラント》の採用枚数が22枚、《サイファー・スカウター》が5枚だったのに対し、ISDCSは《パペット・プラント》が9枚、《サイファー・スカウター》が23枚と見事に比率を逆転させています。
チーム内での意思疎通により、同じような傾向の構築が1チーム分で底上げされてしまう問題もありますが、最終的にその考え方を持ったチームが勝ち残っているので数字の持つ力に疑いの余地は無いでしょう。
両者共に六武衆に対するメタという点を共通させていますが、実際に果たす役割は全く持って別です。また両者が活きてくる場面もそれぞれ違ってくるために一概に比較対象としてしまうのは問題があるかもしれません。
しかしながら今環境は近年稀に見る混戦模様で、旋風BFにデブリダンディ、六武衆に天使とそれぞれ方向性が全く異なる多種多様なデッキが環境に蔓延しており、15枚というサイドデッキの枠組では特定のデッキに割けるメタの枚数は非常に限られてきます。
特に《パペット・プラント》や《サイファー・スカウター》はヒーロービートのようなほんの一部の例外を除いて六武衆以外のデッキ相手にはロクに機能しませんから、これら全てをガッツリ搭載するのはかなりリスクが高い行動と言えます。
ですから、結局はこれら2種類をいかに効率よく使っていくかが現状サイドデッキを構築する際の一つのテーマとなっている訳です。



そして今回採用枚数という点において軍配が上がったのは《サイファー・スカウター》でした。
単に23:9とまとめましたが、具体的な内訳は
優勝チームの旋風BF各位が《サイファー・スカウター》3枚に《パペット・プラント》1枚
準優勝チームの六武衆2名がそれぞれを2枚ずつ、デブリダンディが《パペット・プラント》をメインに1枚サイドに1枚、《サイファー・スカウター》を同じくサイドに1枚
3位チームの六武衆2名と旋風BF1名が全員揃って《サイファー・スカウター》3枚に《パペット・プラント》は0枚
の23:9で、占める比率は結局のところ圧倒的です。
《パペット・プラント》の利点はとにもかくにも絶望的な状況を切り開く可能性があると言う事。
例えば《六武の門》を2枚に《六武衆の結束》を1枚、《真六武衆−シエン》を立てた3枚セットなんていうスタートは並大抵の手札なら速やかにカードを畳んで席を立つのをお勧めする状況ですが、《パペット・プラント》とチューナーが揃えば《ブラック・ローズ・ドラゴン》の一発逆転があり得ますし、他のカード次第ではそのままゲームに勝利することさえも可能になります。
また存在そのものが脅威であり、旋風BFのような《月の書》があまり有効とされないようなデッキ相手でも、サイドチェンジ後にそれを残す事を考えなければいけなくなったり、《真六武衆−シエン》を筆頭とする戦士族全般を展開しづらくなったりと、これ1枚で相手の動きに大きな制限を掛ける事ができます。
逆にデメリットとして「単体ではまず機能し得ない」という問題があります。
先に挙げたチューナーであったり、《六武衆の師範》や《BF−暁のシロッコ》のようなアドバンス召喚が可能なモンスターを用意する必要があり、単一で機能しないという事は状況次第で死に札にもなるという事で、リスキーな1枚でもあります。



一方の《サイファー・スカウター》はそのリスクを最小限に抑えた「単体で機能が望める1枚」で、相手の場に戦士族さえ存在すれば十分な活躍が望め、かつデッキ構成を戦士族に絞っている六武衆相手には自身がそのままフィニッシャーにもなりえます。
デメリットは戦士族が相手でなければそこら辺のバニラと同列かそれ以下に置けてしまうレベルのモンスターに成り下がってしまう事ですが、六武衆は何か特別なモンスターを採用するかシンクロを経由しない限り戦士族の縛りから抜け出すのは難しく、時には《群雄割拠》や《王宮の弾圧》のようなカードで自ら拘束を強めてしまうことさえあるため、この抜け道をくぐるのは意外に困難です。
そして何よりそうした欠点よりも自身そのものがゲームに勝利しえる「決定力」を持っているのが最大の強みです。
サイドから投入するカードというのは余計な回り道をするよりもゲームを勝利に導くための高い効力を持った、なるべくストレートな解答が望ましいため、その点で言えば決定力をウリに出来る《サイファー・スカウター》は解答として十分な力を持っています。
また六武衆はゲームスピードが非常に早い展開もあり、状況の解決に何枚ものリソースを要求されると間に合わないケースが存在するため単一で状況の打開に結び付く点は高く評価できます。
裏守備セットでも問題無く機能するのは六武衆の基本防御手段である《神の警告》を自然にケアできますし、《パペット・プラント》のようなぶっぱ気味の仕掛けにならないのも利点の一つです。


そうした一つ一つの事情が折り重なり、最終的には現在の比率に結び付いた訳ですが、当然この比率は今後のメタゲームの展開次第で変化する可能性が十分にあります。
これだからトーナメント遊戯は面白い!
僕自身はカジュアルプレイも割と好きな方ですけど、こういったメタの移り変わりを正確に読み取り、構築に繋げて勝ち抜こう!っていう展開は凄くワクワクしませんか?


いよいよ明日は愛知CSです。
僕はヘッドジャッジとしてこの大会に臨む予定ですが、ジャッジの傍ら一人の遊戯プレイヤーとして会場内の対戦にもしっかり目を配らせていただきますよ!
是非とも皆さん自慢の構築を持ち寄って本大会に臨んで下さいませ!当日を楽しみにしています♪


それではまたー。