8.サイドデッキ

サイドデッキの構成は3日間で大きく変化しました。
調整はADSのシングル戦でのみ行っていたので、サイド後の対戦は1試合も経験しておらず、CSを終えるごとの反省点を次回に反映しています。

変化が無かった、強かった部分に関して

《増殖するG》
第一の採用理由は、時折見かけるドローに寄せた暗黒界へのメタです。
シェアは高いと言い難いデッキですが、ADSによる調整の段階で勝率が思わしくなく、当たるだけで敗色濃厚という状態を嫌いました。
先攻展開系のデッキなので手札誘発以外にメタがありません。《ヂェミナイ・デビル》や《ドロール&ロックバード》では汎用性が低すぎるため何を採用するか悩んでいたのですが、他いくつかのデッキに対しても有効なGがこの暗黒界にも適用できると分かり、これに決めました。
他主となる用途はもちろんミラーマッチにおいてですが、このマッチングについてはどの場面でも有効という訳でもなく、必要とされる状況は少し限られています。
今回の構築でGを必要とした理由は2つあり、1つは「先攻の閃コウ竜プレイを阻止すること」です。
奈落の落とし穴や激流葬のような単純破壊カードを使う罠型の場合、破壊耐性を付す閃コウ竜は非常に厄介な存在で、防御手段をこれらの除去に頼る以上邪魔で仕方ありません。
征竜の特殊召喚に対する1:1交換にしかならずとも、相手側が踏み留まれば十分な成果です。そのままシンクロに踏み切られても、最悪アドバンテージを獲得できれば悪くない結果です。
2つ目は「バトルフェーダーのケア」です。
征竜ミラーを考える上で勝利するタイミングが見え辛くなるバトルフェーダーのようなカードは非常に面倒です。詰めのタイミングを図り辛く、下手を打てば自滅に繋がりかねません。
Gと組み合わされると一向に詰め時が見えてこず、とは言え回し過ぎれば相手に逆転の目を与えてしまうことにもなり、対応が難しい1枚です。
初めは《透破抜き》のようなメタカードに頼ろうとしていましたが、もう一つの課題であった先攻の閃コウ竜に対しては無力です。
その上奈落のようなカードをメインから採用している時点で元よりミラーマッチに対する意識は強く、入れ替え用の枠はそれほど多くありません。2つの問題点を同時に解消できるカードを探した結果、Gがそれに該当しました。
バトルフェーダーは原則、アドバンテージを失うカードです。
損失の伴わない攻撃宣言に対して1枚カードを消費しているため単純にマイナス1で、その状態から相手ターンが開始します。
ここからの展開にGを打ち込むことで、返そうが返すまいがアドバンテージ差が埋まらない展開を作り出します。
マイナス分を取り戻し、かつ場の脅威を払い除ける為には何度かの特殊召喚が必須ですが、動き出せばこちらの二の矢の準備が整います。
また罠を設置することができていれば、相手が場を切り返すために必要な特殊召喚の機会も増え、デッキとの相乗効果も狙えます。
課題に挙げた2つのシチュエーションはゲーム中に発生しないこともありますが、Gはその他の場面で最悪1ドロー〜2ドローに変換可能なため無駄が出辛い利点もあります。
かつ問題視していた暗黒界の先攻展開にも対応できるため、一通りの要件を満たし採用を決めました。


《サイクロン》
《砂塵の大竜巻》
《王宮の鉄壁》を筆頭とした各種永続へのメタで、プレイされている間は機能が完全に停止してしまうため回答用意が必須です。
デブリドラゴンからの《ブラック・ローズ・ドラゴン》やヴェルズビュートの特化など汎用的な回答を探しましたが、これら永続を繰り出すデッキがいずれも高速のビートダウンデッキであり、条件成立を満たす猶予を与えてくれませんでした。
またビートダウン側がメタの手法を永続に依存している節が見られたので、あれこれ回し打つよりは直接破壊した方が早いという結論です。
実際相手側がこの成立に賭けている以上、破壊が直接的な勝因に結び付きやすいのもポイントです。
砂塵が《ツイスター》で無い理由を尋ねられることがありますが、ツイスターは汎用性が低過ぎます。
破壊対象は必ずしも永続とは限らず、相手側のメタ手段が異なっていたり、脱出装置やダメージステップ系のカードで待ち受けているなどした際、折角のサイドカードツイスターはそのまま負け筋に直結します。

没になったもの

月読命
《N・グラン・モール
ヴェルズのメタですが、予想以上に使い勝手が悪かったので取り下げました。
攻めに使うターンの召喚権消費を問題に感じます。
これでは後続脅威をシャットダウンするためのシンクロ・エクシーズに繋げられません。
場にモンスターを残せなければ、《ヴェルズ・オピオン》で再び蓋をされて詰んでしまいます。
また《禁じられた聖杯》が流行ってきているのも要因の一つで、グランモールがオピオン相手に自爆してしまえばもう返すターンはないでしょう。攻撃宣言を伴わない月読命はまだマシですが、ライフが残ったところで仕事をしなければ意味がないのと同じです。
流行りに沿わない裏目を抱えた時点でサイドカードとしての役割は果たせていません。


デブリ・ドラゴン》
サイド後は《王宮の鉄壁》や《ソウルドレイン》の存在によりテンペスト経由のデブリドラゴン獲得が難しくなることが予想されるため、素引きの確率を上げる狙いです。
ただ1枚の搭載では成果が上がり辛く、スロットに余裕があれば程度の役割しか担えません。
サイドのスペースが厳しくなり始めたKnifeの段階ではアウトしました。
余裕があれば続投で問題無いかと思います。


《火舞太刀》
《炎王の急襲》
ヴェルズ他炎星や水精鱗に対して有効で、裏守備のセットで入れば奇襲性のある除去にもなり得ます。流行りの《禁じられた聖杯》の影響も受けません。
逆に《ソウルドレイン》の影響を受けるようになりましたが、サイク砂塵で永続を破壊することをメインプランとしているためその点の問題点は解消されることを前提としています。ソウルドレインは戦闘前に表に向けられるので、闇雲に狙わずとも発動を確認し、1000ライフを払わせた後破壊可能です。
その6枚採用した伏せ除去との相性は非常に良好で、《ヴェルズ・オピオン》の単発除去は《侵略の浸喰感染》経由の《ヴェルズ・ケルキオン》により意味のないものとなってしまいがちなのですが、徹底した永続メタにより一度オピオンを除去できれば優勢に立ちやすくなります。
3枚目の搭載は召喚権の重なりが気になった関係で急襲に回しました。
スペースがあるなら是非採用したいカードですが、KnifeCSでは他の選択肢を優先した都合で外れて行きました。


《デモンズ・チェーン》
ヴェルズのメタとして起用しましたが、イマイチ信頼が置けずアウトになりました。
対ヴェルズの中でも《ヴェルズ・オピオン》及び《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》専用の位置付けになっており、相手側のプランが下級+永続罠ビートに定まっていた場合完全に浮いてしまいます。
またオピオンに対してプレイする場合でも、相手ターン中に発動すればメイン2にて《ヴェルズ・ケルキオン》から2体目をプレイされる可能性があり、自分ターン中に発動してもそのターンを《侵略の汎発感染》で一時的に逃れ、返すターンで同様にケルキオンをプレイされることがあり、意味を成さないように思えました。
後出しが効くようで実は全く駄目だという事が分かったので、アウトを決めています。

追加で必要となったもの

《ボマー・ドラゴン》
サイドスペースの関係で火舞太刀が外れたことにより、《ヴェルズ・オピオン》を処理するすべが限られてきました。
後述の群雄割拠を活かす為にも一度はオピオンを退ける必要があります。
ブラスターやパールだけに任せるのも心許ないため、最小限の枚数で形式上の処理が狙えるボマードラゴンを採用しました。


《ミンゲイドラゴン》
ブラスターはもちろんタイダルやレドックスさえもが勝ち筋と成り得るため、受け幅が広がります。
相手側の《王宮の鉄壁》と友情コンボすれば連続的な展開が可能で、ケルキオンが使えない状況下にて大型ドラゴンを連打できます。
渓谷や霊廟から直接墓地に落とし込むことが可能であるため、1枚差しておくだけでも7通りのルートがあり、ドラゴンまみれの手札から勝機を見出せる可能性があります。
一つ懸念点とはしては、これを採用することで《霞鳥クラウソラス》が必要になるかもしれないことです。
手札にテンペスト以外の上級ドラゴンを持てていれば問題無いのですが、手札のリソースがレベル1チューナーのみかつ墓地に征竜が存在している場合はこれが必要不可欠で、この構築の課題点であるエクストラデッキの圧迫をより深刻な問題としてしまうリスクがあります。
今回はその状況を割り切って採用を見送りましたが、妥協した選択になっていることは間違いありません。


《群雄割拠》
サイド後のヴェルズを何度か経験してみて、これはおそらくケアできないだろうと感じたものを選んで入れていきました。
対ヴェルズ相手なら必ず初手に欲しいクラスの1枚なので、採用するなら3枚がベターでしょうか。
とは言え、オピオンそのものの解決には結びつかないためここに関してはやや運まかせなところがあるように思います。
サイドを対ヴェルズに寄せ切り、除去を含めた多量の枚数を割けるのならば問題ありませんが、メタの枚数に懸念がある場合はもっと直接的な回答を用意する方が好ましいかもしれません。


《アームズ・エイド》
《バトル・フェーダー》《ゴーストリック・フロスト》を搭載した形の征竜に対するメタです。
本来であればメインからエクストラデッキに採用したいのですが、対戦相手が確定していない1本目の時点では現状の15枚どれにも見切りをつける事ができなかったためサイドとしました。2本目以降はミラーマッチで出番のないパールをアウトして投入します。
プレイの手段は、《幻獣機ドラゴサック》から生み出したトークンをシンクロ素材に使い召喚します。
相手ライフが3600以下ならそのままサックに装備して攻撃を行い、もっとたくさんのライフが残っている場合でもエイドを相手に装備させることで、自分の征竜らを自爆させ、ごっそりとライフを持っていくことが可能です。

【補足:エイド自爆に伴うライフ消費】
アームズエイドを相手モンスターに装備させた場合、アームズエイド本体をコントロールしているのは自分であるため、エイドの「装備モンスターがモンスターを戦闘破壊した場合、破壊したモンスターの攻撃力分ダメージを与える効果」は相手に向けて適用されます。
このダメージであればフェーダーやフロストには一切干渉しないまま相手ライフを削り切れます。増殖するGで何枚カードをドローされても関係ありません。


注意点として、サックで生み出したトークンとレベル1チューナーをシンクロすることでエイドをプレイすることになるのですが、サック本体を自爆させる場合は戦闘破壊耐性を失わせるために生成した2体目のトークンも自爆させる必要があります。
これにはそれなりの量の反射ダメージが発生しますので、ライフ状況次第ではこのプランを取ることができません。
エクストラデッキに余裕がある場合はデブリドラゴンからプレイできるレベル7シンクロモンスターを用意しておくことが望ましく、墓地のガードオブフレムベルを釣り上げることでサック・レベル7シンクロ・エイドを流れるようにプレイできます。
とは言え、デブリドラゴンからプレイできるレベル7ドラゴン族シンクロの最大攻撃力は《ブラック・ローズ・ドラゴン》の2400なので、サック(2600)・ブラスター(2800)・ローズ(2400)と並べても1ターンキルには届きません。
このキルに向かうまでの間に相手からもある程度ダメージを食らっているでしょうし、エイドを装備した相手モンスターの攻撃力上昇を考慮しても、何度もモンスターを突っ込ませるのは非現実的です。
最終的なフィニッシュをイメージして事前にダメージを稼いでおくのがセオリーとなります。
例1)序盤ブラスター1パンで残り5200からの後半サックブラスター(orタイダル)特攻
例2)序盤ブラスター1パン5200、中盤レドックス1パン3600、後半エイド装備サック
例1は自身ライフに比較的余裕がある状況、例2は自身のライフに余裕がなく、ドラゴンリソースもそれほど多くを割けない状況で狙います。
例2のレドックスアタックはゴーストリックフロストによる強制裏守備変更からのクリムゾンブレーダーもケアできているので、相手側もこのプレイに踏み切れず、無事にダメージを稼げることが多いです。
攻撃が済んだあとはチューナーをプレイして別のモンスターに姿を変えることでその後の心配も要りません。
ギガンテックファイターのような相手側のエン魔竜を誘いやすいモンスターに変換しておけば、返しターンのエイドフィニッシュにもスムーズに繋がります。