5.ドラゴン以外のカード選択

征竜関連のカードが21枚に、征竜外ドラゴンが6枚、41(42)枚中27枚がドラゴンで、残りのスロットは14(15)枚です。(※カッコ内数値はKnifeCS時)
征竜にとって標準である大嵐・七星の宝刀・異次元からの帰還の5枚を外してみると、残り9(10)枚の枠には全て罠が選択されています。
9(10)枚ものスロットがあれば、新しいエンジンを組み込んだり(《ドラゴン・アイス》+《魔轟神キャシー》)、メインに入れておきたいカードを入れてみたり(《増殖するG》《バトル・フェーダー》《サイクロン》)、色々できます。
罠に寄せ切った理由は大きく分けて2つあります。


1.安定感
ここでもまた安定性の追求を行っています。
サーチカードの大量搭載でドラゴンの確保には気を使っているつもりですが、それでも尚、思うようにドラゴンが集まらない展開も時折訪れます。
そういった場面で手札に存在するのはドラゴン以外のカード、つまるところ、今話しているスロットに採用したカード群ということになるのですが、この部分が上記に挙げたキャシーやGなどに割り当てられていると、事故はより顕著なものとなります。
無事にドラゴンが循環し始めるまでの間を繋ぎ、かつドラゴンが動き出している状況でも問題なく機能が望めるもの、それが罠です。
モンスターを直接的に除去する事はライフ保持の性質からドラゴン循環までのサポートには最適です。スケープゴートのようにいたずらにアドバンテージを消費してしまうこともありません。
サイクロンされようが神の宣告されようが最低限の仕事は果たしており、実際にこちらが動き始めた際にもイーブンの状態でスタートを切ることができます。
かつ、征竜が回り出した後の状況においても前面脅威を維持するのに活用でき、無駄がありません。
この3日間で何度か0〜1征竜のスタートを切りましたが、除去による時間稼ぎから何とか展開が間に合い、窮地を脱してきました。


2.征竜の強さ
征竜は単体のギミックが強力で、プラスアルファを加えずとも相手を倒しきるのに十分なポテンシャルを有しています。
征竜ギミック内で一通りのアクションを実現できますから、相手を倒すための追加要素に必要性を感じていません。
その結果、勝ち筋の一切は征竜に任せ、残りの枠はメインエンジンの円滑な稼働を目的とし、成立までの隙を埋める汎用性の高い罠を中心に、防御態勢を敷くことに決めました。
征竜の屈強さを基盤とし、その上に罠による柔軟性を上乗せすることで、戦えるデッキや状況を増やしているイメージです。
非常に丸い作りとなっているため、特に苦手とされるデッキを持たず、どのデッキ相手にも互角以上のゲーム展開を見せる事ができていると思います。
以下で紹介する罠に関しても安定感を第一としており、先出し・後出しの可否を考慮してバランスを調整しています。
しつこいぐらいの安定志向ですが、それだけ征竜と言うデッキの強さを信頼しているからに他なりません。


《月の書》
汎用的な防御としての運用の他、月の書ならではの利点が存在します。
1つは《ヴェルズ・オピオン》の除去に関して。月の書は手札からの発動が可能なためフィールドセットを介す必要が無く、相手側の大嵐・サイクロンに破壊されるリスクを背負わずに要所を選んだ発動が可能です。
こちらから大嵐やサイクロンを発動するケースにおいても同様で、強制脱出装置や《鳳翼の爆風》の場合は相手側が《侵略の汎発感染》を伏せていた時、破壊にチェーンする発動を無効とされてしまうため除去を達成できません。
手札に持てる月の書であれば、破壊確認後余裕を持って発動可能です。チェーンして汎発をプレイされた場合もこちらからチェーンしての発動でOKです。
除去に確実性を持たせるために大嵐を発動した後これらの除去を伏せていては、相手側が手札に汎発感染を更に控えていたり、《ヴェルズ・ケルキオン》ないし《ヴェルズ・カストル》+ヴェルズモンスターを有していたりした場合に対応できません。このラグはゲームの行方を分かつ差であると言えます。
2つ目はミラーマッチにおけるクリムゾンブレーダーの成立です。
征竜を使用する上でクリムゾンブレーダーは非常に致命的なモンスターで、効果が成立しないよう常に意識の中に置いておく必要があります。
そのため攻撃力・守備力2800未満のモンスターは必ずシンクロ・エクシーズを行う、場に残す征竜はレドックス・ブラスターに限るなど、ブレーダーをケアしたプレイの定石が存在していますが、月の書はその定石の上からブレーダーを成立させることが可能です。
シンクロ・エクシーズ先のモンスターの守備力は尽く2800を下回っており、ほとんど全てがその効果の範囲内に収まります。裏守備となるため閃コウ竜スターダストもケアできます。
防御から反撃までをスムーズにリンクさせる、攻守両面の1枚です。


《神の宣告》
今期に入り、神の宣告の範囲外となる召喚が増加しました。
征竜に然り水精鱗に然り、その特殊召喚が致命的な展開に影響しやすいため、神の宣告に対する信頼性は低下しつつあります。4000程度のライフであれば一瞬で奪い切れるデッキも増えてきており、信頼性の低下に拍車を掛けた格好と言えるでしょう。
とは言え、征竜や水精鱗の取る行動の全てが神の宣告に対して強い訳ではなく、神の宣告が有効に使える場面は多々あります。
採用レベルに足る召喚無効スペルは現環境において非常に少なく、主流戦術となっているシンクロ・エクシーズ召喚の全てに対しては有効です。七星の宝刀や《ジェネクスウンディーネ》のような初動のプレイに対する発動もゲームを決定付ける威力があります。
また、罠型の都合を取る手前大嵐は相変わらずの脅威です。
手札に罠が集中した際はスターダストドラゴンをプレイすることで大嵐のケアを行うのですが、スターダストドラゴンは戦闘に脆く、せっかく守った除去はこれを守るために発動の基準が低くなってしまい、消費が荒くなる傾向があります。
神の宣告が大嵐のケアを行う場合スターダストのプレイは不要なものとなり、より強力なシンクロモンスターを脅威として成立させることが可能で、相手側の用意する回答のレベルを引き上げ、結果更に有効なタイミングで除去をプレイすることが可能となります。


《神の警告》
神の宣告とは対をなす格好で、相対的な信頼性・対応力を向上させているのがこの神の警告です。
各種征竜および水精鱗の有するフィニッシャー・メガロアビスに対して発動が可能なこと、ライフ消費の少なさから後続に対する余裕の持ち方等々。
攻撃面においても最近増加し始めた《バトル・フェーダー》や《ゴーストリック・フロスト》等の存在からより一層その価値を高めています。


《異次元からの帰還》
征竜の有する必殺の1枚です。
発動の仕方に気を付けていれば、引いた試合はほぼ確実に勝利します。
暗黒界の《手札抹殺》と同様、そのデッキを使用するに当たり絶対的なメリットとなりえます。


《激流葬》
征竜への搭載には賛否両論ありますが、僕は良い選択だと考えています。
閃コウ竜スターダストという相性の良いモンスターの存在も採用を後押ししている要因ですね。
閃コウ竜は一度の破壊を無効とするため、その突破には閃コウ竜のステータスを上回るモンスターを2体揃えるか、除去能力+高ステータスのモンスター(エン魔竜など)をプレイするかの2択となり、そのどちらの場面においても激流葬は相手側に多大な損害をもたらします。
今回の罠の採択は征竜エンジンが成立するまでの時間稼ぎという面も担っているので、ノーコストの全体除去はこの条件に打ってつけです。


《奈落の落とし穴》
環境が進むにあたり、相対的に価値を増した1枚です。
ミラーマッチに強く、1500以上の召喚を一切含まないデッキもまずないため、征竜の台頭から久方ぶりに定番罠としてのポジションを取り戻した格好に思えます。
また上記に記した「ドラゴンが回り出すまでの時間稼ぎ」のテーマにおいても、除去しつつその後のリソースとしての利用を断ち、ゲーム展開を遅らせる奈落の落とし穴は恰好の1枚であると言えます。


《強制脱出装置》
他の罠カードが先出しを前提としており、この方向に寄せ過ぎると《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》や《ヴェルズ・オピオン》といった強力メタに詰まされかねません。
対応力を考慮しても罠カードの採用は後出し・先出しで切り分けておくべきです。
後出しの効く罠という面では《サンダー・ブレイク》や《鳳翼の爆風》も候補に挙がりますが、今回はコスト面を重視して脱出装置を選びました。
ドラゴンの循環が成立するまでの間、竜の渓谷や七星の宝刀のコストとして運用するための征竜モンスターは手札に残っていることが望ましく、それまでの間爆風等の手札コスト系カードの発動には懸念が残ります。
デッキの半数を征竜循環のためのカードに割いた現在の構築でも、コストの捻出に苦労する場面は多々見受けられます。
《虚無空間》のような致命的なメタカードの流行でも見られない限り、なるべくコストが安く、手軽さを有した脱出装置を使用したい考えです。
融通が効きやすいのがポイントで、フリーチェーンゆえの応用がいくつかあります。
自分のデブリドラゴンに打ち込むことでチューナーの利用回数を増やしたり、幻木幻水を狙う際に幻木の段階でGを確認できれば脱出を伏せるのみでターンを返してアドバンテージを失わせたり、このような小技を絡めていけるのも評価の対象です。


次元幽閉
2度のCSの後、デッキの比率的にもう1枚除去が欲しいと感じあれこれ考えていたのですが、最終的にこれに決めました。
他の候補は《聖なるバリア−ミラーフォース−》《鳳翼の爆風》《昇天の黒角笛》《デモンズ・チェーン》《虚無空間》、それに強制脱出装置の3枚目です。
環境的に弱過ぎるデモンズチェーンを最初に外し、罠型の流行を考慮しミラーフォース・虚無空間は取り下げ、事故時のライフ保持面を考慮し爆風・黒角笛を順次諦め、要件をギリギリ満たせる次元幽閉に落ち着いた格好です。
奈落と合わせての色削り、閃コウ竜の除去等、勝手は良好でした。ドローした全ての状況で仕事を果たせたと思います。
想定の範囲に収まらないことが大きく、セットを激流や奈落想定してスターダストや閃コウ竜を積極的にプレイしてきたことが大きいと思われます。
KnifeCSの時点では事前に構築を公開していたので、奈落・激流・脱出をケアした動きを取ってくるプレイヤーがほとんどでした。征竜のままでのアタックも含め、幽閉はどこにも当てはまらないので全てのケアを帳消しにします。
今後も継続的に採用していくかと言われれば微妙なところですが、選択肢としては悪くありません。