2012年9月制限環境のメタゲーム総括

2012年8月

新制限が発表され、前環境を席巻した甲虫装機・HEROビートの2デッキが大幅に弱体化しました。
例に倣い、生き残り組であるガジェット・水精鱗がそのままトップメタの座に立ち、その他多くの第2・第3勢力によって暫定的なメタ構成が行われた格好です。
9月の実施に先駆けたトーナメントでは多種多様なデッキが見受けられ、先に挙げた2大トップメタを初めとし、聖刻・アライブHEROと言った前環境の引き継ぎ勢力、カラクリ・暗黒界・六武衆のような温故知新の選択まで、過去と現代の入り混じる混沌とした幕開けとなりました。


第7回カード王CS優勝【聖刻】いごろーさん
http://ameblo.jp/card-oh-namba/entry-11339251130.html
第7回カード王CS優勝【暗黒界】王子さん
http://ameblo.jp/card-oh-namba/entry-11339241967.html


環境初頭らしい伸び伸びとした構築が目立ちます。
初頭の段階においては自分の狙いをよりストレートに実現できる構築が好ましく、その理由としては、強いデッキタイプの予想はついても、世間の情勢がそれと一致するとは限らないためです。
事実この頃の入賞リストには非常に多種多様なデッキタイプが羅列されています。
時間が経過し、各所の結果が出揃う事で情報基盤が整い、認識の一致・メタの固有化が徐々に進んでいく訳です。


2012年9月

12年9月制限が本格的に始動。
ガジェット・水精鱗両者が環境に合わせてその精度を増していき、徐々に力の差を広げていきました。


第2回KnifeCS優勝【ガジェット】みらーふぉーすさん
http://ameblo.jp/knife-ryo3529/entry-11397619559.html
第2回カード王岡山CS【水精鱗】フォレストさん
http://ameblo.jp/broly-card-oh/entry-11364620867.html


各々のデッキが成熟を見せた上で差が生まれるとすれば、やはりそれはデッキパワーの一言に尽きます。
特に前環境で一線を張ってきたガジェットは並大抵のデッキでは歯が立たず、この時期のトーナメントで高いアベレージを記録し続けました。
天敵であった甲虫装機が消え去り、ギアギガントXを筆頭とした強固な盤面を解決できるデッキは非常に限定的で、水精鱗のデッキ選択に拍車をかける形でメタの固有化は一層激しくなっていきます。





ガジェット・水精鱗の隆盛極まる中、そのアンチ勢力として暗黒界が徐々にシェアを拡大していきます。
両者の攻撃面の主力を軒並み受け付けない《暗黒界の龍神 グラファ》の存在際立つマッチングですが、その中に見られる《魔のデッキ破壊ウイルス》の存在は両デッキに対して高い効力を発揮しました。
特にガジェットに対しては絶大なダメージが望め、HEROビートやカラクリ、遂にはガジェットそのものがこの《魔のデッキ破壊ウイルス》を取り込み始めた事から、構築的命題の一つにガジェットの攻略が掲げられていたことを窺い知れるでしょう。


第2回京都CS優勝【カラクリ】J-SPEED
http://kyotocs02.blog.fc2.com/blog-entry-16.html
第2回カード王岡山CS【HEROビート】くらうどさん
http://ameblo.jp/broly-card-oh/entry-11364628715.html


両者共に《サイバー・ドラゴン》を軸に据え、その延長線上で《魔のデッキ破壊ウイルス》発動を意識しています。
ジャイアント・オーク》+《魔のデッキ破壊ウイルス》のような強引な狙いでは、デッキの狙いに無関係なオークのみをドローしてしまった際に著しく動きが鈍化してしまう欠点がありますが、《サイバー・ドラゴン》であればそれ単体が確かなメタとして成立しており、そこに付随する形で決定打となる《魔のデッキ破壊ウイルス》を狙っていける格好です。
また、環境初頭から着々と進んでいたメタの固有化により、トーナメントで戦う事になるデッキタイプもある程度の予想がつくようになりました。
それゆえ局所的なメタデッキもちらほらと見受けられるようになり、対ガジェット・水精鱗を意識したデッキ群がこの9月でハイアベレージを記録しています。


第2回京都CS優勝【TG】アーサーさん
http://kyotocs02.blog.fc2.com/blog-entry-16.html
第2回カード王岡山CS優勝【マシンビート】A1さん
http://ameblo.jp/broly-card-oh/entry-11364626773.html



2012年10月〜11月

EXTRA PACK 2012がリリースされたことにより、環境が一新。
《魔界発現世行きデスガイド》の存在により、暗黒界はよりパワフルなデッキへと昇華、《レスキュー・ラビット》規制の影響で沈静化していたラギアデッキは息を吹き替えし、長きに渡りデスガイドが支配し続けた海外環境をここ日本に再現した格好となりました。


第6回YOT優勝【ガイドラビット】そとうちさん
http://ameblo.jp/gongondaioh-yugioh/entry-11379834500.html
第3回くわの家CS優勝【暗黒界】ショウイチさん
http://yugioh1234.blog.fc2.com/blog-entry-33.html


この流れの中で最もインパクトが強かったのは、間違いなくゼンマイの登場です。
ゼンマイは海外環境において非常に人気の高いデッキでしたが、日本のそれは先行第1ターンで5枚の手札を刈り取る別物のデッキ。
似て非なるそれがどう生まれ変わるのかイマイチピンと来なかったプレイヤーも多かったことかと思います。
実際のところ、ゼンマイは実にぶっ飛んだデッキで、当時のトーナメントシーンに劇的な変化をもたらすことになります。







リリース直後の大会でこそ、会場でちらほら見かけられる程度の存在に留まっていましたが、構築の基盤、展開パターンなるものが確立されるや否や、一躍トーナメントシーンのトップに躍り出たのです。
緻密に計算された展開パターンにより、先行展開から後手の1ターンキルまであらゆる盤面を実現できます。《No.69 コート・オブ・アームズ》のようなカードが平然と使われる光景がイメージできたでしょうか。
海外より飛来したこの勢力は、日本独自のチューニングが成され大幅なグレードアップを遂げます。《発条空母ゼンマイティ》の制限規制などものともしないほどに。
この影響により、サイドデッキには《増殖するG》《エフェクト・ヴェーラー》が標準的に搭載され始め、そして遂にこれらのカードはメインデッキの段階で見られてもおかしくないようなカードとなりました。
いかにゼンマイが驚異的な存在であったのかが窺い知れる変遷の様子だと言えます。


ラグナロクCS準優勝【ゼンマイ】グロスさん
http://ameblo.jp/ragnarok-nara/entry-11404289070.html




環境が海外勢力に塗り替えられ行くその一方で、ここ日本より真新しくもたらされた選択肢も確かに存在しており、東海CS2012秋(http://tokaigumi.main.jp/tokaics/)にて披露されたギアギアと魔導がそれにあたります。
両者共に使用率こそ高くないものの、以降のトーナメントを制する程の成熟を見せ、2012年9月制限における環境デッキの多彩さを語る上で欠かせない存在となりました。


第5回岡山CS優勝【ギアギア】A1さん
http://04351992.blog48.fc2.com/blog-entry-340.html
第4回TokyoCS優勝【魔導】キムさん
http://tokyochampionship.web.fc2.com/result_4th.htm#1_1


EXTRA PACKのリリースを機に、デッキの選択肢は大きく広がりを見せ始めました。
この頃のトーナメントではありとあらゆるデッキ群が上位に立ち並び、非常に混沌とした様相を示しています。
制限の施行から十分な時間が経過したことで、環境におけるカードプールが浸透し、模索されつつあった選択肢の一つ一つが成熟した格好です。
上記2デッキに関してはその経緯をたまたまダイレクトに受け取ることができたため、その様子からも「環境の成熟」を感じることができました。


2012年12月

《増殖するG》《エフェクト・ヴェーラー》《群雄割拠》《御前試合》等々、徹底したメタにゼンマイの活躍が陰りを見せ始めた頃、環境にある変化が訪れました。
突如としてトーナメントシーンに浮上したヴェルズこそがこの変動の立役者であり、始まりの狼煙は日本列島の遥か西・九州の地で上げられることとなります。


浮き輪グランプリ優勝【ヴェルズ】くましょーさん
http://blog.livedoor.jp/float0-kyusyu/archives/20498054.html


11月末にリリースされたデュエリストセットでは、デュエルターミナルで取り扱われたテーマの1つであるヴェルズとセイクリッドの再録が行われ、その両セットには1枚ずつの新規カードが収録される事になりました。
《セイクリッド・ソンブレス》、それに《ヴェルズ・ケルキオン》です。
高いスペックを有したこれらは両テーマデッキのポテンシャルを飛躍的に向上させ、各地で続々と成果を上げるに至り、この12月は急速なビートダウン環境への推移が成し遂げられる転機となりました。
月末、火付けの地となった九州では過去最大級となる個人戦・Tetsu ChampionShipが開催され、参加者400人超による群雄割拠のトーナメントが繰り広げられましたが、その上位にもビートダウンが立ち並ぶ結果となっています。


第6回TCS優勝【ヴェルズ】J-SPEED
http://iamthebornofmycard.info/blog/?p=23575
第6回TCS準優勝【HEROビート】Rさん
http://iamthebornofmycard.info/blog/?p=23577
第6回TCS4位【炎星】じゃるさん
http://iamthebornofmycard.info/blog/?p=23583



高打点の維持を容易とし、その上で速度を兼ね合わせるビートダウンデッキという天敵の登場を受け、ゼンマイはその数を急速に減らしていきます。

【ゼンマイとビートダウンデッキの関係性】
ゼンマイは《ゼンマイマジシャン》を軸としたコンボに大きく依存したデッキであり、単体のステータスが低く、コンボデッキゆえに妨害要素の影響を大きく受けます。
単純な迎撃カードによる妨害は《カードカー・D》《ゼンマイマニュファクチャ》がもたらすアドバンテージを基盤に、《サイクロン》《ナイト・ショット》《リビングデッドの呼び声》らを交えた手数で突破が可能でしたが、《増殖するG》《エフェクト・ヴェーラー》と言った手札に構えられる妨害要素に対しては回答が少なくなっています。
メインギミックを墓地の利用に置いたデッキに対しては《次元の裂け目》のようなカードで対抗できますが、手札誘発に対するメタのみを目的とする投入は現実的ではありません。
コンボパーツが増えていますし、コンボがスタートして初めて機能するサポートカードは、それまで実質的なアドバンテージを失うだけの死に札となります。
特にビートダウンデッキのような速度のあるデッキ相手に序盤の死に札は致命的な問題に繋がりかねません。
ゆえにこれら手札誘発に対しては展開を一度停止し、続くターン再度攻撃を開始するプランを取ることが主となってくるのですが、ビートダウンデッキ相手だと踏みとどまった隙に場に残った要員を一掃されてしまいます。
この攻め手を捌き切るだけの罠を用意できれば良いのですが、ビートダウンデッキは序盤からの押し込みに長けており、十分な用意を行えないまま見切り発車的な形でゼンマイ側が仕掛けを強いられる場面が非常に多いです。
ヴェルズのような突破力に長けたデッキはその中でも非常に驚異的な存在であると言えます。

その一方で、水精鱗がその数を徐々に回復し始めています。
同月開催のジャンプフェスタ2012にて追加された《獣神ヴァルカン》《アーマー・カッパー》の登場がこの増加に後押しをかけた格好です。
これまで水精鱗は《ヴェルズ・オピオン》に対して有効な回答が少なく、やや押され気味の傾向にありましたが、この《アーマー・カッパー》登場により回答の数が飛躍的に増加、盤面解決能力が大きく向上しています。

【水精鱗の解決能力向上】
《アーマー・カッパー》登場があるまで水精鱗は《ヴェルズ・オピオン》を除去する手段が非常に限定的でした。
《深海のディーヴァ》をもってしてもその解決には結びつかず、《深海のディーヴァ》+《海皇の狙撃兵》や《深海のディーヴァ》を2枚重ねて持ってもこの突破がままならなかったのです。
リリース以後はカッパーを通して《海皇の重装兵》を墓地に送るだけで簡単に処理が可能となりました。
これはヴェルズがこれまで水精鱗に対して絶対的な信頼を置いていた《次元の裂け目》を潜り抜けながら取れるアクションで、その《次元の裂け目》そのものの破壊さえも可能としています。
この事態を受け、対水精鱗に対するメタの手段は《次元の裂け目》から《ソウルドレイン》や《スカル・マイスター》へ変化していきます。

リリースから約半年を経てようやく水精鱗の構築は確立されつつありましたが、それと同時に逆側の「対水精鱗戦術」も確立されました。
《アビスフィアー》を警戒した《サイクロン》の扱いがそれに当てはまりますが、定石となり始めたこの傾向を逆手に取り、水精鱗側に構築の変化が発生しています。

【水精鱗の構築変化】
水精鱗に対し《サイクロン》のような伏せ除去カードを気軽にプレイすると、《アビスフィアー》のチェーン発動でたちまちアドバンテージを稼がれてしまいます。
ゆえに伏せカードの事前除去は控え、セットカードを《アビスフィアー》前提として動き出すプレイが主となっていますが、この「伏せカードが除去されづらい」という点を利用し、防御カードを活かす戦術が取られるようになりました。
現在の環境には3枚の《サイクロン》が存在しており、僅かばかりの罠を搭載するだけではその標的を作り出す事にしかならなかったのですが、上記の理由が合理的な採用理由を生み出したのです。
直接的な除去を積み増すことで《海皇の狙撃兵》の攻撃を通しやすくなる他、場のモンスターを維持することで浮ついた《ジェネクス・コントローラー》を積極的に活用していけるなど、付加価値として多くの恩恵を受けています。

第5回大阪杯優勝【水精鱗】封神さん
http://kinkicsmini.blog74.fc2.com/blog-entry-54.html


2013年1月

年を開けての1月。
前月大躍進を遂げたヴェルズでしたが、ゼンマイ同様その存在が際立つほどに、メタは激化していきます。
《A・ジェネクス・ドゥルダーク》《聖なるあかり》《プライドの咆哮》等々局所的なメタが増え始め、ビートダウンデッキにはメインデッキの内から《禁じられた聖槍》が搭載され始めました。
極めつけは対抗馬として現れた炎星の存在です。
同月にリリースの「V JUMP EDITION 8」によってもたらされた新戦力も後押しする格好で、高い戦闘力を持つ炎星は「ビートダウンを狩るビートダウン」の立ち位置を確立していきます。


関東フェスタ準優勝【炎星】スタースクリームさん
http://shockmaster.seesaa.net/article/314670831.html


《暗炎星−ユウシ》の除去能力、《炎舞−「天セン」》に代表される戦闘サポートカードがビートダウンミラーの圧倒優位を支えています。
1度役目を果たした炎舞はその後もフィールドに残り続け僅かばかりの攻撃値補正をもたらしますが、ビートダウンデッキ同士の戦いではこの「僅か」な数値さえ決定的な差を生み出します。
ヴェルズデッキは元来《ヴェルズ・ヘリオロープ》に代表されるよう、他のビートダウンと比較して頭一つ抜け出したステータスの高さを売りにしていましたが、その数値は数百あるいは数十の差異で、演舞のもたらすプラス修正で逆転の範疇にあります。
更に《暗炎星−ユウシ》《勇炎星−エンショウ》は戦闘の結果から更なるアドバンテージを発生させますから、1度の戦闘成否がゲーム展開を決定付けかねません。



ヴェルズと入れ替わる格好で炎星が急速にシェアを拡大する一方、相対的に立場を向上させたのが炎王です。


関東フェスタ優勝【炎王】ディスさん
http://shockmaster.seesaa.net/article/314670754.html


《炎王神獣 ガルドニクス》は対ビートダウンデッキにおいて目覚ましい活躍を見せます。
運用の上で懸念の存在であったヴェルズは炎星の流行から数そのものを減らしており、仮にマッチングした場合でも炎星エンジンにより互角ないしそれ以上のゲーム展開が期待できます。
炎星デッキは前面のやり取りで圧倒的な強さを持っていますが、その前面脅威の駆逐に特化したガルドニクスは非常に驚異的な存在です。
リリース直後は手札に引いてしまった《炎王神獣 ガルドニクス》を処理するのにロクな有効牌が無く、《サンダー・ブレイク》のような無茶を通していたのですが、《炎王獣 ヤクシャ》が登場し安定感が飛躍的に向上しました。
《熱血獣士ウルフバーク》が加わることでゲームプランの安定化と勝ち筋の増加が行われ、この月に入り急激な強化が成されています。
これらの動作は《炎舞−「天キ」》による関連付けが可能で、《暗炎星−ユウシ》の存在と合わせ、状況に応じた柔軟なプレイを可能としています。





また、ひとえに炎星と言えどその形態は様々であり、上記に挙げた《暗炎星−ユウシ》らレベル4モンスターを基軸に据えるものから、《炎星師−チョウテン》《立炎星−トウケイ》のギミックを前面に押し出したレベル3基軸のもの、そして両者をハイブリットしたものまで幅広く存在しています。
レベル3軸の構築ではエクシーズ以外にも《炎星師−チョウテン》を用いたシンクロルートも用意されており、中でも《獣神ヴァルカン》は上記に挙げた炎王の《炎王神獣 ガルドニクス》のバウンスが可能となる点もポイントの一つです。


第6回バンズストア四条寺町CS優勝【3軸炎星】A1さん
http://bssijyouteramatics.web.fc2.com/resipi0127.html


ビートダウンデッキが基調とする戦闘の概念において炎星は圧倒的に強く、同じ角度でのやり取りではまるで割に合いません。
かつ、《暗炎星−ユウシ》《微炎星−リュウシシン》《炎星師−チョウテン》らがもたらす能動性が相手に依存しない基盤の強さを支えており、攻め・返しの2面で強力なアクションパターンを有しています。
仕掛けのリスクの少なさに然り、炎星には「強いデッキ」の条件として挙がる要素が多く見受けられます。
海外ではリリースされたばかりのセットですから、規制の線も薄く、現在積み重ねられているノウハウは来るべく新制限後の環境においても活き続ける事でしょう。


ヴェルズが築いたビートダウン環境は、それを食らう炎星によって瞬く間に支配されていきました。

終わりに

この2012年9月制限で起きた変遷の様子をザックリまとめます。


1.環境初頭、前環境の生き残り組であるガジェット・水精鱗がリード
2.EXTRA PACKがリリースされ、強化されたゼンマイ・暗黒界が幅を利かせる
3.メタが激化し両者が衰退、新たに現れたヴェルズがビートダウン環境を築く
4.ビートダウンに強いビートダウン・炎星が徐々に頭角を現す
5.VEによって強化された炎星が一躍トップへ、派生も生まれ環境が一色化し始める


昨年9月から今日日に至るまでの様相です。
流行⇒研究⇒回答⇒普及⇒衰退⇒次なる流行のサイクルが成され、回り続けるメタゲームを分かりやすく見て取ることができます。
近年、Duel Entranceによりトーナメント―シーンの全国的な情報基盤が確立され、twitterskype等のコミュニケーションツールを通して地域を跨いだ議論が活発に交わされるようになりました。
それに伴い、結果を残したリストは各所で徹底的な解明が進められ、風化の速度は年々加速してきています。


この2012年9月制限も残すところあと僅かとなりました。
デッキ選択、カード採択両面において、今期は実に幅広い選択肢が存在しましたが、時々の傾向次第で環境の毛色は大きく異なります。
環境全体像の理解、適応した選択、実戦における反映等々、隅々に渡り、確かな正解を導き出す事で、初めて結果を手にすることができます。
しかしながら、この激動の時代においてはそれも一過性のものでしかないことは、非常に流動的であった今期の様子からも見て取れるかと思います。
無数に存在する大会結果はあくまで結果に過ぎず、それらは過去のものであると同時に、皆々が見知った、共有された知であり、前提条件です。
今一度上記に挙げたリストに目を通して見ると、勝ち組のリストには必ずそうなった理由が存在しており、そこに至るまでのメタゲームに対する考え方こそが、今後のトーナメントシーンを戦う上で必ず必要とされるではないでしょうか。


メタゲームは今後も繰り返され続けます。
過去のデッキやプレイング(≠基礎。特定の立ち回りを指します)は原則使い古されていくものですが、メタに対する考え方や分析の手法は今後もきっと生き続けるはずです。
本稿がその一助となることを願っています!


ご覧いただきありがとうございました^−^

使用デッキ解説 - ヴェルズビートダウン(2012.1.20)

昨年末のTCSにて使用したヴェルズデッキの解説記事です。
「V Jump Edition 8」によってもたらされる炎星・炎王の強化が一つ環境の節目となる事が予想されるため、これを機にまとめとして記述します。

概要


ここ最近人気急上昇のビートダウンデッキデッキの一角です。
ポテンシャルの高いヴェルズモンスターをふんだんに採用し、速効性のあるビートダウンで瞬殺を目指します。


ヴェルズのギミック自体は比較的古くより用いられており、ヴェルズヘリオロープとレスキューラビットの結び付きから、主にラギアデッキのビートダウンギミックの一環として取り入れられていました。
「DUEL TERMINAL −星の騎士団 セイクリッド!!」リリース以降ヴェルズに特化することのメリットが徐々に強まり、「デュエリストセット ダークリターナー」で登場したヴェルズケルキオンの存在が一気にデッキのポテンシャルを引き上げました。


デッキの核であるヴェルズオピオンは、攻撃態勢を維持するために必要なアイテムのほとんどを単体で稼ぎ出します。
サーチ先となる侵略の汎発感染は早期ビートダウンを達成する上で付きまとうリスク・除去スペルの全てをケアし、侵略の侵喰感染は肝心要となる追加の攻め手(=ケルキオン)へのアクセスを可能としており、オピオン1体がヴェルズの動き全てを完結させています。
サイド後の《侵略の侵喰崩壊》も合わせれば除去まで担える徹底ぶりです。


ヴェルズという選択をするだけで魔導やHEROビートと言った相性有利なデッキを持てるのも一つの強みだと言えます。
現在のトーナメントシーンには非常に多種多様なデッキが存在しており、勝ち抜くためにはメイン・サイド・エクストラの全てを駆使してあらゆるメタに対応する必要があります。
デッキ相性の面で明確な優位を確立することができればデッキのスロットに余裕が生まれますから、他のメタに対して強く意識を寄せることが可能になります。
結果、相手側がこちらに対して行う対応策よりも多くのメタを被せることが可能となり、全体を通して有利に戦いやすいという利点があります。

サンプルリスト

モンスター(21枚)
レスキューラビット×2枚
ダーク・アームド・ドラゴン
エフェクト・ヴェーラー×3枚
ヴェルズ・マンドラゴ×3枚
ヴェルズ・ヘリオロープ×3枚
ヴェルズ・サンダーバード×3枚
ヴェルズ・ケルキオン×3枚
ヴェルズ・カストル×3枚

魔法(10枚)
大嵐
増援
侵略の汎発感染×2枚
死者蘇生
月の書
強欲で謙虚な壺
サイクロン×3枚

罠(10枚)
奈落の落とし穴×2枚
神の宣告
神の警告×2枚
侵略の侵喰感染
激流葬×2枚
強制脱出装置×2枚

エクストラデッキ
A・O・J カタストル
No.106 巨岩掌ジャイアント・ハンド
No.16 色の支配者ショック・ルーラー
No.50 ブラック・コーン号
ヴェルズ・ウロボロス
ヴェルズ・オピオン×3枚
ヴェルズ・ナイトメア
ヴェルズ・バハムート
ガガガガンマン
ジェムナイト・パール
ダイガスタ・エメラル
恐牙狼 ダイヤウルフ
交響魔人マエストローク

サイドデッキ
ソウルドレイン
強制脱出装置
禁じられた聖槍×3枚
次元の裂け目×3枚
邪神の大災害
侵略の侵喰崩壊
増殖するG×3枚
魔のデッキ破壊ウイルス
冥府の使者ゴーズ

基本戦略


ヴェルズオピオンを筆頭とした高打点モンスターを擁立することでプレッシャーを与え続け、相手側に返し手を強いるのが基本スタイルです。
自分が万全の状態で攻撃態勢に移れない状況では防御系の魔法罠を用いて対処を図るのが一般的ですが、ヴェルズはこれを汎発感染によって阻止できますから、相手側に対し不完全な状態での攻撃リソース消費を迫ることができます。
ここを除去で弾く・侵喰感染で手に入れたケルキオンで更に返すのがセオリーとなり、攻撃態勢の持続に必要なアイテムをオピオンによるサーチ効果で一通り賄える自己完結性がここで活きてきます。
ギミック同士の比較では、極端に上級モンスターを軸にしたデッキでもない限り、ヴェルズが有利に戦えるデッキは理論上ほとんど存在しません。
ゼンマイ・マーメイル・炎星等々、各デッキは「状況さえ整えば」オピオンをものともしないアクションが取れます。
相手の態勢が整い切る前に突き崩す、ビートダウンとしては非常にわかりやすい戦い方をするのがこのヴェルズです。


その都合、最序盤からベストな動きを実現できるよう同カードを重ねて採用し、動きに一貫性を持たせることを第一としています。
丸さがそのまま安定的なスタートに繋がるため、構築面は非常に素直な構造です。
初動であるオピオンにスムーズに結び付くようスタートモンスターの採択はヴェルズ1本に徹底しており、魔法罠の採択も方針に沿った前のめりの選択がなされています。
強制脱出装置はヴェルズの取る戦略の表れとも言える1枚で、性質上は単なるバウンス、マイナスアドバンテージとなるカードですが、早い段階でプレッシャーを突きつけることで無理やりなエクシーズを迫ったり、壁モンスターをバウンスして残りライフを削り切るなど、実に合理的な選択だと言えます。


また、高速ビートダウンと言えば凌ぎ切られてしまった状況において先詰まりを見せてしまうような印象を受けるかもしれませんが、新戦力であるヴェルズケルキオンが返し手としても非常に有用で、攻守両面に渡っての活躍を見せます。
ワントップのカウンター、計画的な多段攻め等、速度のあるビートダウンデッキにはなかなか難しい、粘り強い戦い方を取ることも可能になっています。

メインデッキ



「モンスター」
オピオンの成立がその後のゲーム展開に大きく関与するため、円滑なスタートを切れるようにヴェルズモンスターを採用しています。
相手の動き次第では初動でヴェルズバハムートのプレイが求められることもあり、またサイクロンや汎発感染のバックアップがあるとは言え無効系のスペルの回避は難しいため、手札には少し多めにヴェルズをキープできることが望ましいです。
理想形は
サンダーバードorマンドラゴ
カストル(増援)
+ケルキオン
の組み合わせで、この組み合わせであればかなり高い確率でオピオンを場に成立させられます。
マンドラゴを特殊召喚するか、既に場にサンダーバードがいる状態でカストルを召喚し、追加の召喚権を確保した状態でオピオンをエクシーズ召喚します。
無効系のスペルや除去の重ね掛けを行われても、続く手札のケルキオンで同ターン中に追撃をかけれます。
ターンは跨ぎますが、レスキューラビットでも同様の効果が得られ、こちらはラグがある代わりにより少ないアクションで無効スペルの有無を確かめられる点が優秀です。
相手の手札状況次第ではサンダーバードに対してでも無効スペルが発動される可能性があるので、伏せが敷かれているうちは強引な攻めは控え、攻勢に移るタイミングを見計らいながら段階的に攻撃の準備を整えていくことが重要です。


ダーク・アームド・ドラゴン
ヴェルズにおける詰みパターンを回避するのに有用です。
オピオンに対して無効スペルを合わされてしまうと、アドバンテージ面・テンポ面で壊滅的な被害を被ります。
現在の環境には海皇の狙撃兵・暗炎星−ユウシ等ダメージを展開のトリガーとするモンスターが多く存在しており、1ターンでも場を空けておくことがゲームの行方を左右しかねません。
初動のオピオンが処理された場合、そのまま墓地に闇が3枚貯まるため、ダムドのプレイには特に工夫が要りません。そのまま召喚できます。
ゲームが長引き後半戦にもつれ込んでも、ケルキオンやダイガスタエメラルを用いて墓地の整理が可能です。
オピオンのプレイに力を注いだ構築であるため、それはそのまま闇の貯まりやすさに繋がり、プレイできないと言ったこともほとんどありません。
サイド後は群雄割拠や王宮のお触れと言った面倒な永続カードを処理してくれるだけでなく、汎発感染を恐れて通常の除去カードを外してくるケースも多いため、召喚が通りやすいのもポイントです。
メインデッキでは強制脱出装置、サイドデッキからは禁じられた聖槍とプレイを通すのに相性の良いカードも多く、非常にヴェルズに適したモンスターです。


《レスキュー・ラビット》
デッキ内最強のヴェルズです。
単一で2体のモンスターを取り揃えるため、あらゆる妨害に合おうとも損失を1:1に抑えられます。
それゆえ相手側の防御に対しても積極的なトライして構わないのですが、デッキ単位では基本的には影響を受けないはずのGヴェーラーの対象となるため、その点に関してのみ注意が必要です。
先行初手で他にオピオンにアクセスできるルート(カストル)があるならば、確実性のあるそちらに託す方が無難です。
一方で、しっかりとした防御を構えられたり、強制脱出装置が手元にあれば、先行のプレイは安定します。
ヴェーラーされたラビット+脱出装置の1伏せは非常に安定したアクションで、伏せ除去をプレイされればラビットを手札に戻し、モンスターによる仕掛けであればそれをバウンスすることで続くターン召喚権を温存した状態でラビットからの仕掛けに入れます。
場に残ったラビットは是が非でも処理したいカードであるため、1伏せであっても大嵐を誘い易いのがポイントで、交換比率も1:1、ヴェーラーと合わせ、相手側が一方的に消費を被った格好となります。
裏目はナイトショットですが、採用率が低く、戦闘破壊されてしまった場合でもヴェーラーと合わせて2:2交換に収まりますので、割り切るのが賢明です。
※神の宣告を持っていたり、他にモンスターがいなかったりする場合は全力で守りに行くプランもあり得ます。


《ヴェルズ・ヘリオロープ》
このカードの存在ゆえ、レスキューラビットを使っていけるのはヴェルズの利点の一つです。
バニラモンスターではありますが、基礎戦闘力が高く、他の下級モンスターであれば一部を除き軒並み戦闘破壊が可能で、ビートダウンモンスターとしては素引きも許容範囲の数値を持っています。
稀にレスキューラビットを使用する前段階の時点で2枚以上を引きこんでしまう事がありますが、侵略の侵喰感染でデッキ内に戻すことで効果を使用可能な状態に回復できます。
既に墓地に置かれている状態でも、ケルキオンで拾い上げればデッキ内のバニラ回復が図れ、運が良ければ2回目以降のラビット起動を狙えます。


《ヴェルズ・マンドラゴ》
初動オピオンにアクセスするルートは主に4つあり、ラビット・カストルサンダーバード、そしてこのマンドラゴが該当します。
マンドラゴを採用する理由は当然いち早いエクシーズに結び付けるためで、焦点は「それを達成するのにどのくらいの枚数が適切か」という事になりますが、今回はこれを3と設定することにしました。
この枠には元々2枚目の強欲で謙虚な壺が採用されていたのですが、この謙虚では初動の確保ないし除去をケアしてモンスターを回収することが圧倒的に多く、特殊召喚不可の制約をワンクッション挟むことに対して無駄を感じていました。
結果、ヴェルズモンスターそのものを直接積み増すことでタイムラグを埋めつつ、初動の安定化を図る方針を取ることに決めました。
この増加には3枚積まれたエフェクトヴェーラーも関係しており、ゼンマイの繰り出すゼンマイティにヴェーラーをプレイした返し、モンスターに除去を当てられてしまうと途端に敗色濃厚となるのですが、召喚権を浮かしつつ1550の数値を持つマンドラゴはこの場面で非常に有用です。
その他のデッキに対してはマンドラゴ+ヴェーラーのシンクロパターンがあり、ヴェーラーがあまり有効とされない相手でも戦力に変換することが可能になっている事から、これらの枚数は密接な関係があります。


《ヴェルズ・カストル》、《増援》
高速ビートダウンを成す上で非常に重要な役割を持つ1枚です。
召喚権の増加はそれだけライフを奪う速度の増加に繋がりますし、早期決着を望むヴェルズの狙いに合致しています。
Gヴェーラーの裏目があるラビットと比べより確実性の高いオピオンのプレイが可能で、これとラビットを合わせ初期手札の時点でもオピオンをプレイできる確率は6割近くあります。


《ヴェルズ・サンダーバード
地味ですが、デッキ内では重要な位置付けにあるモンスターです。
単純な除去を受け付けないことから無効系のスペルを誘いやすいのもポイントで、後続のエクシーズに対するリスクを低下させられます。
実質1950と決して低くない打点を持ち放置も難しいことから、確実に相手の攻め手ないし無効スペルをを誘い出せます。
攻め手が強力なものであればバハムートで奪い取り、最低限の消費と見れればオピオンによる戦闘破壊で更にプレッシャーをかけます。
退避能力により返しの起点となるエクシーズ素材にそのまま変換することができます。


《ヴェルズ・ケルキオン》
攻守両面で輝くヴェルズのエースモンスターです。
侵喰感染の主なサーチ対象となり、オピオンの2度目の効果で汎発感染を確保しながら墓地にヴェルズモンスターを確保する動きが単純ながらも強力なアクションとなります。
ケルキオンとカストルの追加召還効果は別々に取り扱われますから、侵食感染を組み合わせながら手札のモンスターを整理していくことで2体エクシーズから3体エクシーズまでを計画的に行えます。





「補助」
ビートダウンデッキは「相手を倒し切る戦闘要素」および「相手側の脅威を捌く(防御)除去カード」の2本柱で成立します。
そのあたりに関係しない補助的なアイテムの採用は最小限に収まる作りとなることが多く、それは手札の偏りが発生し、補助系のカードが集中すると盤面の維持や攻めが困難となってしまうためです。
今回の構築もその例に漏れず、採用した補助カードは以下9枚に絞っています。
強欲で謙虚な壺は他カードに変換が可能なため、実質的な枚数は8枚です。


《死者蘇生》
《大嵐》
基本的な魔法で、別段変わった使い方もなく、強く使える時に強く使うのがセオリーです。
特筆するとすれば、オピオンで侵喰感染をサーチした後大嵐をセットするプレイが有効です。
文字に起こせば大したことはありませんが、侵喰感染を見ている以上大嵐やサイクロンは発動し辛く、大嵐をセットする上でのリスクを軽減できます。
侵喰感染を張っていく手前手札の大嵐は打ち所を無くしかねませんから、2枚を効率よく消化するのにも悪くないプレイです。実際に伏せ除去をプレイされたとしても1:1交換の範囲で、かつオピオンから汎発感染をサーチできるため本当に致命的な魔法罠は限定されてきます。
伏せ除去を消費したことでこの後セットする侵喰感染のプレイも成立しやすく、どちらの道に進んでも悪くない結果が得易いです。
またこうして書き記すことで以後このプレイが推測されることはあるかもしれませんが、実際に大嵐がセットされている確率は高くて15%程度しかないため、前提として考える相手側の方に無理が出るため、こちらから気に留めることは特にありません。


《サイクロン》
ゼンマイとの対戦のうち、大嵐マジシャンシャーク以外の負け筋は全てゼンマイマニュファクチャのアドバンテージ差によるものでした。
マニュファクチャに回られてしまったゲームはかなり高い確率で落としてしまったこと、逆に破壊できたゲームはかなり高い確率で勝利できたことを重視した結果が3枚の採用です。
また現状の環境にはサイクロンが有用とされないデッキはほとんど存在せず、仮に存在した場合でもヴェルズはそれらに対して有利に立ち回りやすい(ライトロード・カオスドラゴン)事を考慮して3枚に決めました。


《強欲で謙虚な壺》
モンスター・魔法罠を比重よく手札に揃えたいため、カードを探し出すという役割面ではデッキにマッチしたカードですが、最序盤からエクシーズ召喚を意識していくデッキの狙い上、特殊召喚不可のラグが足を引っ張ってしまいがちです。
多少のテンポロスを考慮しても1枚までならなんとか処理が可能ですが、2枚ともなるとデッキ的な動きはかえって弱くなってしまいますから、搭載する枚数は1枚に抑えてあります。
元々搭載されていた2枚目はヴェルズマンドラゴと差し替えられました。詳細は上記の通りです。


《侵略の汎発感染》
サイクロンの増加に合わせて数を抑えました。
強み・勝ち筋でもありますが、重ねて引くことは負け筋ともなるため合わせて5枚ぐらいのバランスがちょうど良いかと思います。
サイド後は相手もこれを想定して除去の枚数を調整してくることが多く、合わせ打って数を減らすことが多かったも理由として挙げられます。
禁じられた聖槍とも役割が重複するため、除去回避に構築の枠を取られ過ぎてしまいます。


《侵略の侵喰感染》
ヴェルズの安定感を象徴しているカードで、1度のオピオン成立が後続の展開力を保証します。
パワーカードであるケルキオンを連発できる訳ですから単純に使っていても十分に強力ですが、起動にチェーンして破壊されてしまうと損失が大きいため、最初の起動には工夫が必要です。
1.エスケープ
あらかじめセットしておき、除去カード・戦闘にて破壊されそうになったヴェルズモンスターをコストとして引っ込めます。
侵喰感染を破壊できるカードがあればプレイされるでしょうが、元々破壊されるはずだったモンスターをコストとして確認を行っているため、損失は最小限に済んでいます。
2.ブラフ
サイクロンを発動し、チェーンして侵喰感染を発動されると役割を果たされてしまうため、相手の目に見える格好で侵喰感染を回収した後のセットカードには除去がプレイされ辛いです
結果、本命の罠が通しやすくなります。
盤面の組み立て方としては、オピオン+本命罠1枚⇒相手の攻めを罠でいなす⇒汎発感染を盾に追加の攻め手を展開⇒返しの相手ターンで倒されそうになったら引込める(上記1のエスケープと連携)となり、結果的に損失を抑え込みながら成立の判定を確かめられます。
3.複数セット
1のエスケープと2のブラフを併用したパターンで、本命の罠と2枚1組で伏せ、サイクロンを打ちづらい状況を作りつつ、オピオンをサポートします。
大嵐をプレイされた場合でも、侵喰感染自体はオピオンの効果にて無償で手に入ったものですからダメージはそれほど大きくなく、チェーンして侵喰感染を発動すれば返し手の保険を獲得できます。
前のめりののサイクロンプレイは侵喰感染という大ハズレが内包されているため、相手側が一方的にリスクを背負う格好です。



「防御」
基本的なカードばかりですが、前面に妨害要素を持たないビートダウンならではの採択がいくつか施されています。
展開するモンスターは相手の行動に影響を及ぼすことが無いものばかりです。オピオンそのものが有効な相手はせいぜいHEROビート・魔導・聖刻・カオス忍者等々、シェアが狭いものばかりです。
ゆえに、使用する防御カードは信頼性が高く受けの広いものが中心に選ばれています。


《エフェクト・ヴェーラー》
炎星の台頭を意識して徐々に数を増やした格好です。
直前までG1枚ヴェーラー2枚の構成でしたが、
1.マンドラゴとのシンクロ
2.炎星の流行
3.メインにトラゴーズの無い作りが知れているためGではゼンマイに突っ張られやすい
4.ミラーマッチにおいて、Gでは役割は皆無、ヴェーラーであれば有用性あり
の4点を考慮して全てヴェーラーに差し替えました。
エフェクトヴェーラーは擬似的に神の宣告のような役割を果たします。
少し分かりづらいかもしれませんが、つまりは防御の構え方の問題です。
神の宣告があれば大嵐をケアして何枚ものセットカードを場に置いておき、あらゆる事態を想定できる事は皆さんご存知の通りであるかと思われますが、逆に神の宣告が無ければ大嵐が懸念され、なかなかこの行動に踏み切れません。
実際あまり賢くない選択だと思います。初手のガバ伏せに対する大嵐の発動率は瞬間的な数字では15%でしかありませんが、同大会中同じスタンスを取り続ければその確率は徐々に増していき、いずれどこかで負けに直結します。
かといって単一の伏せで構えれば、サイクロンやナイトショットのような伏せ除去発動で戦線が瓦解してしまい、悪い結果に結び付くことに変わりがありません。
この解決に結び付くのがエフェクトヴェーラーです。
伏せ除去の影響を受けない間接的な除去を手札に構えることで、結果的に伏せ除去に屈しない防御体勢を築くことが可能になります。
神の宣告によって他の伏せカードをカバーして多段の防御を構えるのと同様、エフェクトヴェーラーも場と手札において多段の防御を構え、盤面の安定化を図ることが可能です。
ヴェルズの場合前面の前提となるモンスターはオピオンですから、モンスター効果に縛りをかけた上でこれが突破されるケースは非常に稀で、信頼の置ける防御であると言えます。


《神の宣告》
《神の警告》
《奈落の落とし穴》
一般的な除去です。罠デッキゆえ神の宣告のみ重みが変わってきますが、他2種の除去に然り、単純な除去としての運用で十分です。


《激流葬》
ビートダウンデッキに搭載される激流葬には少々違和感を感じるかもしれませんが、汎発感染と組み合わせることで相手側に対する一方的な全体除去に変化します。
基本的な運用はこの方向に絞られ、2枚1セットです。激流葬を手に持つ場面ではオピオンのサーチ対象として積極的に汎発感染を選択します。
必然的に両者は合わせてセットされることになるのですが、この布陣は安定感があり、リターンも大きめです。
障害となるモンスターがプレイされればノーマルに激流葬⇒汎発感染と発動して行けば良く、相手が安全確認のためにサイクロンを発動した場合、ハズレの汎発感染を射抜いてしまうと、汎発感染の解決後にモンスターを召還する事となるため、結果的に激流葬を一方的に受けてしまいます。
かといって攻めに出なければフィールドのオピオンは再び効果を適用して次なる汎発感染を手にしますし、攻めに出る場面の2伏せに対して大嵐をプレイしなかったことで手札にそれを持っていないことが発覚し、より一層厚い防御を敷かれる事態が想定されます。
単体のカードパワーも高く、デッキ的なシナジー・状況把握と有用性に秀でた除去です。


《月の書》
《強制脱出装置》
強制脱出装置と比較を行い、1枚を入れ替える形で月の書を1枚メインに搭載することを決めました。理由は7つあります。
1.ゼンマイのマジシャンシャークコンボの際、強制脱出装置ではセカンドチャンスが生じるため事態が解決しない恐れがある。マニュファクチャ擁立下の場合次ターンもう1度同じ仕掛けが行われる。
2.マーメイルのメガロアビスの行方に関係。手札に戻るとサルベージから2陣の恐れあり。コストが龍騎隊の場合そのままもう1度プレイされる可能性もある。
3.マーメイルのウンディーネ狙撃に関係。血の代償がセットされていた場合月の書なら生き残りの可能性あり。
4.マーメイルの重装兵に関係。オピオンが対象に取られた場合裏守備にする事で、追撃のメガロアビスやアビスフィアーが無ければ生存の見込み。守備力が1650あるためアビスパイクに負けず、ダメージのタイミングでは表に戻るためトラゴエディアもプレイされない。
5.魔導のシスティorブレイカー+ヒュグロのコンボに耐性。脱出装置ではトーラ罠宣言で抜けられてしまうため速効魔法の必要あり。
6.炎星相手に、脱出装置では一時凌ぎにしかならない
7.暗黒界のグラファ処理に関係。手札に戻すとディスカード効果からオピオンが破壊される可能性がある。戦闘破壊して墓地ならオピオンで蓋ができる。
ヴェルズを使ってからの対戦は10マッチ程度しか経験していないので抜け目も恐らくある事かと思いますが、それだけの対戦数でこれだけの利点が生じたのであれば、散らしの理由としては十分と判断できます。


エクストラデッキ

エクストラデッキには汎用性の高いランク4モンスターを用意しており、中でも汎発感染の対象となるヴェルズモンスターを多めに取り揃えています。
能動的なビートダウン行為に向いたモンスターはオピオンしか存在しないため、この部分は3枚の枠を割いています。
調整の段階では8枚しかエクシーズモンスターをプレイしませんでしたが、その8枚の中にオピオンの3枚目は含まれています。


《A・O・J カタストル》
マンドラゴとヴェーラーが3枚ずつの投入であったため、1度くらいはプレイの機会があるかもしれないと残しましたが、結局デッキを組んでから今に至るまで1度もプレイしたことがありません。
最近では聖なるあかりがヴェルズメタとして急増しているため、この枠はスカーウォリアーに変更するのが良いかと思います。


《ヴェルズ・ナイトメア》
プレイするとほぼ確実に損をします。
計3500以上の打点を950という非常に小さな枠に収めてしまうため、キルスピードも低下しますし、ほとんどの場合は攻撃態勢も維持できるジャイアントハンドの方が勝ります。
利点はヴェルズモンスターであることで、オピオン・ケルキオンの流れが決まった際、汎発感染のバックアップを失いたくない盤面で安全にプレイが可能ですが、頻度としては非常に低いです。


《ヴェルズ・バハムート》
ヴェルズ最強の返し手です。
ミラーマッチではこの存在ゆえ安易なオピオンのプレイが許されません。生半可な防御ではこの奪取から一瞬で盤面を支配されてしまいます。
またオピオンの突破には戦闘力の高いモンスターがプレイされることが多く(パール、マエストロークetc)、オピオンから獲得した侵喰感染でケルキオンを獲得しておき、返しの盤面にてこれらの脅威を奪い去る戦い方が非常に強力です。
相手側はバハムート・奪われたモンスターの両者に対する回答が求められますから、この状況を打開するのはそう容易いことではありません。
本戦では4度プレイし、全試合勝利に直結しました。


《ヴェルズ・ウロボロス
こちらもナイトメア同様、汎発感染絡みのヴェルズ縛りでアクションを起こす際にプレイされます。
ただし、死者蘇生でも絡まない限りはヴェルズ3体でプレイされることがほとんどで、その場合はヴェルズバハムートがプレイ可能となりますから、バウンスにより相手の脅威を排除するという事は基本的になく、考えられるケースとしては、相手の墓地ないし手札に確実に取り除きたい脅威があり、かつヴェルズでなければならない(可能であればショックルーラーの方が好ましいことが多いため)といった状況となり、より一層限定的です。


《ジェムナイト・パール》
《交響魔人マエストローク》
《ガガガガンマン》
《恐牙狼ダイヤウルフ》
汎用ランク4エクシーズ群です。各々必要性に応じてプレイします。
ヴェルズ固有の利用方法などは特にありませんが、ガンマンはオピオン+ケルキオン+カストル+ヴェルズモンスターによる2ターンキルに用いられます。


《ダイガスタ・エメラル》
長期戦の際、肥え切った墓地からダークアームドドラゴンをプレイすること、ビートダウンミラーにおいてジェムナイトパールを蘇生することの2つの仕事を持ちます。
しかしながら両者共に稀なケースで、ジャイアントハンドの登場でエクストラデッキが圧迫されつつあるため、今後の投入はあまり考えていません。


《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》
防御カードの存在しない状態で水精鱗・ゼンマイを相手にするのに用います。
2本目以降スノーマンイーターライコウと言った汎用サイド群もまとめてケアするため、プレイ機会は多く、抑え込みにも大変重宝します。
本戦では謙虚で回収された大嵐に対し、魔法宣言を連呼してそのまま押し切る事もありました。
他のデッキのように、アドバンテージを獲得し切った延長線上でプレイされる訳ではないため、3体消費のプレイは非常にリスキーですが、見合った価値を発揮するカードであり、モンスターに溢れたハンドでは明確な勝利プランの一つとなります。


《No.50 ブラック・コーン号》
破壊耐性を持つモンスターで詰んでしまわないよう保険的な意味合いでの投入です。
主な破壊対象はゼンマイン・マエストローク・魂を削る死霊など。
マーメイル相手には2体展開が決まった場合2体を配したままターンを終え、コーン号の脅威を突きつけてアビスフィアーの発動を抑止するプレイもあります。
※主に同ターン中何からしらの罠をセットしたい場面で使用、後攻1ターン目宣告絡みのガバ伏せ時など。カストルサンダーバードの展開時など特に有用。


《No.106 ジャイアント・ハンド》
主にヴェルズミラー・セイクリッド相手にプレイすることとなり、ケルキオン・ソンブレスのケアに用います。
闇以外の脅威という点を利用し、除去を誘ってダムドをプレイする墓地の調整にも用います。


サイドデッキ

メインのエフェクトヴェーラーに加え、ゴーズ・増殖するGの手札誘発をふんだんに採用し、罠デッキ同士の対決においても手札から使用していける禁じられた聖槍の他、後出しの利く強制脱出装置を3枚用意しています。
ヴェルズには以下の特性があります。
1.大型を場に立てやすい
 ラビット・カストルによる速効性から汎発感染によるバックアップ
2.返し手が強力
 ケルキオンから豊富な4エクシーズ、ケルキオン自体もサーチ可能
前者はGヴェーラーを運用してい行く上で必要となる「場に残った脅威の排除」を解消し、後者は罠デッキにありがちな「1度前面を崩されてしまうと持ち直しが利かない問題」を解消します。
以上の事から大嵐を諦める必要性が無くなり、手札誘発と組み合わせることで多段の防御体勢を成す、安定的なプランを構築できるようになりました。
無論状況次第では危険なガバ伏せも必要となりますが、頻度としてはそれほど高いものではありません。(エフェクトヴェーラー項にて前述)


冥府の使者ゴーズ
対ゼンマイにおける1ターンキルケア、ビートダウンミラーで投入します。
対ゼンマイ戦ではヴェルズが場にモンスターを配せないことはほぼないため、1ターンキルを狙う場合はヴォルカザウルスがプレイされることがほとんどです。
そのためゴーズをプレイできれば不要なダメージの一切をカットできる他、それまでに一定量ビートダウンができていれば反射のバーンダメージで焼き殺すことも可能で、少し足りない程度でも返しのターンにゼンマイティあたりを攻撃すれば十分量のダメージが見込めます。
ビートダウンのミラーマッチでは一通りのデッキに対して投入します。
ヴェルズのゴーズは警戒されづらく、ヴェルズミラーに関しても、オピオンが攻撃反応系の除去をケアして2回目の効果を使うことも珍しくないため、サイクロンや大災害で伏せを片付けながらこれをプレイするプランがあります。
現在ではリストが出回ったため警戒される場面も出てきましたが、投入時点では非常によく機能しました。
ゴーズが出てしまえば戦闘面で圧倒優位となるため、相手の手札に加わった汎発感染はほとんど意味をなさなくなります。


《増殖するG》
現状のゼンマイは群雄割拠や御前試合といった致命的な永続による詰みを回避すべく、砂塵の大竜巻をサイドデッキに取るのが一般的です。
ヴェルズの構成上自然に御前試合が投入可能なため、当然これを意識して、相手側からもサイドデッキの砂塵の大竜巻が投入されてきます。
これでは完全に相手側の思惑通りで、メタに合わせ打っていては有った無かったの勝負となりかねません。
こうした状況の打開には2つの方法があり、1つは相手の用意する対応策よりも多くの枚数を被せる方法で、もう1つは相手の対応策とは角度の異なるメタを合わせて勝負する方法になります。
今回の場合は「永続罠を通せるか」、という部分の話になりますが、こちらの最大3枚の御前試合に対し相手は大嵐1枚サイクロン3枚砂塵の大竜巻1〜3枚の計5〜7枚を備えており、この枚数に打ち勝つのは非常に困難です。
また相手側のメタが魔法罠除去と言った汎用的なものであるのに対し、こちらの用意は2枚目以降が無駄になりやすい永続カードで、圧倒的にリスクが高く、張り合うのは割に合いません。
よってもう一つのプランである「角度の異なるメタ」に焦点を当て、増殖するGをフル採用しています。
メインのヴェーラーと合わせ、手札誘発特化のプランです。
相手目線で見ると、前述した永続罠カードを警戒するがゆえに複数枚のセットに対して事前に除去をプレイするのは躊躇われがちであるため、永続の採用を断ち切ることで各種除去が有効に働きやすくなっています。
仮に伏せ除去をプレイされたとしても、手札の本命(手札誘発)に触れる訳ではないため、どちらに転んだにせよ有効に働き、こちらの都合が悪くなることはありません。


《次元の裂け目》
《ソウルドレイン》
対マーメイル・暗黒界用のメタです。
僕はこの手の盤面に干渉しない永続カードを個人的に嫌っており、採用をギリギリまで見送っていたのですが、この点に関して相談した人物2人から強く採用を勧められ、実際僕自身もこれに代わる回答を用意できなかったための相談でしたから、改めて採用を決めました。
結果としては、完封できたゲームが1つと、搭載した4枚全てを引き切ってもたついている間に引き分けたゲーム1本のイーブンイーブン。
両極端ですが、確実な正解とは言い難いように思えます。
昨年末のジャンプフェスタにてリリースされたアーマーカッパーの存在により、ディーヴァは妨害が必須のモンスターとなってしまいましたから、安全に手札誘発をプレイできるよう次元の割合を減らす必要性が生じてきています。


《禁じられた聖槍》
同系および炎星を筆頭とするビートダウン同系に対するメタです。
ミラーマッチの先行オピオンは非常に強力なアクションですが、汎発感染及びこの聖槍をバックアップとして用いたヴェルズバハムートが窮地をチャンスへ転換します。
他、炎星の繰り出すコンバット系のカードに対して非常に有効で、どれだけの数値を持っていてもこの聖槍1枚で十分突破可能になります。
ビートダウン同系でのダメージコンバットとしての優秀さはもちろんの事、暗黒界のグラファをオピオンで戦闘破壊、魔導のヒュグロ・ゲーテをケア等、細かな用途もいくつか持ち合わせており、非常に優秀なサイドカードです。


《強制脱出装置》
必要とされる相手の追加用として。
先伏せ・後伏せ双方に利点があり、エクシーズモンスターに対する除去としてはやはり最高峰の性能だと思います。
僕が最近作るデッキにはメインとサイドを合わせてこれの複数投入が標準化してきています。
ヴェルズは高速のビートダウンデッキであるため、この脱出装置で場をこじ開け、アドバンテージ面での損失を被りながらもライフを奪いきるといったプランも十分現実的です。
早い段階で突きつけたプレッシャーに対し、相手が無理のあるエクシーズに向かいやすいのもポイントです。
デッキ的な相性は非常に良いためメイン3枚の構築が主流となっていますが、先の月の書の項で述べた理由から、1枚をサイドに落としています。


《邪神の大災害》
プライドの咆哮のようなビートダウンメタが増え始め、汎発感染の上からでも伏せが厚みを持つようになりました。
プライドの咆哮は計算時限定の発動であるのに加え罠カードですから、必ず場に置かれます。
災害のトリガーとなる攻撃宣言の条件まで相手側で整えてくれるので綺麗に一掃できます。
チェーン聖槍もダメージステップ前の段階なら汎発感染で弾けます。
※自分からのアタックは保険のモンスターを展開して攻撃するだけで良いので、問題とされる場面ではケアを利かせながら動く前提です。
相変わらずほとんど警戒されることが無い1枚なので、後攻スタートでも一撃でゲームを決定付けられます。


《魔のデッキ破壊ウイルス》
特定のデッキ相手に非常に高い効力の望める1枚ですが、イマイチ信頼性に欠けるため打てればラッキー程度の感覚で1枚だけ採用しています。
と言うのも、ビートダウンデッキで2000以上の打点を単純に消費してしまうのはあまりに惜しいためです。
主な対象となるゼンマイにも最近は炎舞天キの搭載が標準化されつつありますし、マニュファクチャの存在も考えると裏目が多くあります。
マーメイルにもサルベージの裏目があり、これは逆にゲームを決定づけられる要因にもなりえます。
コストの関係上発動機会も1回限りだと思いますから、個人的には1ないし0の採用枚数で納得しています。


《侵略の侵喰崩壊》
ゼンマイ戦における詰みへの一手です。
相手が有効に発動できるデッキと確定していれば良い働きをします。
基本的には損をするカードなので、闇雲なサイドインはお勧めしません。
バウンスが有効となる相手、つまり複数のエクシーズを攻めの基軸に置く相手であることが前提条件です。
相手側のデッキに魔法罠除去がまるでなく、汎発感染が有効に使用できないと考えられる場面で入れ替えるのも良いです。
フリーチェーンゆえに最低限の働きはします。


採用しなかったカード

以下、今回の構築で採用を見送ったカード群です。


《ヴェルズ・アザトホース》
主にミラーマッチにおけるオピオン除去要員として採用される傾向にありますが、先にオピオン擁立に成功されてしまうと、そこから獲得される侵喰感染により2体目のオピオンがすぐにフィールドに現れてしまいます。
裏守備を初動とすることで2度目のオピオンサーチ効果の発動も可能となり、手元には追加で汎発感染も入りますから、ここを捌くのは非常に困難です。
侵喰感染を破壊する、ないし無効スペルを決める、そのどちらかを追加で合わせなければアザトホースは無駄となってしまいかねません。
結果、ミラーマッチの後手側の回答はヴェルズモンスターを多めに採用する事によるバハムートの逆襲に特化し、聖槍や災害を採用してこの動きを全力でサポートする方針に決めました。
プランの強みとして、戦闘を介さないことで相手側のダメージコンバット系のカードのあらかたを避け、かつ成功すれば大型を2体取り揃えることができるので、相手の解決策も2つが必要になってきます。


《闇の誘惑》
オピオンを起点に動くデッキの都合、動き出すのに2枚のモンスターが必要不可欠です。
また、そのオピオンからサーチする侵喰感染にてケルキオンを獲得する動きのために、3体目のモンスターが必要になります。
よって、ヴェルズ3枚までの手札は一般的に「良い手札」です。誘惑は発動する必要がありませんし、かえって愚策です。
結果誘惑の交換により利がもたらされるのは4枚目以降のモンスターを持つ状況という事になり、そこに誘惑自身をカウントして手札を想定した場合、「モンスター4枚以上+闇の誘惑」という手札が必要になります。
確かにこうした状況での闇の誘惑はこれ以上なく頼りになる1枚ですが、成立までがあまりに限定的で、このような場面は滅多に訪れません。
他、オピオンの召喚になかなか辿り着かない3枚以下のヴェルズモンスターが重複している場面でも有用な発動が認められますが、その3枚の中にマンドラゴ・カストル・増援が1枚も絡んでいないというのもまたレアケースです。
不要と判断するには十分な理由が揃っています。


《禁じられた聖衣》
水精鱗相手には非常に有用性のあるカードです。
相手側がオピオンを突破するためのメインプランである重装兵をどの角度からでも弾くことができますし、サブプランのエクシーズによる突破(バハムートシャーク・アシッドゴーレム・ゼンマイン)の全てに対応可能と文句無しの働きを見せます。
ですが、これはあくまで水精鱗相手に限った話で、かつオピオンの擁立に成功し、かつ相手に伏せ破壊の手段が無い、等々折り重なる条件の上でようやく成立するケースです。
投入を控えたのは汎用性の面で融通が利きづらいと感じたためです。
激流葬や奈落の落とし穴のようなカードの回避にも用いることができますが、そうした除去をケアするカードとしては汎発感染と役割が重複しており、サイクロンや大嵐と言ったカードと合わせて考えると少々やり過ぎです。
ダメージステップの発動カードとしても聖槍に劣る600と言う数値は信頼性が低く、総じてうまく使える盤面が限定され過ぎています。
魔法罠以外の除去が豊富な水精鱗・暗黒界相手のサイドカードとして考案したこともありましたが、採用が確定していた聖槍と役割が被っていたのも問題でした。
使えず終いに終わるリスクを内包した汎用性の低さに目を瞑るよりは、オピオンは「除去から守る」のではなく「ケルキオンを用いてもう1度出す」ことに目を向けた方が効率的です。


《マクロコスモス》
次元の裂け目の欠点である「破壊できる体制が整うまではカードを温存される」をある程度克服できますが、水精鱗はカードを墓地に送る行為をコストとしているため、結局前立って表向きにしておく必要があります。
暗黒界相手には有効にプレイできますが、水精鱗相手にはあまり意味をなしません。
アーマーカッパーの登場した現在ではエクシーズ素材を除外できることに利点を見出せますが、次に気になるのは自身に対する影響度です。
ヴェルズがここまでトーナメントに台頭するレベルのデッキに昇華されたのはひとえにヴェルズケルキオンの力で、前述したようにケルキオンはヴェルズのあらゆる要所を担います。
マクロコスモスの利点は上記に挙げた通りエクシーズ素材をもまとめて取り除く点にありますが、強みであるはずの除外行為はケルキオンを考慮するとそのまま自分への跳ね返りともなります。
水精鱗のサイドデッキにはスノーマンイーターやライトロードハンターライコウの採用率がそれなりにあり、マクロコスモスの性質上自らそれを表向け、除外の体勢を明示的にした上で相手にそれらをセットされる格好となり、非常に博打的な採択となります。


《御前試合》
上記の増殖するGの項で記した通り、展開重視のデッキに対する永続のプランを取り下げたためです。
これらのメタカードや侵略の侵喰感染等考慮すれば、ヴェルズに対して積極的にサイクロン等の魔法罠破壊カードをプレイする道理はありません。
よってこれらの永続に対し、温存されたそれらは的確に発動されてしまい、考えていたような防御態勢は成立しないことがほとんどです。
次元の裂け目やソウルドレインはこれに勝るものが無かったために採用と言う格好になりましたが、対ゼンマイを意識する上ではビートダウンデッキであること+Gヴェーラーの優秀なプランがありますので、敢えてリスクのある方向を選ぶ必要は無いと考えています。


《プライドの咆哮》
ダメージコンバット系のカードは文字通り戦闘にしか関係しないため、積み過ぎると事故に繋がりやすく、伏せておかなければ機能しないため大嵐に弱くなる問題が伴います。
10回戦を戦い抜く上で大嵐に負ける構造にはしたくないと常々考えていたので、その方針に従事しました。
コンバット系のカードは既に禁じられた聖槍の3枚が用意されており、この枚数で十分だと判断したことも挙げられます。
ちなみに大嵐を無視してゲームを進めたのは25本ほどプレイして1本だけです。


《ヴェルズ・バハムート》2枚目
1枚目のバハムートを除去された、という事は2枚のヴェルズモンスターないし1枚のレスキューラビットを消費しています。
この状態で2枚目のバハムートをプレイするためには、レスキューラビットorケルキオンorヴェルズモンスター2体と、コストとして使用するヴェルズモンスターがさらに1体必要です。
ほとんど一人回ししかしていないのですが、そのような手札状況になったことがまずなかったので、理論上は必要でも実際に可能とされる場面はほとんどないと踏み、採用を見送りました。


今後の改善点

TCS前後よりヴェルズは急速に広がりを見せ、トーナメントシーンに台頭し始めました。
現在では意識レベルも高まり、聖なるあかりやプライドの咆哮を筆頭とした対抗策が増えてきています。
また、冒頭で記したVE8が登場した事により相性で分の悪い炎星が徐々にシェアを広げつつあるのも懸念事項の一つです。
今回解説を行った構築では現在のトーナメントを戦うのは難しいでしょう。
最後に、使用から今回の執筆に至るまでの間の変遷を考慮したタイプの構築を紹介し、締めとさせていただきます。

上記リストより変更点


エクストラデッキ変更前
A・O・J カタストル
ダイガスタ・エメラル
↓
変更後
イビリチュア・メロウガイスト
スカー・ウォリアー


サイドデッキ変更前
ソウルドレイン
次元の裂け目×3枚
邪神の大災害
侵略の侵喰崩壊
魔のデッキ破壊ウイルス
↓
変更後
スカル・マイスター×3枚
デモンズ・チェーン×2枚
ブラック・ホール
ブレイクスルー・スキル


《スカー・ウォリアー》
AOJカタストルからの変更です。
単体のスペックとしてはカタストルに勝るレベル5シンクロは存在せず、何かしらの理由が無ければこの処置はなされませんが、行われたという事は当然意味があり、今回の場合は聖なるあかりの存在がここに挙げられます。
聖なるあかりはヴェルズにとって非常に危険なカードです。メインギミックでは全くと言っていいほどに対処するすべを持たず、その処理には必ず何かしらの工夫が必要になってきます。
スカーウォリアーもその一環で、ヴェルズモンスターの反転召喚からヴェーラーを召喚し、シンクロを行う事でプレイが可能となります。
闇属性のカタストルを外すと、他候補としてマジカルアンドロイドの採用も考えられますが、現状2400である事の意味が特に見い出せません。
カタストルレベルならまだしも、攻撃力が2400あるだけのバニラモンスターのために貴重な防御手段であるエフェクトヴェーラーを消費するのは大変好ましくなく、余程の必要性に迫られていない限りこの選択を取ることはあり得ません。
聖なるあかりは十分過ぎる程に「余程の必要性」を持った脅威ですが、その場合は攻撃力の数値はさほど問題ではありません。
ともなれば、目を向けるべきは各々が持つ効果になります。
アンドロイドはご存じの通り、エンドフェイズにライフを回復します。エキストラターン付近でこそ重宝すれど、基本的にはあってないような効果です。
スカーウォリアーは2つ効果を持ち、一方は他の戦士族モンスターへの攻撃を自身に誘導する避雷針能力、もう一方はターン1制約のある戦闘破壊耐性能力です。
避雷針能力に関しては、デッキ内の戦士族がカストルしか存在しないことを考慮すると、役立つことはまずありません。ライフ回復よりも意味のない効果とも言えます。
注目すべきは戦闘破壊耐性能力の方です。ターン1制限こそあれど、元々の攻撃力が2100あり、これを上回る数値を用意することは簡単にはいきません。擬似的な不死モンスターとして盤面を支えてくれます。
また、聖なるあかり同様、ヴェルズを含めたビートダウン系のデッキに対するメタとして使われているプライドの咆哮の存在がこの能力に付加価値を与えます。
プライドの咆哮は一時的な上昇効果であるため、このタイミングを破壊耐性能力で凌いでしまえば続くターンで再度攻撃を行えます。
あかりもこのプライドの咆哮に対応しており、多くのライフを払いこそすれど、攻撃モンスターは処理されてしまうため決定打となりかねません。スカーウォリアーはこの線に蓋をできます。
またプライドの咆哮同様、炎星の繰り出す炎舞天センにも同様の効力が期待でき、エンショウ・リュウシシンでは単体の突破が図れません。
アンドロイドに比べて遥かに利点が多いため、ヴェーラーとのシンクロ枠としてはスカーウォリアーを選択するのが無難でしょう。


《イビリチュア・メロウガイスト》
頻度としてはそれほど高いものではありませんが、時折必要性が生じ、またその代替は効かないことがほとんどです。
主な処理対象となるのは、暗黒界のトランスデーモン、水精鱗の裏側守備表示、それにゼンマイの置く裏側守備表示モンスターです。
・暗黒界の門+スノウ+トランスデーモンの暗黒界側のブン回りパターンをケア。
・水精鱗の裏守備はアビスリンデの可能性が非常に高く、この処理の成否は相手側のゲームプランの行方に関係するため影響度が高く、存在の有無が勝敗を大きく左右します。
・ゼンマイの裏守備も同様、クリッターないしゼンマイネズミの起動を意図するものです。スタートとしては苦しそうでも、一度墓地に送られれば途端に回転し出すことから、この行方も非常に重要な要素です。
TCSでは1回戦の1本目・2本目で必要となり非常に歯痒い思いをしました。
代わりにアウトとなったダイガスタエメラルは実戦を経験してみるとほとんど使い道のないモンスターであるため、この入れ替えを実施しました。


《スカル・マイスター》
アーマーカッパーの登場により、深海のディーヴァに対して的確にGヴェーラーをプレイする必要性が生じ、それを妨げる次元の裂け目は非常に使い辛いカードになりました。
この事態を考慮し、ここ最近の墓地対策はソウルドレインにシフトする傾向がありましたが、罠カードゆえに相手側先行のアビスフィアーセットに対応できないという欠点があります。
出遅れてしまうどころか狙撃兵との組み合わせで破壊されてしまう可能性すらあり、このシフトは非常にリスキーな選択でした。
この問題を解消してくれるのが、スカルマイスターです。
手札誘発ゆえ速効性がありますし、引き込んだ瞬間から機能が望めるため一手遅れと言う事態が存在しません。
ダメージステップにも有効なため、水精鱗のセットカードに対して積極的な攻撃を仕掛けることが可能です。
水精鱗側はアビスリンデ以外にもジェネクスコントローラーや海皇をよくセットするため、攻撃に踏み切る選択肢が取れるのは大きな変化です。
スカルマイスターの欠点として、直前のチェーンブロックにしか反応できないといった問題があり、これはメガロアビス絡みの複数チェーンブロック発生に関係するのですが、ヴェルズであればオピオンがこのメガロアビスの召喚そのものを抑止してくれるため、デッキ的な相性も良好と言えます。
手札誘発を軸に防御を構築できるため、大嵐を諦める必要がなくなったのも大きな利点です。


《ブラック・ホール》
《デモンズ・チェーン》
《ブレイクスルー・スキル》
聖なるあかりを意識したカード群です。
あかりを意識するだけであれば他にも様々な選択肢がありますが、これらのカード群はあかり以外のカードに対しても使用していけることを考慮して採用してあります。
あかりを主に投入してくるデッキは、炎星を初めとした闇を取り扱わないビートダウンデッキ、それにゼンマイで、これらのデッキには効果無効のスペルが有効に働きます。
メインギミックのみを見ればもっと直接的な除去を当てるのが好ましいのですが、あかりの意識を前提に考えるとその有効牌は非常に限られてきます。
デモンズチェーンとなっている理由に関しては、
・あかりに対して攻撃を行い、除去やプライドの咆哮等でそのターンの撃破に失敗した場合でも、引き続きの無力化を図るため
・禁じられた聖槍をプレイされた場合でも、エンドフェイズを迎えれば再び無力化できるため
・炎星モンスターを相手にする際、天権をプレイされた場合でもバトルフェイズに入れば再び無力化が適用されユウシ、エンショウを抑え込める
・攻撃を抑え込めるので、あかりの隣に並べられたアタッカーに対して発動する選択肢も取れる(裏守備の保護)
があります。
サイクロン等の伏せ除去を警戒する場合はブレイクスルースキルが有用です。
セットしたターンのエンドフェイズに破壊された場合でも、これであれば墓地からあかりの破壊に貢献できます。
今回はデモンズチェーンを2枚、ブレイクスルースキル1枚を採用しました。
大嵐されたり、勇炎星エンショウの破壊対象とされた際などデモンズチェーンでは裏目の出るケースもありますので、重ねて引いた際に選択肢を持たせられるよう数を散らせてあります。


■不要と判断されたカード群
《次元の裂け目》
《ソウルドレイン》
上記スカルマイスターの項にて説明済みですが、アーマーカッパーの登場を受け、次元の裂け目が廃案、ソウルドレインへの移行は後攻時の遅れが深刻な問題となり、結果としてスカルマイスターに変更となりました。
暗黒界相手には徐々にプランが劣化していますが、水精鱗のシェアが急速に広まり、逆に暗黒界が激減した現在のメタ事情を考えれば、合理的な採択となるはずです。


《邪神の大災害》
あかりを意識する上でスペースを迫られており、止む無くアウトに至った1枚です。
主な投入対象であった炎星に対してデモンズチェーンを投入することになり、アンチシナジーを形成してしまったことも要因の1つです。


《魔のデッキ破壊ウイルス》
《侵略の侵喰崩壊》
投入する相手が限定的であり、無駄が多いです。
確実性も薄く、足を引っ張る場面も多いので、抜いてしまって差し支えないとの判断です。




以上です。
引き続きのビートダウン環境ですが、1か月前の時点とは大きく状況が異なってきています。
既存の構築に固執せず、柔軟な変化を心掛けましょう!
最後までご覧になっていただきありがとうございました^−^

九州旅行記(第6回TCS)

行ってきましたTCS!
昨年タイチくんやチャオさんと行きたいねーなんて話をtwitter上でしていて、実は1年前から行くことは決めていました。
ただ、時期的に色々と多忙が重なり、結局今回行くことになったのは僕1人w
僕自身も業務多忙で直前まで休みが取れるかどうかハッキリせず、ギリギリでした。
気持ちで負けてはいかんと航空券とホテルは抑えてしまったので、ダメになった場合は損害が凄まじいものでしたが><;
別途で参加を考えていたアークさん・ショウイチさん、それに関西のナイフを加えた4人で2泊3日の九州旅行となりました。


22日昼ごろ、セントレアこと中部国際空港に集合。
地域の異なるナイフは一足先に新幹線にて出発済み。それを追うような格好で、愛知の僕らが飛行機で出発しました。
所要時間は新幹線の半分程度です。乗り慣れている新幹線と比べて飛行機は緊張する!



旅立ち!


飛行機への搭乗は10年以上ぶりで、離陸の瞬間に胸躍る感じが小学生並みの心境。
ちなみに料金は早割適用で非常にお安く済みました。立案いただいたアークさんには本当に感謝しています。
旅の準備の確保は本当に早いに越したことは無いです。
これを見ている皆さんの中に今後どこかへの遠征を考えている方がいましたら、本当にその点だけは意識しておいた方がいいですよ!
新幹線の指定席も自由席と比べて大した料金になりませんし、高速バスも早い時期なら割安で余裕のある座席を確保できます。
ちなみに、学生時代高速バスを駆使した僕のおすすめは3列ゆったりシート!高速バスにつきものの窮屈さが無くて革命的です^^
直前に予約すると高くついちゃうことが多いんですが、あらかじめ余裕をもって探しておけば、安いプランも見つかりやすいです。


1時間半ほどで福岡空港に到着。
既に到着済みのナイフと合流すべく、博多駅へ移動。
ひとまずの腹ごしらえという事で海鮮系の料理店へ入りました。
入口でオススメされていた晩酌セットのビールにナイフとアークさんが食いついて、「まだお昼!」と落ち着かせつつも、ちょうどtwitterで少し流れていたビールのプレゼント企画の話を合わせてトーク
ビールビール連呼してたら隣卓で食事をされていたおじさんから突然「ビールいるかい?」とのお言葉。
最初は断ったけど、遠慮することは無いと勧められたので二つ返事で瓶ビール2本ゴチになりました!w
料理の刺身も合わせてスゲー美味かった!お酒は我慢するもんじゃない*^^*
注文の際の「彼らにビールを」がツボ。



うまし


駅付近をブラついた後、前日に九州入りしていたスタースクリームと合流してラーメン屋へ。
地元だけど3回迷子になったと爽やかに語るにわかガイドに道を任せ、怪しい場面はありつつもなんとか到着。
これも美味しかったー。度々語られるスタスクの思い出話がなかなか面白かった。
「折角九州戻ってきたんだから3日間は寝ずに遊びます!」と生き生き話すさまを見ながら、そういえば遥か離れた東京の地でよくやってるよなぁと感心していたものです。



夜の博多駅周辺


食事を終えた頃、いい感じの時間になってきたのでホテルへ。
スタスクとも別れ、明日に備えて就寝の準備。
露天風呂が綺麗で決めたホテルだったけど、年末まで改修工事とかで利用できなかった…w



こんな感じのハズでした


ラウンジでくつろいだ後、部屋に戻ってデッキのまとめ。
サイドの入れ替えとプレイの方針を固めてて、気付けば深夜。
本当はもっとしっかり準備してから行きたかったのだけど、この3日間を休むのに精一杯で、今ここでやる他ないのですw
3つぐらいのデッキとしか対戦したことがなかったので、見えてる範囲でミスらなければいいなぁという目標設定をして眠りに…




23日朝。
会場までは少し距離があるのでタクシーを使って移動。
会場すぐ傍のホテルも取れたのだけど、露天風呂を優先した結果です。悔やまれる…w
会場入りして、最初は7F受付へ。1Fの案内板にtetsuさんの御身がででーんと映ったポスターが張り出されていて、これ他の会場利用者も見るんだろうなぁ…と思いつつ7F受付へ移動w
その後2Fへの移動がありました。
ブロックないしは成績次第で2Fと7Fの移動があるのかと懸念しましたが、2Fは予選ラウンドとその後のサブイベント実施会場で、7Fを決勝ラウンドという切り分けでした。
A〜Hの8ブロック分割。上位4名が決勝ラウンドに進めます。
ボーダーは4−0−1で、4−1はオポ勝負と言ったところ。
知り合いは基本バラバラのブロックに配されましたが、アークさん同じブロックだったので談笑しながら開始時間まで待機していました。
そうこうしている間に開会式が始まり、いよいよ本戦開始です。




使用デッキはヴェルズ!
手馴れているゼンマイを使いたい気持ちが大きかったのですが、個人戦ゆえ、優勝するためには全勝がマスト。
現状の構想では課題であるラギアに勝ちつつ、他のデッキへの勝率を落とさないプランが思い浮かばなかったので止め。
環境把握のために触ってみたヴェルズが思いの外面白く、ゲームスピードが速いため引き分けも生じづらいだろうと思い、このデッキに決めました。
実際10分〜15分程度で終わるマッチが多かったです。以下、本戦結果。


予選ラウンド
1回戦@ゼンマイ ○
2回戦@甲虫装機 ○
3回戦@ラギア ○
4回戦@水精鱗 △
5回戦@ヴェルズ ○


4−0−1の2位通過です。
4回戦はオピオン・裂け目・裂け目・ソウルドレイン・侵喰感染、相手手札1枚で引き分けになってしまいました(ノ_・)
もうちょっと早く打てたかなぁなんて反省しつつも、5回戦のヴェルズを何とか取れてギリギリ。
デッキチェック等、若干の待ち時間を挟んですぐに決勝トーナメントが始まりました。


決勝ラウンド
1回戦@魔導(にーさん) ○
2回戦@ゼンマイ(じゅんぼさん) ○
3回戦@ラギア(花火さん) ○
4回戦@ヴェルズ(ふぅさん) ○
5回戦@HEROビート(Rさん) ○




優勝です!
諸々のパックと盾、それにオリジナルプレイマットなんかをいただきました。
全10回戦を終え9−0−1、大変満足のいく結果です。
構築は御堂筋CSでA1くんが使用したものをベースにさせてもらっています。
他、本人より細かなアドバイスもいただきました。彼の力によるところが非常に大きいです。ありがとうA1くん!これ以上ない支えでした。
改善点としては、やはり永続の事故が気になったので、その部分にメスを入れた方が安定したゲーム展開を意識できるんじゃないかなぁと感じています。
僕が極端に永続嫌いな性分と言うのもありますので、個人個人のプレスタイルに沿った選択肢を意識されるのが良いかと思います。


本戦終了後は九州プレイヤーの方々と交流。
色々と繋がりが持てたように思います。勝手な気持ちだったらすいません。。


目当ての一つだったtetsuさんの熱い進行が本当に大好物。JDCでのパフォーマンスに惚れ惚れして、その時点で九州行きを確定させました!
tetsuさん並びに運営陣・交流のあったプレイヤーの皆々様、ありがとうございました!本当に楽しいイベントでした(^-^)


運営陣の撤収を待って、1日の総締めである打ち上げに参加。
会場出る時にtetsuさんから「まだちょっとかかるんで先行っててください!」の掛け声があって、それに対するナイフの「ついてこれます?」がドツボwひどすぎたw
コンビニで賞品自宅に発送してからタクシーでゴー♪


一角貸し切ってて凄まじい数の人でした。残念ながらどのくらいの人がいたのか把握できてないです><
そんな状態で開始の一言を務めさせていただきました。恐縮です。w
2時間程の飲みでしたが、とても有意義な時間を過ごせました。
はねまんの大野社長の話で興味深いものが多かったです。あとtetsuさんとの絡みw
syeluさん居たらもっと上がってたろーな〜。なんでいないんだよ!w
ホントあっという間の時間でした。
いろんな人が優勝おめでとうございますの言葉と共にじゃんじゃん注いでくれちゃったので、調子に乗って一気交えながらドシドシいった結果、久々に回った><
帰りにコンビニで買った水が胃液の味しかしなかった^^


2時ごろ同ホテルへ。
風呂入ってラウンジでだべった後就寝。
祝福の言葉を送って下さった皆様、ありがとうございます!気持ちよく眠れました…w




24日、昼前に起床。
風呂入って準備済まして外出たら吹雪奴〜w
街並み見たいから歩いてみるかーなんて思ってたけど即撤廃。目的地までタクシーでひとっとび。
twitterのフォロワーさんからオススメいただいた「極味や」さんへ昼食を取りに行きました。
着いてみたら結構な人数の列。30人ぐらい並んでました。
他の店に行くか迷ったけど、どうしても食べたかったので黙って最後尾へ。
「20分くらいですね」っていう大雑把な見積もりにショウイチさんが「絶対嘘だよありえないw」って何度も何度もぼやいてたw
その倍ぐらいの時間が経過した頃、ようやく僕らの番。



うめええええええええええええええええええ(写真が適当w)
極うまって感じでした。
僕特別ハンバーグってものが好物でもないのであんまり名店とかに行かないのもあったんですけど、間違いなく今まで食べてきた中で1番美味しいハンバーグでしたw
4人とも大満足、美味いしか言えない程度の猿にはなれました。


堪能したのち、帰りの時間が迫ってきていたので土産物を見繕い。
抽選会をやってて、1等がバルセロナ旅行。
「決勝で嵐ラビット決めるような男がスペイン程度掴めないと思ってんの?見とけ」⇒ティッシュ未満のゴミ
速やかに撤退。


ナイフは一足先に新幹線で、僕らは少し後に飛行機でそれぞれ帰路に。
帰りのフライトは行きよりも30分短く、また疲れていたのもあって3人ともこっくりこっくり。あっという間でした。


楽しい旅でしたー。入った飯屋は全部美味かったし、大会も最高の結果に終われて、たくさんの人と触れ合えて。不満があるのは風呂だけ!w
お世話になった皆々様、楽しい思い出を本当にありがとうございました!
またどこかでお会いましょう^−^


それではー。

デッキ解説 - スキドレTG(TGカオス)(2012.09.17)

先日の関西3連戦に向けて製作したTGデッキの解説記事です。
スキドレTG、TGカオスと呼称が色々あるようですが、今回の構築に関して言えば、別段カオス要素に気を配っている訳でもなく、スキドレもデッキの軸という訳ではありませんので、個人的にはただのTGデッキです。
環境メタを意識した部分が強いため、現環境仕様のメタビートとも言えます。
3連戦における成果は初日の僕の3位を皮切りに、使い手をアーサーに変えて残り2日を連覇、非常に満足のいく結果を得られました。

モンスター(16枚)
ライオウ×3枚
サイバー・ドラゴン
カオス・ソルジャー −開闢の使者−
カオス・ソーサラー
TG ワーウルフ×3枚
TG ラッシュ・ライノ×3枚
TG ストライカー
TG サイバー・マジシャン×3枚

魔法(5枚)
大嵐
死者蘇生
強欲で謙虚な壺×2枚
ブラック・ホール

罠(19枚)
奈落の落とし穴×2枚
聖なるバリア−ミラーフォース−×2枚
神の宣告
激流葬×2枚
強制脱出装置
リビングデッドの呼び声×3枚
スターライト・ロード
スキルドレイン×3枚
TGX3−DX2
TG1−EM1×3枚

エクストラデッキ
A・O・J カタストル
No.30 破滅のアシッド・ゴーレム
No.61 ヴォルカザウルス
TG ハイパー・ライブラリアン
TG パワー・グラディエイター
TG ワンダー・マジシャン×2枚
XX−セイバー ガトムズ
アームズ・エイド
ガガガガンマン
キメラテック・フォートレス・ドラゴン
スクラップ・ドラゴン
スターダスト・ドラゴン
ブラック・ローズ・ドラゴン
大地の騎士ガイアナイト

サイドデッキ
サイクロン×3枚
プロト・サイバー・ドラゴン
強制脱出装置×2枚
強制転移×2枚
次元幽閉×2枚
増殖するG×3枚
魔導戦士 ブレイカー×2枚


概要

破壊を効果のトリガーとするTGモンスターをデッキ基盤とし、最大値の10枚を採用しています。
これらをアタッカー兼壁として運用しながら計画的にサイクルさせ、後続のカオス・リビングデッド・DX2を活性化していきます。


勝利手段はビートダウン達成の1本です。
ラッシュライノとライオウ、それにサイバーマジシャンから繰り出されるシンクロモンスターらが攻撃の主軸となります。
主力モンスターの打点は1600〜2400。
環境の課題打点である2300〜2500(ギアギガントX・メガロアビス・マシンナーズフォートレス)を考慮すると、やや心許ない数値です。
特にスキルドレイン成立後は打点が物を言う世界となり、効果による巻き返しが不可能なことを考えればこの数値差は致命的な問題となりえますが、TG固有のサポートカードであるTG1−EM1がこの点を補います。
通常スキルドレイン系のデッキは、その発動状況における優位を保つためにバルバロスを筆頭とした高打点モンスターを採用する戦略が取られますが、今回の構築ではそう言ったモンスターの採択は行っていません。
相手の高打点は乗り越えるのではなく、このEM1で奪い取る狙いです。
高打点系のモンスターはスキルドレインの存在しない場面ではパフォーマンスの劣化が著しいことがほとんどで、効力に大きなムラがあります。
また2枚のミラーフォース・激流葬に加えてメイン次元幽閉まで存在する現在の環境では、モンスターに価値を置き過ぎる構造自体がリスキーな選択でもあります。
そこで、いっそ自分および相手の引きに依存しがちな高打点モンスターは放棄してしまい、スキルドレインの有無に関わらずパフォーマンスが一定したEM1を用いることで、ハマれば強いスキルドレインをあくまでデッキのサポートとして割り切り、それに依存しない安定感ある作りを意識しています。
またコントロール奪取の手法を取る事で、ビートダウン系列のデッキが苦手とするマシンナーズフォートレスの破壊に対する耐性面の克服を同時に実現しています。


構築における特徴

デッキからカードを加える効果のTGモンスターを主軸とする一方で、3枚のライオウを採用しています。
一見すると著しいアンチシナジーを形成しているように見える部分ではありますが、デッキ全体の趣旨という大きな枠組みにおいて、このライオウはむしろシナジーを発揮します。


元々ライオウと言うカードは何かのカードとコンボしたりするようなことが基本的になく、単一でのパワーを重視したメタ的な採択です。
投入を行う上で気にかける部分は「ライオウの果たす役割とデッキ全体の目的が共通しているか」です。
極端な話、エクゾディアを揃える事を目的としたデッキにライオウが必要とされることがまず無いであろうことはお分かりいただけると思います。
ライオウの持つ2つの効果は共に行動抑止の性質を持ち、その性質上カード枚数的なアドバンテージをもたらすことはほとんどありません。
みすみす損を負うぐらいならカードのプレイそのものを控えることが主流とされているためです。
結果的に期待できる成果としては、抑え込んでいる間に行えるビートダウン、つまり「ライフを奪う」という点に収束します。
そして、デッキの本筋がビートダウンにある以上、このライフを奪うと言う役割が最終的な狙いと合致するのです。

また、何かのカードとコンボしたりするようなことは無いと記述しましたが、単純に相性の良いカードは存在し、今回の構築の中ではリビングデッドの呼び声がそれに該当します。
環境上位デッキに当たるガジェット・水精鱗の2デッキはサーチ効果を多用する作りとなっているため、リビングデッドによるサーチ不可状況の維持は大きな制約を強いることができる上、サーチ効果にチェーンして発動できればアドバンテージさえ生み出します。
ガジェットはよくマシンナーズフォートレス特殊召還によるライオウ排除の後ガジェット召喚のアクションを起こしてきますが、ここにリビングデッドを合わせる事ができれば1:3交換が確定します。
水精鱗相手にも同様のアクションが可能で、ウンディーネアビスパイクからの流れに対し、狙撃兵の場合は対象となったリビングデッドを表にすることで破壊を免れながらコントローラーの回収を無効化したり、竜騎隊の場合は双方のサーチ効果を無効化できます。
モンスターを蘇生させると言う効果は本来攻撃的な面に影響を見せる行為ですが、ライオウの蘇生は防御としての機能も望めるのが優秀です。
特殊召喚を多用するデッキ相手には繰り返しの無効適用が可能で、1900の打点を活かしながら攻守両面での活躍を見せてくれます。
これだけの話であればライオウとリビングデッドを積む事でどんなデッキでも実現可能ですが、リビングデッドを活用し易いTGを基盤とする事で強気の3枚を採用することができ、結果戦略の軸に据えることを可能としています。



ライオウとリビングデッドの2つを除けば非常にオーソドックスな罠デッキの構成を取っていますが、その分だけ神の警告の不採用が目立つことかと思います。
スペースが無かった訳ではありません。ライフ消費が他のデッキ以上に厳しいという事情が存在したからです。
キルドレインを3枚採用している時点で一定の支出が確定していますし、主力の打点がそれほど高くないため戦闘で押し込まれる展開もままあります。
そうした場面においてはTGを裏守備でサイクルさせながら徹底した守りに努める訳ですが、守りに回れば回るほど神の警告の弱さは際立ち、相手の展開を止めに掛かっているにも関わらず、結果的にライフを失っています。
決して神の警告というがカードが弱い訳ではありませんが、ライフ支出の機会が他のデッキよりも圧倒的に多いこのデッキの性質上、上手く使える場面が少ないのです。
ライフ6000と8000では雲泥の差があり、6000をキル圏内とするデッキは多くあります。
(クロス+ギアフレーム+フォートレス=6600、無零怒+無零+九壱九+参謀=5900(こちらの場に存在するモンスターが攻撃力1600以下なら6000オーバー)etc)
キルドレインの支払いが噛んでいればボーダーはもっと下がりますし、発動がリスクを伴っていることに変わりはありません。
また大嵐をケアし、場と手札で2段階の罠を保持する基本的立ち回りを図る上でも、1度の崩しが死に結びつくかどうかは文字の通り死活問題です。
生きてさえいれば、相手の主力をEM1で奪い取ったり、5枚積まれた全体除去でリセットを図ったり、希望はあります。実際そうして勝ったゲームも多々あります。
パッと見は歪な選択に見えても、全体を通して見ればコンセプトに沿った取捨選択を行っているに過ぎないのです。

基本戦略

概要項でも述べたように、勝利手段はビートダウンのみで、そのため取るべき戦略は「効率よくライフを奪うこと」に絞られます。
攻撃の柱はライオウとワーウルフ・ラッシュライノと言った打点を有するTGモンスターの2本で、手札に引いたモンスター次第でプランが大きく分かれます。
前者ライオウを保有する手札の場合は従来のビートダウンデッキのように丁寧にモンスターを扱い、場の維持を重視した慎重な展開を心掛けます。
後者TGモンスターを保有する手札の場合は先のプランと対照的にアグロな動きを心掛け、引いてきたモンスターはどんどん戦線に送り込んでいきます。
本来ビートダウンの天敵とされる全体除去が0:1交換のボーナスとなるため、警戒も必要ありませんから徹底してダメージを重ねに向かいます。
攻撃の面は割と単調で、裏目が少ない分難しいこともほとんどありません。


一方、防御面に関しては非常に繊細で、緻密なゲームプランが求められます。
リストを見ていただければお分かりになるかと思うのですが、このデッキには能動的にアドバンテージを稼ぎ出す手段がありません。その発生要因は全て相手側のアクションに依存しています。
ゲームを決定付けるような一撃も無いに等しい(開闢エイドのみである)ため、一度付けられてしまった差を埋める手段が非常に乏しいのです。
ゆえに、相手の行動をよく観察し、致命傷を避ける慎重なゲームメイクに徹します。
この部分は非常に難易度が高く、TGのサイクル順序や墓地肥やし等計画性を必要とする過程が多くあります。
相手の脅威を目視してから行動に移っていてはいたずらにライフやリソースを失うだけでなく、手遅れになる可能性さえあるため、ゲーム展開を見通し、予測に基づいた事前のアクションが必要不可欠です。
小さなミスさえ許されない展開が続くことから、全体を通して精度の高いプレイが要求されます。


アドバンテージを獲得できないという弱みを埋め合わせる格好で「自らのアドバンテージを失わないこと」および「相手に獲得させないこと」の2点を構築段階より強く意識しています。
TGエンジンは最も大きなリスクを含んだ攻撃と言う行動のリスクを緩和し、リビングデッド・DX2による多伏せ演出は防御を敷く上で最もリスクある行動、嵐サイクの矛盾のリスクを緩和してくれます。

補足:嵐サイクの矛盾
丁度良い呼び方が無かったので勝手に名付けました。
大嵐をケアして伏せの枚数を減らせばサイクロンによる仕掛けが、サイクロンによる仕掛けをケアして複数枚の伏せを敷けば大嵐がケアできない、誰もが経験しうるこの矛盾した状態についてです。
サイクロンは3枚使用できるカードですから、確率的に考えれば大嵐の方を切り捨てるのが無難ですが、数値に託した結果痛い目を見た方も大勢いらっしゃることかと思います。

こうして「失わないこと」に徹すれば、本来相手が得るはずだった戦闘や伏せ除去によるアドバンテージの発生は無くなり、「得させないこと」にも結びつきます。
得させないための手段には他にライオウ・スキルドレインの2枚があり、こちらは戦術的なもの云々ではなくカードの効果でアドバンテージ獲得の機会を抑え込みます。


平行線を辿るアドバンテージ状況の中、損失の発生しない攻め手を用いて唯一変動するリソースであるライフを消耗させていくのが勝利プランです。

各カード採択について

【メインデッキ】


カオス・ソルジャー−開闢の使者−
カオス・ソーサラー
TGエンジンには光のサイバーマジシャンと闇のワーウルフが含まれており、1枚でもTGをドローできればそれを順当に回転させていくだけで光闇を揃える事ができます。
これだけ少ない光闇の数でも計画的な運用を図れば簡単にプレイできますし、その過程に見合う強さがあります。


サイバー・ドラゴン
始めはカードカー・Dの枠でしたが、カラクリの超展開に対する対応策が乏しいと感じたため、メインの内から1枚を追加しました。
機械を軸としないデッキ相手にもサイバーマジシャンのシンクロと合わせる事でヴォルカザウルスに結びつき、盤面解決能力の向上にも繋がります。


ライオウ
主な役割は先の特徴項で話しています。
前環境の終期、「甲虫装機のいなくなる次の環境ではライオウが強くなる」との見解をちらほら見かけました。
それには僕も同様の見解を持っていて、新環境に入ってからはライオウの入りうるビートダウンデッキを模索し続けました。
過程は後述しますが、テストを繰り返す中で最もライオウが合うと思えたのがこのTGです。
主たる理由はリビングデッドを無理なく3積みできることで、除去の多い今の環境で破壊耐性の無い1900はあまりに死に過ぎます。
抑止的効果は場で維持されていなければ効果が無く、それを果たす為にも残り続けるだけの工夫が必要になってきます。
そして今回、それがリビングデッドの呼び声に当たる訳です。


TG−ラッシュ・ライノ
TG−ワーウルフ
TG−ストライカ
TG−サイバー・マジシャン
TGを選んだ理由は対ガジェットを想定した上での事です。
ガジェットの繰り出すギアギガントXに対し、最も効率よく相手をできると感じたのがTGモンスターでした。
これも後述する最後の項にてお話します。


ブラック・ホール
聖なるバリア−ミラーフォース−
激流葬
全体除去の限界値投入は今回の構築の隠されたテーマでもあります。
大嵐や複数枚の伏せ除去により戦線が崩壊した場合も、これらの全体除去があればすぐに復旧が利きます。
破壊されても全く影響の出ないTGモンスターは片っ端から場に展開していきます。
必然的に場に並ぶモンスターの数が増え、崩しを食らった展開においても、同ターン中に死に繋がる事が少なく、返しのターンで手札に残した伏せを敷き直しつつ再度TGで構えなおせば即座に回復を図れます。
全体除去は罠系のTGデッキと非常に相性が良いです。相手の攻めが消極的になりやすいのもポイントで、怯んだ様子を見せれば神の宣告やスターライトロードのようなカードに辿り着きやすくなり、そもそも場を崩すことさえ困難となります。


死者蘇生
デッキに必要なモンスターの種類が限られているため、死者蘇生やリビングデッドをフルに投入するなどして扱うモンスターを絞っています。
カードガンナーやクリッターもデッキ的には悪くないカードですが、劣化した選択を行うよりは趣旨に沿ったモンスターを使い倒す方がやりたいことに対して一貫した姿勢を維持できます。


大嵐
始めは投入されていませんでしたが、デッキの基本的な運用が固まるにつれ必要性が生じ投入しました。
相手の大嵐を想定する手前自分から大量のセットを行うようなことはほとんど無く、逆にこちらのビートダウンに対して牽制の姿勢を見せる相手プレイヤーの方が多量のセットを敷く場面が多かったからです。
また、頻繁に発生する膠着状態に対して有効な打開策であったことも挙げられます。
開闢の使者等明確なフィニッシャーを有している分そのままゲームを決定付ける場面も少なくなく、EM1でサイバーマジシャンを送りつける動きを絡めれば相当量のダメージが期待できます。
リビングデッド・DX2のセットで多伏せを演出して相手の伏せを誘い出し、一層しながら一方的なアドバンテージの獲得を狙うパターンもあります。


強欲で謙虚な壺
積極的な特殊召喚を見ていくようなデッキでもないため、文句無しの採用です。


神の宣告
スターライト・ロード
大嵐を意識する上で必要となります。発動は極力そこに絞ることが望ましいです。
このデッキに対してはミラーフォースや激流葬が有効に機能する場面はほとんど無く、それらはライフを維持するためだけに発動されることがほとんどで、ここに突き刺すスターライトロードは非常に強力です。
神の警告のようなカードで防がれてしまっても、何体かのTGが手札に戻るだけ大した損失を生みませんし、サイクロン(スターダストドラゴン阻止)や神の宣告のようなカードを使用してくれれば御の字です。


リビングデッドの呼び声
こちらも先の特徴項で記した通りです。
墓地のTGとの組み合わせによりセットにリスクが伴わない点が大変心強く、感覚的にはクリッターが10枚入っているようなものです。
キルドレインと合わせ、相手のサイクロンの対象を散らす目的もあります。


奈落の落とし穴
神の警告と異なりライフ消費を必要としないため、防御に厚みを持たすには適切な1枚です。


キルドレイン
始めからスキルドレインが入るデッキを構築しようと思っていた訳ではなく、TGとの相性の良さを買い投入しました。
完全な維持は目的としていません。バルバロスのようなこれを前提とした採択が行われていないため、守り切る必要性が無いのです。
あくまでビートダウン達成の上での補助的位置付けです。


強制脱出装置
調整段階において、除去が不足しているように感じられたため、勝手の良さそうなものを1枚だけ投入しました。
手札に残す、後出しの効く除去です。


TGX3−DX2
一見使いづらいように見えますが、意外にも勝手は良好で増量も考えられるレベルです。
位置付け的には2種カオスと変わりありません。1枚でもTGを引ければそれをサイクルさせることで問題なく運用できます。
サイバーマジシャンシンクロと相性が良く、サイバーマジシャン+ラッシュライノ+出てきたTGシンクロモンスターの3体で一気に条件が整います。
貴重な返し手であるTGストライカーを2度使用できるのもポイントです。


TG1−EM1
ビートダウンデッキを考案する上で常に障害となったのが、ガジェットのマシンナーズフォートレスです。
有する2つの効果が共に致命的で、次元幽閉のようなカードを構えていても攻撃を行うかどうかは相手に依存してしまっていることが問題です。
除外以外の方法では再び場に戻ってしまうため、この部分には大いに悩まされました。
因果切断のような選択は寄り過ぎで、マシンナーズフォートレス以外の全てに対して非効率的です。アドバンテージを得る手段の無いデッキが手札コストカードを使用するのも良しとされるものでもありません。
紆余曲折を経、そうした問題を解決してくれたのが、相手の意志に頼らない破壊以外の方法、コントロール奪取です。
この罠カードは最終的なデッキタイプの選択をTGに決定付けた1枚にもなりました。


エクストラデッキ


キメラテック・フォートレス・ドラゴン
メインデッキのサイバードラゴンは1枚ですが、サイドデッキにプロトサイバードラゴンがあり、かつリビングデッドの呼び声による使い回しも考えられるため増量も視野に入る箇所です。
実際2枚目が必要となる場面も時折訪れますが、現状他スロットを妥協できないものと認識し、1枚としています。


アームズ・エイド
開闢の使者とのコンボ専用です。
以外にも成功率は高く、本戦だけでも3回決まりました。
このデッキ唯一のビートダウン以外のキルパターンです。


A・O・J カタストル
ストライカーを使用した返し手の主です。
カタストルを処理するためには基本的に何かしらカードが必要で、リソースの消費を誘えます。
1度墓地に落ちれば蘇生・リビングデッドで繰り返し利用が可能ですから、相手次第ではこれでハメ切れます。


TG ハイパー・ライブラリアン
TG ワンダー・マジシャン
TG パワー・グラディエイター
サイバーマジシャン効果で特殊召喚が可能なシリーズで、各々が他に無い強みを持っています。
ライブラリアンは打点と属性の二つが有用で、ギアギガントXを一方的に戦闘破壊でき、サイバーマジシャンと合わせて光闇を一気に確保できます。
ワンダーマジシャンは当然その魔法罠破壊効果に有用性があり、開闢のようなフィニッシャー召喚前の伏せ掃除およびサイド後の面倒な永続カード(王宮のお触れ・次元の裂け目・マクロコスモス・ソウルドレイン)の破壊を務めます。
パワーグラディエイターはやや特殊で、破壊された際の1ドロー効果が重要です。除去を受けてしまった場合も保険が利き、交換比率を1:1まで抑えられます。
ドロー能力だけであればワンダーマジシャンも持ち合わせていますが、攻撃力2300の数値に意味があり、ライオウやラッシュライノでは対処できない2000を上回る数値を乗り越えるのに用いられます。


大地の騎士ガイアナイト
ストライカー+ラッシュライノ、サイバードラゴン+サイバーマジシャン等、限定的な状況ではあるものの時折レベル6シンクロの必要性が生まれるため、何かしらの選択肢が必要です。
・大地の騎士ガイアナイト…縛りなし、シエンを処理可能
・ナチュル・パルキオン…ギアギガントX、メガロアビスを処理するには最適
・天狼王ブルー・セイリオス…闇属性、相手の次の手も無力化できる可能性がある
3体いずれもプレイする機会ほとんど無く、非常に限定的な状況下でのみ力を発揮します。
今回は六武衆およびスキルドレイン下でマシンナーズフォートレスに負けない打点という理由でガイアナイトを選択しました。
実際の本戦ではストライカー+ブレイカーでメガロアビスを処理する機会がありました。
意図した用途ではありませんでしたが、そういった意味でも縛りを持たない方を選択する意味があると言えます。


ブラック・ローズ・ドラゴン
メインギミックの中でプレイできる要素はほとんどありません。
主にカラクリの超展開を食らった返し、レベル4(ライオウorラッシュライノ)+死者蘇生(小町)の超限定的シチュエーションです。
ラクリと何戦かマッチングを行えば時折訪れる状況ですが、全体を通して見れば圧倒的に使用頻度の少ない部分であるため、入れ替えの候補となりえます。
本戦ではカラクリとは1度もマッチングせず、代わりにストライカー+パワーグラディエイターで水精鱗の展開を一掃しました。
ガイアナイト同様これも意図していないパターンでした。


スターダスト・ドラゴン
シンクロ召喚によりプレイすることはまずありません。スターライトロード専用です。


スクラップ・ドラゴン
稀に発生するレベル8シンクロが必要となる場面での選択肢です。
キルドレインとのシナジーに期待してギガンテックファイターを選ぶことも考えられますが、スキルドレイン単一とのシナジーよりもTGモンスター全般とシナジーするスクラップドラゴンを優先しました。
裏守備でTGを配しながらスクラップドラゴンの効果を使用していけば、サイド後よく投入される次元幽閉にかかることなく優位を固められます。
TGの回収効果により交換比率を0:1の純粋なアドバンテージに変換できます。


XX−セイバー ガトムズ
ワンダーマジシャン+ラッシュライノの限定的組み合わせで、主な用途は除去避けおよびスキルドレイン下での打点生成、攻撃力3000のトラゴエディアケアの3点です。


No.30 破滅のアシッド・ゴーレム
これもまたスキルドレイン中の最大打点として用いられます。
キルドレインは自分にとっても非常にリスキーなカードであるため、準備段階から保険を張り巡らせ詰みの状態を作らないよう努めるのが重要です。


ガガガガンマン
相手の展開に対する返し手がレベル4モンスター2体しか用意できないシチュエーションが時に存在します。(※主に蘇生絡みのライオウ+ラッシュライノ)
こうした場面の打開策として、単体の解決能力が最も高いガガガガンマンを選びました。
エストロークと言う選択肢も存在しますが、時間のかかるデッキゆえにエクストラターン・デュエルをこなさなければならない試合も度々あり、その点を考慮した結果の採択となっています。


No.61 ヴォルカ・ザウルス
大量のカードを必要としますが、有り無しで勝負を分かちかねない重要な存在です。
レベル5を2体並べる主な方法は、サイバードラゴン+サイバーマジシャン+ラッシュライノの3体か、もしくはデッキに積まれた4種のTGを全て揃えるかの2択です。
サイバードラゴンの方は見たままの通りですので難しいことは無いかと思います。
もう片方のTG4種ですが、滅多に無いことと割り切るのではなく「そうした動きができる」ということを頭に入れておくことでゲームプランの構築に役立ちします。
手札にモンスターが寄ってしまった時、大嵐の発動に合わせたリビングデッドで大量の返し手が手に入った際、どちらもそれなりに発生しうるケースです。
4枚を使いレベル5シンクロを2体並べる訳ですが、そのパターンは主に下記の3つ。
・ワンダーマジシャン⇒カタストル
・ライブラリアン⇒ワンダーマジシャン
・ライブラリアン⇒カタストル
相手の場に伏せがありかつその正体が不明、この先の展開に成功の保証が無いとされた場合は、1つ目のワンダーマジシャンによる伏せ破壊からスタートして様子を見ます。
これが除去されるようなら除去の手段をカタストルに移行し、カタストルの処理範囲を越えているようならストライカワーウルフをそのまま守備表示で場に置いたままターンを返します。
伏せの破壊が成立すれば、カタストルないしはヴォルカザウルスのアタックを交えながら大型2体までの処理が可能になります。
相手の伏せが発動不可能な何かであると断定できる場面では、2つ目のライブラリアンスタートプランを取り、1ドロー+伏せ破壊を狙いします。
その後ヴォルカザウルスでモンスターを焼き払えば4枚分の消費は瞬く間に回復し、相手の場にヴォルカザウルスの戦闘破壊で処理可能なモンスターが存在していればアドバンテージをプラス1まで還元できます。
3つ目のプランは相手フィールドに伏せカードが無く、かつカタストル効果を用いて処理すべき大型モンスターがヴォルカザウルス破壊分を含めて2体以上存在している場合に限り取られるものです。


【サイドデッキ】


魔導戦士 ブレイカー
サイドからよく投入される永続系のメタカードおよび次元幽閉・透破抜きの破壊を目的としています。
メタのメタは本来非効率的であまり良しとされるものでもありませんが、ブレイカーは最悪適当な伏せカードやライオウと1:1交換を果たせる良質なサイドカードです。
メタのメタの問題点は「相手がその動きに出なかった際無駄になってしまうこと」で、相手の意向に沿わずとも最低限の仕事をこなすことがブレイカーの強みです。


プロト・サイバー・ドラゴン
ガジェット相手のサイドチェンジ後は強制転移までもを加えることで相手のギアギガントXを強く意識しています。
1本目の時点では回収に相応しい対象が存在しませんでしたが、相手がガジェットと確定している2本目以降の戦いではこのプロトサイバードラゴンが最適です。
また本家のサイバードラゴンにはできない役割として、ライオウによるビートダウンがブリキンギョの守備により固まってしまった際、その横に召喚することでライオウモードと攻勢を維持できるという強みがあります。
激流葬されてもアドバンテージ的にはイーブンをキープできるため、悪くありません。伏せカードにリビングデッドがあれば積極的に狙っていくプランです。


増殖するG
ラクリの超展開を意識した採用です。
アドバンテージを互いに獲得しない・させないことをテーマとして置いている分、干渉が行えない先行のうちにアドバンテージを稼がれてしまうと後のゲーム展開が絶望的なものとなります。
それを阻止するためにも、この3枚は抑えておきます。


サイクロン
メインデッキの時点ではどうしても処理したい対象が血の代償しか存在しないため特に必要性を感じませんが、サイドチェンジ後は永続系のカードを筆頭に明確な破壊対象が存在しますから、ブレイカーと合わせてこれらを破壊します。
メインのサイバーマジシャン+ラッシュライノの組み合わせを含めれば破壊できないことの方が稀です。


強制転移
後手確定の2本目or3本目のゲームにおいては罠カードのEM1では遅れが生じてしまうため、この強制転移を併用しスピードアップを図ります。
暗黒界相手には計5枚のコントロール奪取で徹底してグラファを狙うことで、1本目の段階ではやや不利なマッチアップの勝率改善を意図しています。


強制脱出装置
対カラクリ戦に向けての追加の選択です。
ラクリを意識しすぎているのは、恐らく僕がもう一つのメインとして調整を進めていたデッキがカラクリだったためです。笑
世間的には過疎の風潮が進んでいるカラクリですが、僕は相変わらずトップクラスのポテンシャルを持つものだと認識しています。
デッキ的にもこちらの動きに関係せず勝手にアドバンテージを稼ぎ出すタイプのデッキは非常に危険で、軽視できる存在ではないと考えているため、意識を強めに寄せています。


次元幽閉
キルドレインの効かないビートダウン系のデッキに対する入れ替え枠です。
脱出装置や強制転移と合わせる事で丁度良い枚数入れ替えられるよう枚数を調整しています。

最後に

先日ツイキャスによるデッキ解説を行った際、なぜTGなのかという質問が多かったので少しだけ経緯について触れておきます。
細かい採択については上記のカード採択項で記述していますので、いきさつに限ります。



今環境に入って色んなタイプのデッキを考案しましたが、そのほとんどはガジェットのギアギガントXがもたらす暴力的なアドバンテージに屈する格好となりました。
ガジェットは人気も高く、CSに参戦すれば1度か2度は対戦を経験するようなデッキで、無視する訳にもいきません。
まずはここをクリアすることをデッキの基準とすることに決めました。
最終的にはTGを選択した訳ですが、それは様々な試行錯誤の過程を経た結果です。
中には瞬間的にボツになったアイデアも多数ありますが、起点となったのはセイクリッドです。
カード採択のライオウの項で少し触れましたが、僕はこのライオウがナチュラルに入りうるビートダウンデッキをずっと探していました。
セイクリッドはその中でもかなり有効な方で、ライオウとシナジーするリビングデッドやオネストを違和感無く投入できることに好感触を覚えていました。
真剣に使用を考え始めた頃、このデッキを選択する上で問題となったのがマシンナーズフォートレスの存在です。
僕の構築していたセイクリッドはプレアデスを軸に戦う構造をしていたのですが、マシンナーズフォートレスのステータス・効果の両面がプレアデスにとっての絶望的な障害になりました。
また、プレアデスをプレイできない状況下において、ビートダウンの構造を取る以上はマシンナーズフォートレスが非常に驚異的な存在であることを認識しました。エクシーズにもシンクロにもロクな回答がありません。
プレアデスはキンギョ・二重召喚絡みの返し手には無類の強さを誇るのですが、フォートレスに対してはサッパリです。
世のガジェットがマシンナーズフォートレスが増加の傾向を見せるにあたり、やむを得ず断念しました。


その後、フォートレスを簡易的に除去できる手段を有するデッキとして忍者デッキに着手しましたが、今度はギアギガントXに対処できなくなってしまいました(エクシーズモンスターを超変化できないため)。
先出しのHANZOは非常に有効ですが、先行を取れるかどうかの問題は50%を抜け出すことがありません。
クロスによるスタートはゲーム展開が非常に速く、あまり好ましくない成金忍者絡みの積極展開に向かわざるを得ないようなシチュエーションが多発したのも問題でした。
豊富に除去を抱えるガジェット相手にこのアクションが通ることは非常に稀です。
成金を軸とする以上デッキ構成が罠に寄りがちで、サイクロンのような後手攻めに強いカードを採用できない事態も問題に結びついています。
七つ道具やトラップスタンのセットによるワンクッションはクロスの2度目の効果発動を許し、取り返しのつかない損害を被る結果にもなります。
また肝心のフォートレスに関しても、超変化したところで脅威が消え去る訳ではなく、墓地に存在する以上回答を要求し続けるのです。



これらの経緯を経た上で得られた成果が以下の通り。
・ギアギガントXの召喚自体を止める事は不可能。出た後に対処できる方法を考慮すべき。
・構造上マシンナーズフォートレスに弱くしてはいけない。
・ライオウ+リビングデッドの組み合わせはやはり有効。引き続き活かせるギミックを探す。
・ライオウを引き入れる確率は一定値を超えないので、デッキ全体がリビングデッドとシナジーしている必要がある。
・他にもいくらか罠を投入しなければサイクロンの対象はリビングデッドに向けられてしまうため意味が無い。
・ライオウは後手の際の弱さが際立つため、後手でも間に合うようミラーフォースを筆頭とした豊富な罠が必要である
・罠を多数搭載すると複数セットを必要とする場面がいくらか生じ、結果的に大嵐に脆くなる
・スタロや賄賂を加えると安定感が著しく損なわれるため、できることならリビングデッドそのもので大嵐をケアできることが好ましい(クリッター・カードガンナーetc)。


以上のポイントの収束先がTGです。
話が飛躍しているように思えるかもしれませんが、最後のリビングデッドによる大嵐ケアという観念が対象をグッと絞ってくれます。
破壊をトリガーとして発動し、かつデッキ単位のまとまりに結びつきそうなものはそう多くありません。
後は抽出された一つ一つの選択肢を、リストアップした要点と比較検討していくだけです。
クロスやフォートレスを意識したカードは手札に引き入れることができなければ意味がありませんが、TGの選択はそうしたカードに行き着く時間や、その間に稼がれたアドバンテージを帳消しにする全体除去の供給を可能とします。
そして、全体除去の多量搭載は後出しの弱さのデメリットを持つライオウの欠点を補うというサイクルに結びつくのです。


余談が混ざってしまいましたが、以上がTGを選んだ理由です。
問題に行き当たった際は、何が求められているのかを徹底してリストアップします。
この作業の良いところは成功失敗の成否が問われないところです。
良かった点はそのまま受け継いでいけますし、悪かった点は「そうならないようにする」という成果に繋がります。
ダメならダメなりの理由を見つることが大切です。


今後のTGについて少し触れておきます。
まず、TGというテーマ自体は決して強力なデッキタイプではありません。
今回の構築においても、TGはライオウリビングと言うエンジンを載せるための基盤に過ぎませんでした。
それ単体が有効に働くケースと言うものは考えづらいです。目的を達成するための手段、パーツとしての認識が相応しいでしょう。
また、今回のリストのまま今後の運用を図るのは困難です。
それはリスト自体が関西3連戦時点での予測に伴った構造を取っているからで、現在に過去のメタを適応させる意味は無いからです。
関西3連戦の結果を以ってメタの事情はまた一つ変化を迎えましたし、EXP5のリリースはより一層環境に変化を与えることでしょう。
他のデッキがそうであるように、このデッキもまた変化が求められています。メタの位置付けを取るデッキはそうした事情がより顕著に現れます。
今後の使用を検討される場合は、環境の変遷をよく観察し、自分なりのチューンを施してみてください。
今回の解説はあくまでその時点の理論に基づいてお話していますから、スキルドレインの必要性、サイクロンや神の警告の採用見直し等、改善の余地は多くあります。
一応僕の中でもまだ一つ案がありますので、今後参加するどこかの大会でお披露目できればいいなと考えております。


長々とお付き合いいただきありがとうございました。
存在が発覚してしまった以上今後の立ち位置はより一層厳しくなるものかと思われますが、今後を考える上での一助になれば幸いです。

新環境を迎えて

2012年後期シーズンがやってきました!
半年に1度訪れるビッグイベント”制限改定”を迎え、各所大いに盛り上がりを見せています。
今回も毎度よろしく環境に多様な変化がもたらされた訳ですが、まずは先日確定したそのリストの方に目を通してみましょう。


【新禁止】
氷結界の龍 ブリューナク
未来融合−フューチャーフュージョン


【新制限】
(緩和)月読命
(緩和)スポーア
レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン
カオス・ソーサラー
イビリチュア・ガストクラーケ
甲虫装機ホーネット
甲虫装機ダンセル
発条空母ゼンマイティ
血の代償


【新準制限】
(緩和)デブリドラゴン
(緩和)神秘の代行者アース
(緩和)名推理
(緩和)聖なるバリア−ミラーフォース−
レスキュー・ラビット
魔界発現世行きデスガイド
E−エマージェンシーコール
強欲で謙虚な壺
ヒーロー・アライブ
召集の聖刻印


【無制限】
(緩和)マシュマロン
(緩和)ネクロ・ガードナー
(緩和)光の護封剣
(緩和)レベル制限B地区
(緩和)デステニー・ドロー
(緩和)緊急テレポート
(緩和)魔法の筒


前期隆盛を極めた甲虫装機が大打撃の末沈静化し、環境は随分と落ち着きを取り戻し始めました。
甲虫装機ホーネットによる抑止力はカードの採択やプレイングを大きく制約していましたが、そのしがらみからもようやく解放されつつあります。
全体的な変化としては、定例通り主流デッキの劣化が推し進めた格好で、前期の流行が軒並みパワーダウンしています。
ここ最近の制限リストからは、「潰し切ろうとはせず、弱体化はさせるが選択肢として残す」という販売元の意向が見て取れますね。
準制限という中間的立ち位置が膨れつつあるのもその結果であると考えるべきでしょう。
発条空母ゼンマイティ・イビリチュアガストクラーケの両者規制は各々を軸としていたハンデスデッキを崩壊させましたが、先行1ターンのワンサイドゲームを目論むデッキに対するスタイルも一貫しており、期待通りの判断が下された格好です。
どちらのデッキも構築段階で大きな制約を求める上、攻防の矛先もじゃんけん・初手内容と技術の介入できない領域にあったため、目の上のたんこぶ的存在でした。


今回の改定は各デッキのパワーバランスの調整が主となっており、地味な印象が強いとの批難も見受けられましたが、環境に存在するデッキを拡張し縛りを無くすと言う意味合いでは良いリストかと思います。
使われないカードを積極的に解禁していく姿勢も大いに評価できます。


個人的に不満があるとすれば、血の代償が禁止でないことと、魔界発現世行きデスガイド等の扱いでしょうか。
代償は発動が確定できればよほどの下手を打たない限り確実にゲームを終わらせる、暴力的な1枚です。
六武の門もそうですが、使用する側に無償のアドバンテージが供給されるのは単純に問題で、環境に残しておくことに理由を感じません。
デスガイドの方は言わずもがな、未発売のカードが制限リストに載っている様が良好な状態とは思えませんから、こうした事態を皮切りに海外先行のシステムに歯止めがかからないものかと心苦しく思っています。
リリース時期のズレから来るカードプールの差異は仕方ないとしても、わざわざ海外オリジナル(その上明らかに強くデザインしたもの)を織り交ぜて意図的に環境に変化を与える様を常々疑問に思っています。
一部の人間にしか影響しませんが、今年の世界大会でも甲虫装機に対する慣れという点において、目に見える形で有利不利の発生が見られましたからね。


ともあれ、現状前環境に比べれば遥かに幅の広い選択を楽しめそうですので、この半年間は多種多様なデッキにトライしてみてはいかがでしょうか!


甲虫装機絶滅?

リリースされてから約1年間、トーナメントシーンを席巻し続けた甲虫装機は今回の9月制限を受けて大きくパワーダウンしました。


【影響箇所】
甲虫装機ホーネット→制限
甲虫装機ダンセル→制限


上記改定により強みであった
・連続した展開力の獲得
・盤面の抑止力
・奈落の落とし穴の回避
の3点が、失われこそしないものの大きく削がれたためです。
これを受け環境のデッキ群・カード採択は大きく変化し、これまで採用が敬遠されがちだったカードが続々と息を吹き返し始めました。
現在はその隙間を縫う形でキラートマトに主軸に置いたタイプの甲虫装機が残留勢力として根を張りつつあり、マークの薄さに助けられそれなりに戦えるデッキとして可能性の模索が行われています。
シェアの低下に伴い天敵であったエフェクトヴェーラーが姿を消し、簡単に効果の成立を見られるようになった事は追い風です。改定によるダメージは大きいですが悪いことばかりでもありません。
制限リストが確定し連日賑わいを見せるデュエルオンラインの環境でもそれなりの数確認でき、完全に姿を消した訳ではないのだと実感させられます。
いざマッチングしてみると、後述する聖刻と合わせ「実は有効牌がほとんど無い」といった事態に陥りかねません。
存在しているのだと言う事実を認識し、実際にマッチングが発生した際の戦い方等事前に検討しておくに越したことは無いでしょう。
次期環境の鍵の一つに次元の採用がありますが、次元の裂け目を用いるかマクロコスモスを用いるか次第で対甲虫装機に対するマッチングの影響は大きく変化します。

旧勢力の復旧と残留勢力の競合

甲虫装機の力が弱まったことにより、それ以前、つまり甲虫装機がリリースされる前に存在していたデッキ群が再び力を伸ばし始めました。
ラクリ・暗黒界・天使・六武衆がそれに該当し、ここに前環境からの生き残り組であるHERO・聖刻・ガジェット・水精鱗が加わる事で、9月を先取った今現在の環境を構成しています。
甲虫装機以前に存在していた天使の型はTG天使が主流であり、これは前回の制限改定時に大打撃を受け崩壊しましたが、今回のアース緩和を契機に天使というジャンル自体は人気を回復しました。
1年前の旧勢力と前期の残留勢力は一部を除き同じ時代を戦ったことがほとんど無く、現在はそのマッチングの相性を探り合うような展開が続いています。
現状頭一つ抜き出ているように思われるのはカラクリで、人気の高い天使やガジェットに強く、各デッキが動きの基盤を固める中明確に強い展開パターンを確立できているのは時期的なアドバンテージと言えるでしょう。
多様なデッキの存在する環境初頭において、相手デッキに依存せず自分本位の展開を行えることは大きな意義を持ちます。


また、9月を迎える前の現在時点でも新制限における大会は開催されており、今日日までの2大会では共に聖刻が勝ち名乗りを上げました。
各人環境の読み、メタの在り方がまとまりきっていない節があり、ワンショット系のデッキに対して諸さを見せてしまったように思われます。
存在が認知されたこれ以降のイベントにおいてどのような対策が施されるのかが大きな見所となります。
今後の動向には注意深く目を通していきましょう。Duel Entranceを要チェック!


王道カラク

近年リリースされてきたテーマの中でもピカイチの展開力を持ち、無零・無零怒の両将軍を軸に次々と大型が繰り出される様は実に豪快です。
流行の最先端を走った1年前と比べ特に獲得したようなものは無いのですが、代わりに失ったようなものもほとんどありません。全盛期となんら変わらぬ動きを実現可能です。
一応の新戦力としてカウントできるのは、機械軸ゆえの恩恵ギアギガントX、それに最新弾アビスライジングで獲得した太陽風帆船の2枚でしょうか。
サーチ手段の多いカラクリではギアギガントXの恩恵を感じづらい部分がありますが、九壱九の戦闘破壊ボーナスから単騎で辿り付けるメリットを持ち、他の4エクシーズはカラクリにとって取るに足らないものばかりなので選択肢としては優秀です。
またレベル4カラクリを少し大目に採用しつつブリキンギョを取り込むことでクロスを積極活用し、初動の安定化を図るパターンもありえ、構築のパターンは広がりを見せています。


太陽風帆船は展開力の底上げに用いられ、簡易融合と合わせ強力な場を築くのに有用性があります。
サイバードラゴンと異なり相手に依存しない展開が可能で、1ターン1回の制限がある簡易融合と何枚か差し替えて圧迫されがちなエクストラデッキのスロットを節約する手法も取れます。


過去の構築とほとんど変わらぬものを流用可能であることから比較的完成度の高いものを持ち込みやすく、環境初頭における有力株としてよく見られるのではないでしょうか。
しかしながら、それに捉われずこの1年間でリリースされたカードを見返し、構築の昇華を図ることが大切です。
過去の構築は皆々の知るところで、そこに依存していては自分が勝ち抜くための区別化を図りづらいためです。
環境序盤は挑戦あるのみです!


新環境における聖刻

海外で流行を見せたカオスドラゴンの余波を受ける格好でレッドアイズダークネスメタルドラゴンを失った聖刻ですが、終わりを迎えるどころか環境初頭にして既にその健在を示してきました。
レダメの喪失はグスタフマックスを失ったのと同義で、これによりキルに必要な最低枚数やライフの射程圏といったキル条件が非常に厳しくなっています。
海外環境で聖刻が全く流行らなかったのはこの問題が大きく、1ターンキルに必要なパーツの枚数はデッキの質の問題に直結するからです。
それでも今回勝利を掴み取れた要因として考えられるのは、
・天敵である甲虫装機が駆逐されたこと
・それに伴ったメインヴェーラー撤廃によるキルへの信頼性向上
・規制によりマークが甘くなったこと
の3点が挙げられます。
先に話した甲虫装機同様失ったものも大きいですが、同様に得たものもまた大きいという訳です。
また海外環境における不人気を上記で述べましたが、日本の環境にはプレアデス・トレミスの2種セイクリッドが控えており、これらを駆使することで1枚のレダメでもパーツ3枚キルを達成できます。


しかしながら、こうして結果を残し認知されることで当然問題も生じます。
レダメが1枚ゆえにエフェクトヴェーラー1枚で簡単に止まってしまうこと、デッキが割れていない場面でも見えたカードによって推測されうること(=ガバ伏せの発生)、検証が進められ出せるダメージの少なさが判明してしまうこと、等々今よりも勝ち辛くなることは明らかです。
それらを踏まえた上で今後どういった戦略を取るのかが大きな課題となることでしょう。


新勢力、水精鱗

環境初頭はメタが固まらず、デッキを温故知新の選択に委ねるプレイヤーが多い中、比較的新たなデッキタイプとして水精鱗があります。
前環境の終期にリリースされたこのテーマはまだ研究が進み切っておらず、使用者間でも構築がまばらで、多種多様の試行錯誤がなされている段階です。
しかしながら、僕自身が新環境に着手し様々なデッキを見てきた中でも、水精鱗の持つポテンシャルは非常に高い位置にあると感じられました。
見慣れないカードを連続で消費していく様子は初見であれば「よく分からない」の一言に尽きるかと思われますが、冷静になって一つ一つの動きを追っていくと無視できないレベルでのアドバンテージ獲得能力および抑止力を秘めています。
カードを捨てる動作が起点となっているため損を被っているような印象を受けますが、実際は間逆で最終的な盤面を見れば一目瞭然です。
場のカードにはあらかた触れることが可能で、水精鱗を相手にした際「これをしておけば安定」と言うような動作があまりありません。
その一方で海皇の狙撃兵によるアドバンテージの発生を抑止するために場を固めに行かなければならなかったり、アビスリンデやアビスフィアーの存在ゆえに安易な除去のプレイを許されなかったりといった縛りが多々あり、自分のペースでゲームをするのが非常に困難です。
アドバンテージが離れていくことに焦りを感じ、その差を埋めようと自滅を辿るような事態も発生しかねませんので、適切な対処を覚えるためにも一度手にとってプレイしてみることをお勧めします。

今後予想される環境の推移

今秋来日予定の海外先行収録組(EXP4)でまた一つ大きな転機を迎えることかと思いますが、それまでは現存の勢力が都度の変化に合わせて緩やかに精度を増していくはずです。
中でも伸び白が大きいのはリリースされたばかりの水精鱗で、テンプレートさえまともに固まり切っていない現在の状況からどこまで完成度を引き上げられるかが見所となります。初めに成果を挙げるのは一体誰か!
何せ存在するデッキの種類が多く、経験量・練習量が物を言いそうな時代となりました。
そんな時はただひたすら突っ走るのみです。やった分だけ経験としてのリターンが必ずあります。
なかなか面白い環境だと思います。色んな可能性を模索しながら今シーズンを楽しみましょうo(^-^)o


ではでは♪

第3回JCSが終了しました


7月29日、愛知県刈谷の地で第3回JCSが開催されました。
当日足を運んでいただいた参加者の皆様、お疲れ様です。そしてありがとうございました。
http://www3.plala.or.jp/crazy/jcs3/result.html
公式サイトの方で既に結果は公開済みですが、優勝チームは「みやじまれんごー」。
アンサイクラー・ホロホロ・グロスの3名による、当日参加のチームでした。
3名共に甲虫装機を使用しており、また3位チーム「ぽんぽんぽーん」の3名も甲虫装機を駈るなど、最近押され気味だった甲虫装機が勢いを取り戻した格好となりました。

今回のJCSにおけるデッキシェアを表した図です。
近頃高い人気を誇っているHEROビートを押し退け、シェアもナンバーワンに。
使用者の割合を公開しているCSはそれほどないので具体的な推移は確認できませんが、上位の結果を見ても甲虫装機がまた徐々に立場を回復させつつあるのは明らかです。
上位者の方々にはインタビューの方を行わせていただきました。後ほど動画のアップを予定しております。
構築の要点や当日の使用感までガッツリ聞きこんでおりますのでご期待くださいませ。


ちなみに、当日枠の決定方法はコレ。

サイコロです。
チームメンバー3名でそれぞれのサイコロを振り、合計目の大きいチームが優先して参加権を手にします。
古典的ですが、シンプルでかつ明示的な手段を取りたかったため、前回大会よりこの方法を取らせて頂いております。
当日参加希望者の中には遠方よりお越しの方も複数名おり、嬉しい気持ちがある半面、参加の叶わなかった方々に対し申し訳ない気持ちで一杯でした。
本来であれば参加を希望する全ての方々の出場を実現させたいところなのですが、現実問題それは非常に困難です。
理由は以下2つ。


1.時間的問題
遊戯王はマッチを40分に定めたゲームです。
そこに更にエキストラターン及びエキストラデュエルを行う時間が加算され、集計時間も含めれば短く見ても60分の見積もりは絶対です。
設営・受付・開始前説明等、諸々の準備をこなし11時に1回戦を開始し、一般的な会場の閉場時刻である21時まで大会を開催する場合、試合に確保できるのは10時間程度。
どれだけ円滑な進行が図れたとしても10回戦が限度で、かつ大小のトラブルを考慮すれば現実的には8回戦か9回戦が目安となります。
ここに追加して考えなければならないのが「予選ボーダー」との関連性で、参加者のキャパシティは運営の管理能力や会場収容者数だけでなく、1日でこなせる現実的なラウンド数に大きく影響します。
多くの参加者を募るのならば、上位を選出するに必要十分な消化を図れるラウンド数が必要となります。
64チームの募集なら、本来は予選のスイスドローを6回戦程度こなすのが好ましいです。


2.人的問題
多くの参加者を管理するにはそれなりの人数を要します。
また問題の発生も伴って増加するものと思われますから、的確な判断を行える運営者がもっと必要になってきます。
正直な話、JCSの運営は僕個人の能力に大きく依存している面があり、この状態からこれ以上の拡大を計画するのはまず無理です。
僕の指揮では現在の人数が限界であり、それ以上考えられません。
人材の確保もまた一苦労で、現状界隈において優秀な判断力を持つ者はプレイヤーに多く、そうした者はイベント自体への参加を希望するケースが多く声をかけ辛いのが実態です。


JCSは夏・冬の年2回開催を目標としています。
大会運営の質の向上はもちろんのこと、行く行くはこの辺りの問題にも着手できればと考えています。

大会レポート - ナイフCS(第1回)(2012.6.30)

「なんで君ヴェーラー持ってるの?」
A:J-SPEED(ヒーロービート)
B:グロス(甲虫装機)
C:次元幽閉(ヒーロービート)


1回戦@ヒーロービート


1本目
序盤の攻防でアドバンテージを少しずつ稼ぎ出し、アド差2:0の状態で消耗戦へ。
ただここからの相手のトップがミラクル⇒バブルと非常に強く、残していた警告・宣告を使わされ窮地。
雲行きが怪しくなってきたところでこちらもようやくミラクルをトップ、32シャイニングで押し込んで勝ち。


2本目
忘れてしまいました。とりあえず勝ちです。


個人:○○−
チーム:○×○




2回戦@ヒーロービート


1本目
相手の2伏せに合わせてこちらも2伏せを敷いたところ、謙虚⇒生還とめくられた後手札から大嵐!やられた。。
アドバンテージで勝つ見込みが消えたので超融合2回でひたすらデカイモンスターを立てライフで押すプランへ。
最後のシャイニングが対処されず押しきって辛勝。


2本目
忘れてしまいました。勝ちです。


個人:○○−
チーム:○○○




3回戦@聖刻


1本目
相手が欲張り中にドローしてしまい、ジャッジ協議の末デュエルロスに。


2本目
ガバ伏せ。突破されずに勝ち。


個人:○○−
チーム:○○○




4回戦@甲虫装機(ぜろくん)


1本目
Dにヴェーラーを使用され、返しクリッター反転からセンチピードにボコられる。場に残していたDを破壊しながらライフを取り、センチの効果は通してエンド。
その返し、超融合でセンチピードを吸いつつミラクルシャイニング、バトルフェイズを宣言。
何もなければ2枚目の超融合を用いてワンキルだったものの、気付かれて2枚目のヴェーラーでお通夜。
仕方なく取れるだけダメージを取りながら超融合伏せてターン終了。
開闢・蘇生・大嵐・サイクロンのどれがあってもダメなので負けを確信するも、運良くどれも無しでダンセルに対する超融合が通って勝ち。


2本目
ひたすら除去を当て続けて虫の効果を通させず、相手が虫を諦めてリバイスドラゴンのビートダウンに切り替え。
これを守るべく3伏せを行ってきたので、初手から温存の大嵐。宣告されるも手札には蘇生・サイクロン・神の宣告の3枚。
嵐を打ち込んだ際墓地を確認されたので予言の影がちらつき、やむなく安定取ってサイクロン宣告の2枚をセット。
バイスドラゴンのアタックを受けた後、蘇生エアーマンから動きだそうとしたところでトップが超融合。
エクシーズで処理しつつ超融合を残すか相手のトップの開闢をケアするかで悩んだ結果、後者を選択して超融合でリバイスを吸いながらアブソルートZero。
アタックを決めて相手トップの1枚で回答を求める状態、虫は揃っていないので本当に開闢だけだが…おもむろに墓地を掴みだし、開闢。w
ただライフが600なので奇跡的に100残り、Zeroの効果で開闢を退けた返しのドローがミラクフュージョン!!


個人:○○−
チーム:○○○




5回戦@ヒーロービート(A1くん)


1本目
じっくりゲームを進めていたつもりが、謙虚でこちらが蘇生を回収した後相手が突如ぶっぱ気味に動きだし、大型2体+1伏せの場となる。
こちら攻め手が豊富にあったので相手の伏せをどう使わせようか考えながら、手始めに蘇生で相手のエアーを宣言するとここに警告。
ラクルでガイア出して警告で減ったライフを詰め。


2本目
序盤の攻防を上手く捌き手札・場の質共に悪くない状態。
ただモンスターがアナザー単騎で回り続けている状態で、クロウないしは予言で詰みかねないと懸念していた矢先、ヒーローブラストに対して痛恨のクロウ。
モンスターが潰え、相手のアタックをひたすら受け続ける展開に。
相手のアナザーを1体女戦士で除外するもすかさずエマコが発動され、モンスターを供給。
そのままリンチを受け、2体目を引いた頃にはライフもアドバンテージも手に負えない状態で負け。


3本目
除去の当て合いで、互いにライフがそれほど削れていない状況でエキストラターン突入。
これを受けて相手2伏せで構えるも、こちら嵐持ちで一気に優勢。
エアーマンで一撃入れつつ同様に2伏せで返し、相手のアナザーのアタックを念のため超融合で吸い込んで詰み。


個人:○×ET○
チーム:○××




6回戦@聖刻


1本目
ガバ伏せ、が嵐食らって崩壊。
めげずに一応のバックアップで残しておいた伏せを敷きつつゴーズトラゴ無視しててひたすらビートダウン。
なんとか殴り切れて勝ち。


2本目
ガバで迎え撃つも、除去の総数が足りずに攻め崩されて負け。やむなし。


3本目
再びガバ。
攻め手と除去の枚数が5分で、互いのリソースを使い尽くすもこちら手札温存のミラーフォースが残留。
これを盾にひたすらモンスターを繰り出しては殴り続け、相手が2陣を築く前に押しきって勝ち。


個人:○×○
チーム:○○○




5−1で予選通過。




7回戦@甲虫装機(まさぽーん)


1本目
相手が謙虚連発のスロースタート。
除去の応酬で虫の効果を通させないように立ち回り、相手これを崩せず勝ち。


2本目
1本目同様除去を当て続けるが、ヴェーラーがなかなか来ず想定外の攻め手に保険が効かない状態。
そうこうしている間に蘇生を当てられ遂に虫の効果が通るが、相手リソースが付き始めていたためゼンマインで固めの構え。
こちらそれに応じてじっくりと場を組み立て、崩しの手はずを慎重に整える。
用意ができたところで一気に動き出し、アナザー召喚⇒自分から激流⇒デュアスパを相手の1伏せへ⇒チェーン月でゼンマインを裏と仕掛け、場が空に。
ラクフュージョン叩きつけて勝ち。


個人:○○−
チーム:○○△




8回戦@ヒーロービート(A1くん)


1本目
相手ガバ伏せのところへゴーズ。
警告されず場に出たのですかさずトークン共に縦に向けて攻撃宣言。
デュアスパヒロブラのコンボで捌かれるものの、使った除去は返ってこないので良好な状態。
残りも伏せも徐々に剥がしていき、詰め切って勝ち。


2本目
初手の謙虚でオネストを回収されたので、押しこまれないようにライフ維持に努めつつ伏せを厚めに敷く。
途中嵐で一気に突き放されるも、エクスカリバー単騎でターンが返ってきたので超融合で吸い取ってのシャイニングパンチで凹んでいたライフを削り切って勝ち。


個人:○○−
チーム:○○−




9回戦@甲虫装機(みのりん


1本目
序盤テンポよく除去を当て続けてアドバンテージ・盤面共に優位を築くも、2枚目のモンスターがなかなか引けず相手のガラ空きの場を攻めれないもどかしい場面。
その上ドローの内容が超融合2枚・デュアルスパーク2枚ともはやヒロブラを構える意味もなくなってしまい、仕方なくヴェーラーを引けたのを契機にヒロブラでアナザー回収からビートダウン。
ホーネットギガマンティスの仕掛けを月でいなし、ターンが返る。
ただここでもまだ追加のモンスターを引けず、仕方なくホーネットを除去してターンを返すと今度はダンセル。
デュアルスパークを当てにいったところで待ってましたと言わんばかりに聖槍。
このままでは伏せのサイクロンがホーネットの的となってしまうため仕方なく聖槍に対して打ちこみ。
ターンさえ返って来ればミラクル超融合で返す目ありとされた中、3枚目のギガマンティスが装備されて惨敗。
待ってるターンの中でモンスターか除去1枚引けるだけで勝てていただけに悔しい。


2本目
モンスターが1枚も引けない状況で最序盤からダンセルホーネットでプレッシャーをかけられ、明鏡止水装備でダンセルが不死化。
仕方なくこれの処理は先送りとし、予言でホーネットを戻すも手札からすかさず2枚目が装備される。
さらにギガマンティス装備、蘇生もアリと対抗できる術が無くなり、負け。


個人:××−
チーム:×○×




個人8−1、チーム7−2で2位でした。