現環境における墓守猫と猫剣のマッチングについて

新制限まで出回っているのに今更感ありますけど、まとめてきな意味合いで。


まず、僕が思う相性の比率は4:6で猫剣優位。
環境の始めにこそ存在した光アンデ・次元剣闘獣なんていう罠を主体としたデッキは、
墓守猫側の有する、墓守らが誇る高いディフェンスラインに、ほぼマスカン対象の大寒波により消滅。
いくら寒波に耐性のあるスキドレや裂け目を積んだところでそれ以外のほとんどの要素で構築的に劣っており、
大嵐を後押しする黄金櫃の存在も拍車をかけた形。
こんな状態では罠デッキが日の目を浴びる事など到底考えられないと思われていた最中、突如台頭しだしたのが猫剣。
猫剣がこの寒波の飛び交う環境で罠デッキとして成立できている理由は大きく分けて5つ。


まず第一に「猫である」こと。これが一番大きい。
多くの罠デッキは大寒波に対して非常に脆く、寒波の「2ターンに分けたフィニッシュを目指せる」という特性をモロに受けやすく、
寒波中の大型シンクロモンスターに対する回答が無いに等しい状態。これでは勝てない。
しかしながら、その返しの弱さを克服したのが猫剣。猫の対応力に関しては言わずもがな。
この脅威が中途半端な仕掛けを許さない。
かといって必要手をそろえるべく溜め込みすぎればヘラクが立ってその寒波すら通らない。
必然的に早い仕掛けが必要になり、その無理な仕掛けが他の罠を活性化させる。
また、よく猫剣は剣闘獣に猫が入ったデッキとして紹介されていますが、これは僕が思うに間違いです。
「剣闘獣の動きもできる猫」が正しい。基本は猫であるというのが持論。
最近の猫は墓守猫が一般化している所為でワンキルデッキとしてのイメージが非常に大きいのですが、
本来の猫はエアベルン・アーカナイト・貪欲の3種アドバンテージカードを軸に戦っていくデッキで(これができない人は勝負所で弱い)、
猫剣の動きは原点のここに回帰し、着実にこれをこなしている印象。


第二に「単一での性能差」。
墓守猫にはダムド・ベルン・ブラパン・ラッコ・寒波・ハリケ・貪欲とデッキが機能した際に始めて効力を発揮するカードが多く搭載されており、
「事故」と背中合わせの構築である事が否めません。
その反面猫剣は単品でも十分な働きが期待できるカードでデッキの大半が閉められており、
高い安定性を有していると言えます。


第三に「伏せに対するプレッシャー」。
墓守猫には罠カードが基本5枚程度(4〜7が標準だと僕は考えています)積まれていて、
その数は決して多くはありません。ここに月の書を加えて8枚かそこら。
この枚数では相手の仕掛けに対し毎度毎度迎撃体制を敷けるかは疑わしいところ。
そこを俗に言う「ブラフ」で交わす訳ですが、剣闘獣にはベストロウィ・ガイザレスと伏せに干渉する手段が多く、
特にベストロウリィは他の剣闘獣から容易に呼び出す事ができるので、
安直にブラフのセットを行うとたちまちアドバンテージ差を広げられてしまう事になります。
当然剣闘獣側もベストロウリィが制限カードに指定されている今の環境では奈落のリスクとで天秤にかける事になる訳ですが、
月の書・神の宣告(稀に収縮・激流葬)と逃げ道も用意されており、迎え撃つ側が厳しいのに変わりはありません。


第四に「ナチュル・ビースト」の存在。
これは猫を使うデッキ全ての強みですが、罠を主体とするデッキにおけるナチュルビーストの存在は他の猫の比ではありません。
特に猫剣においては神の宣告・戦車と強力なサポート手段が多く、有効な伏せカードも多いのでこれを突破するのは非常に困難だと言えます。
今の墓守猫にはデッキの半分にさしかかろうかというぐらいの枚数魔法が積まれている上に、
大寒波・大嵐・ハリケの強力な伏せ除去をノーコストでシャットアウトできるのだから弱い訳が無い。


最後に、「表舞台に出てきてまだ間もないデッキである」と言う事。
環境前半に行われた東海チャンピオンシップやネット上の大会(mh杯)あたりでちょくちょく成果を残していたものの、
研究対象にまでは至らず終いで、墓守猫に対する強い耐性を評価されて最近注目を浴びたデッキですから、
明確な対処方法を把握しているプレイヤーが少ない事が挙げられます。
勿論今現在では大規模非公認大会で結果を残した事もあってある程度対策が進んではいますが、
環境頭から5ヶ月もの間トーナメントシーンを席巻し続け構築も固定化されているデッキと比べれば対策の完成度は疑わしいものです。




という感じでまとめてみました。
これだけ見れば猫剣闘獣こそ完全無欠、最強のデッキなのだと思えてしまいがちですが、
当然デメリットも存在し、代表的なのは引きのバランス、です。
引きのバランスというのはほとんど全ての罠デッキに対して言える罠デッキの最重要命題で、
「モンスター」と「魔法罠」の両者を程よいバランスで引いて来ないと辛い戦いを強いられやすいと言うこと。
こんな事は全てのデッキに対して言えそうな事なのですが、罠デッキではモンスターの維持と相手の攻撃手段を捌ききる防御策の全てを成立させないと勝利が遠ざかってしまうためにこの問題がより一層深刻なのです。
もうひとつの「限界」ですが、これは多くの罠カードが1+@:1交換を原則にデザインされている事に起因します。
「1+@」というのは、多くの罠カードには発動条件が規定されており、その発動条件で何かしらの「損」が出てしまう可能性を示しています。
わかりやすいところで言えば神の宣告はライフを半分失いますし、サンダーブレイクは手札を1枚捨てます(中でも効果を無力化するカウンターカードは性質上デザインが厳しめになっています)。
わかりづらいところで言えば奈落の落とし穴は攻撃力が1500を上回る数値を持つモンスターが召喚された際初めて1:1交換を成立させますし、
次元幽閉は攻撃宣言を受けて同様、となります。
発動機会が訪れない各カードはある種潜在的にアドバンテージを失っている、というのが僕の考えで、
言ってしまえば全てが相手の手札が4枚に達しないダストシュートのようなものです。
激流葬やミラーフォースなどの一部のカードを除いて、罠は原則1:1交換かそれ以下であり、発動によってアドバンテージを発生させることが稀で、
多くの場合ここにモンスターの効果や戦闘を絡めてアドバンテージの獲得(ライフアド含む)を狙っていく事になります。


他にも「相手と同じぐらい強力なハンドを抱えた際劣ってしまいやすい」という問題があるのですが、これはうまく文章化できませんでした…上で言ってる事もぐちゃぐちゃでまことに残念ながら伝わる気がしません。。
もっと積極的にもの書いて普段から慣らしていきたいところなんですけど、
大規模非公認が頻繁に開催されるここ最近ではそれに参加していく以上自分に不利がつくようなことはできませんね…


またJAPAN CUP終わった頃にでも環境総括やろうと思います。