CS総括 part3
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part1 http://d.hatena.ne.jp/jspeed/20101017#1287308750
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デブリダンディ
環境初頭にトーナメントシーンを席巻していたこのデッキも随分と鳴りを潜め、トーナメントシーンでのシェアを著しく狭める結果となりました。
8月末に開催されたISDCSで8勝0敗の好スコアをマークし鮮烈なデビューを果たした「クイックダンディ」ですが、その強烈な印象ゆえに多くのプレイヤーが着手し、爆発的な広まりを見せた結果、的確なメタ解析が進み《魔のデッキ破壊ウイルス》を筆頭とする致命的なメタカードが広く普及し始め、徐々にトーナメントシーンから姿を消していきました。
しかしながらここ9月に入るとEXP3で新戦力となる《素早いビッグハムスター》を獲得する事で新たな活路を見出し始めました。
そして今回の関東CSで7勝1敗の好成績をマークし、成功を収めたのがこちらのタイプ。
今回チームを組む事になったメンバーのもので、隣で見ていても非常に良い動きをしていたと思います。
関東CS3位/トビ モンスター(24枚) 冥府の使者ゴーズ 素早いビッグハムスター×2枚 深海のディーヴァ×2枚 邪帝ガイウス×2枚 魂を削る死霊 ローンファイア・ブロッサム×2枚 ライトロード・ハンター ライコウ×3枚 トラゴエディア デブリ・ドラゴン×3枚 ダンディライオン×2枚 スポーア スノーマンイーター シー・アーチャー グローアップ・バルブ カードガンナー 魔法(11枚) 貪欲な壺×3枚 大寒波 死者蘇生 光の援軍 ブラック・ホール ハリケーン サイクロン×2枚 おろかな埋葬 罠(5枚) 奈落の落とし穴×2枚 聖なるバリア−ミラーフォース− 激流葬 リビングデッドの呼び声 エクストラデッキ A・O・J カタストル C(チェーン)・ドラゴン アームズ・エイド エンシェント・フェアリー・ドラゴン ギガンテック・ファイター ゴヨウ・ガーディアン スクラップ・ドラゴン スターダスト・ドラゴン フォーミュラ・シンクロン×2枚 ブラック・ローズ・ドラゴン マジカル・アンドロイド 氷結界の龍 グングニール 氷結界の龍 トリシューラ 氷結界の龍 ブリューナク サイドデッキ BF−暁のシロッコ×2枚 D.D.クロウ×2枚 我が身を盾に 次元幽閉×2枚 天罰×3枚 転生の予言 盗賊の七つ道具×2枚 霊滅術師 カイクウ×2枚
通常のタイプと比較し、まず目につくのがこの《深海のディーヴァ》です。
ビッグハムスターとのシナジーを評価して搭載されたこのカードには幾つが強みがあり、この召喚から《シー・アーチャー》をサーチする事で簡単に《氷結界の龍 トリシューラ》にアクセスする事が出来ると言うのは容易に想像がつく事だとは思いますが、《ローンファイア・ブロッサム》から《ダンディライオン》を繰り出した際、相手プレイヤーが《デブリ・ドラゴン》からの展開を嫌い攻撃を敬遠するとディーヴァ⇒ディーヴァと繋ぐ事でレベル5経由のトリシューラをお見舞いする事も出来ます!
一方のデブリドラゴンも3枚搭載のカードであり、どのアクションを取ろうが最終的にトリシューラに導く事が可能という状況珍しくありません。
《クイック・シンクロン》を取り払いそのスペースをディーヴァに当てた形となっているこのデッキにおいては《ドリル・ウォリアー》のような強力なフィニッシュ手段は存在せず、前述したトリシューラの他《貪欲な壺》のようなアドバンテージカードを絡めて地道なビートを繰り返す事が勝ち筋となっているため、トリシューラを召喚するルートは多ければ多いほど都合がいいのです。
また、勝ち筋という面で言えば新たにメイン搭載が図られているこの《邪帝ガイウス》も非常に強力な1枚です。
クイックシンクロンを採用しないタイプにありがちな「打点不足」の問題を解消してくれる貴重な戦力で、ビッグハムスターによるモンスターの補強はこのガイウスの召喚にも貢献しており、《クイック・シンクロン》を外す事で低下した決定力の低さを全体の調和で軽減しています。
しかしながら、いざという時の返しの力が今一つ足り無くなる事も多く、ライコウの墓地落としに期待してしまう場面も少なからずあるのでこの受けの弱さは今後の課題と言えます。
また、デブリダンディをベースとしている手前やはり魔のデッキ破壊ウイルスの脅威に脅かされる事になるのですが、今回はその点をサイドに工夫を凝らす事で解決を図っています。
メタの定番となりつつある《盗賊の七つ道具》に加えて、今回は《BF-暁のシロッコ》を採用しています。
構築内容に関する相談を受けた際、やはり魔デッキによる壊滅が敗因の一つとして上がっていた事情を踏まえ、僕からはこのシロッコを推す事にしました。
前述した《盗賊の七つ道具》や《王宮のお触れ》《トラップ・スタン》といったカードも悪くは無いのですが、相手よりも早く、事前にセットして準備を済ませておく事が前提となっていて、これを引きいれるよりも早くに魔デッキを発動されてしまったり、ゴッドバードアタックのようなカードで「使わされてしまった」場合干渉する事が出来なくなってしまう他、罠専用の「受けの1枚」であるため腐ってしまう状況も多く、現在魔デッキの発動を狙って行けるデッキがBFである事を考えると、魔法罠に頼らずとも展開力を活かした速攻でゲームを落としてしまう可能性も否めず、万能なメタではないと判断されました。
実際その手のカードが有効なのであればここまでデブリダンディが廃れてしまう事はないはずです。
そこで、後出しが間に合う攻撃力1600以上のモンスターを念頭に置いて考えを進めた結果、シロッコを選定しました。
魔デッキは発動に闇の攻撃力2000以上のモンスターをコストに必要としているため発動後は戦力の低下が否めず、この攻撃力2000の集約効果持ちは大きな脅威になりえます。
また、魔デッキを発動された後はいかにして3ターンを経過させ《貪欲な壺》まで結び付けるかがゲームの鍵を握る事が多く、打点の高さ、すなわち継続的な脅威はこれに最適で、相手が無理をしてまで発動に結び付けてきていた場合は相手側が次なる攻め手を準備するよりも早くにゲームを決定づけてしまう事も可能になります。
状況次第では相手の魔デッキの発動に使われたシロッコを《死者蘇生》で悪用してのワンショットキルというのも狙いの一つになっています。
墓地BF
関東CS3位/J-SPEED モンスター(21枚) 冥府の使者ゴーズ 終末の騎士×3枚 ネクロ・ガードナー ダーク・グレファー×3枚 ダーク・アームド・ドラゴン ゾンビキャリア カードガンナー D.D.クロウ×3枚 BF−大旆のヴァーユ×3枚 BF−疾風のゲイル BF−暁のシロッコ×3枚 魔法(8枚) 増援 死者蘇生 強欲で謙虚な壺×3枚 異次元からの埋葬 闇の誘惑 ブラック・ホール 罠(11枚) 魔のデッキ破壊ウイルス 奈落の落とし穴×2枚 聖なるバリア−ミラーフォース− 神の宣告 激流葬 王宮の弾圧 異次元からの帰還 ゴッドバードアタック×3枚 エクストラデッキ A・O・J ディサイシブ・アームズ BF−アーマード・ウィング×2枚 BF−アームズ・ウィング×3枚 BF−孤高のシルバー・ウィンド インフェルニティ・デス・ドラゴン キメラテック・フォートレス・ドラゴン ゴヨウ・ガーディアン スクラップ・ドラゴン スターダスト・ドラゴン ダークエンド・ドラゴン ブラック・ローズ・ドラゴン 氷結界の龍 ブリューナク サイドデッキ サイクロン×2枚 サイバー・ドラゴン×2枚 ドッペルゲンガー×2枚 ハリケーン レインボー・ライフ×3枚 我が身を盾に 天罰×3枚 魔のデッキ破壊ウイルス
《BF-大旆のヴァーユ》がリリースされて以来長い間存在しているデッキタイプ「墓地BF」。
イマイチ力強さに欠けるイメージのあるこのデッキですが、それもそのはずで、とにかくデッキパワーが低いのです。
多くの主流デッキに見られるわかりやすいアドバンテージ獲得手段が存在せず、方や《終末の騎士》に《ダーク・グレファー》、複数積まれた《D.D.クロウ》に《BF-大旆のヴァーユ》と失うにはとても簡単で、何を強みとしているのかが分かりづらい面があります。
一体どのようにして勝利に漕ぎ着けるのか。
《ダーク・アームド・ドラゴン》や《ブラック・ホール》《異次元からの埋葬》、《聖なるバリア−ミラーフォース−》《激流葬》のような1体複数の交換を狙える強力な制限カードを除けば、このデッキでアドバンテージを叩きだす方法は戦闘破壊に他なりません。
ヴァーユを介した《BF-アームズ・ウィング》による2300打点で軒並みの下級を葬りアドバンテージ差でゲームを優位に進めるのを狙いに置いたのがこのデッキです。
墓地BFを使いこむか、たくさん相手をした事のあるプレイヤーにとっては常識的な事ですが、案外この事を知らないプレイヤーは多く、どのタイミングが勝負どころとなっているのかを判別しきれていない節があります。
送り出した2300打点でゲームを優位に進め、危なくなれば《ゴッドバードアタック》で場を崩しながら墓地に逃がし、《終末の騎士》や《ダーク・グレファー》で追撃を行うのが基本スタイルになっています。
しかしながら、《終末の騎士》も《ダーク・グレファー》も単体のステータスは決して高くなく、簡単に戦闘破壊を狙われてしまう上に、この他にも《D.D.クロウ》や《BF-大旆のヴァーユ》のように損をしやすいカードが多くあり、気付いたら膨大なアドバンテージ差がついていたという事も珍しい事ではなく、とても扱いに難のあるデッキです。
また、各カードの役割がハッキリしているため、特定の役割のカードが手札に集中してしまうと途端に動きが不器用になり相手に一方的に動かれてしまい、窮地に陥るケースもよくあります。
良好な初手に恵まれている場合でも、その後のドローで徐々に調子を落としてしまう事も考えられ、上手く除去を当てながら粘り強く戦う必要があります。
とにもかくにも繊細なデッキであり、制限の内容次第で事細かに構築を変えながら細々と生き残り続けていたのですが、ここ最近になって非常に強力な新戦力を手に入れました。
《強欲で謙虚な壺》です。
今やほとんどのデッキに採用され、高い汎用性で知られるこのカードですが、前述したように各カードの役割がはっきりしているため、3枚もの選択肢を示した上でその中から最善を選べるこのカードは墓地BFに非常によくマッチしていると言えます。
ここ最近僕自身も墓地BFを愛用している訳ですが、デッキ自体はこのカードが登場した前環境の時点で構築しており、熱心に調整を重ねていたのですが、残念な事に当時メタの一角を担っていたインフェルニティの暴力的な展開についていけず、調整を放棄してそのインフェルニティに移行しました。
現環境に入ってからの構築は当時のものを流用した形になっていて、3枚積まれた《D.D.クロウ》はその名残でもあります。
何はともあれ《強欲で謙虚な壺》を手に入れた今の墓地BFは飛躍的に安定感が向上しており、上で列挙した「戦闘破壊以外のアドバンテージ獲得手段」である強力な制限カードにもアクセスしやすくなっていて、上手くデッキに調和していると言えます。
現在メタの対象であったデブリダンディ系列のデッキが減少し、デュエリストパッククロウ編で《BF-精鋭のゼピュロス》を得たところで、次期パックからは強力な真六武衆シリーズのリリースが控えられているため、構築自体は転換期を迎えていると言えます。