墓地BFのススメ・後編 - 其の三

其の一 http://d.hatena.ne.jp/jspeed/20101123#1290510665
其の二 http://d.hatena.ne.jp/jspeed/20101124#1290543614

3.マッチにおける2本目以降の考え方

冒頭で述べた先二項の解説は終わりました。
2本目以降の基本的な考え方は至ってシンプルで、「負けパターンを減らし勝ちパターンを増やす」事です。
その手段は各デッキ毎に異なっていますが、ここでは本来予定していた墓地BFのそれについて書きながら、サイドチェンジの仕方及びその狙いについて書いて行きたいと思います。


という訳で、今回取り上げるのは僕が先日のISDCSで使用したこちらのリストです。

モンスター(18枚)
冥府の使者ゴーズ
終末の騎士×3枚
ネクロ・ガードナー
ダーク・グレファー×3枚
ダーク・アームド・ドラゴン
ゾンビキャリア
カードガンナー
BF−大旆のヴァーユ×3枚
BF−疾風のゲイル
BF−暁のシロッコ×3枚

魔法(10枚)
増援
死者蘇生
強欲で謙虚な壺×3枚
異次元からの埋葬
闇の誘惑
ブラック・ホール
サイクロン×2枚

罠(12枚)
魔のデッキ破壊ウイルス
奈落の落とし穴×2枚
聖なるバリア−ミラーフォース−
神の宣告
次元幽閉×3枚
異次元からの帰還
ゴッドバードアタック×3枚

エクストラデッキ
A・O・J ディサイシブ・アームズ
BF−アーマード・ウィング×2枚
BF−アームズ・ウィング×2枚
BF−孤高のシルバー・ウィンド
インフェルニティ・デス・ドラゴン
キメラテック・フォートレス・ドラゴン
ゴヨウ・ガーディアン
スクラップ・ドラゴン
スターダスト・ドラゴン
ダークエンド・ドラゴン
ブラック・ローズ・ドラゴン
氷結界の龍 トリシューラ
氷結界の龍 ブリューナク


そしてこちらがサイドデッキ。

A・ジェネクス・クラッシャー
D.D.クロウ×3枚
サイバー・ドラゴン×2枚
ドッペルゲンガー×2枚
ハリケーン
王宮の弾圧
閃光を吸い込むマジック・ミラー
天罰×2枚
魔のデッキ破壊ウイルス
霊滅術師 カイクウ

内容に関しての解説はこちらの記事で紹介しているので参照してみてください。


「対罠型旋風」

−1 ダーク・グレファー
−1 終末の騎士
−1 増援
−1 異次元からの帰還
(−1 魔のデッキ破壊ウイルス)(後攻)
+1 サイバー・ドラゴン
+1 霊滅術師 カイクウ
+1 ドッペルゲンガー
(+1 A・ジェネクス・クラッシャー)(先行)
(+1 サイバー・ドラゴン)(後攻)
(+1 ドッペルゲンガー)(後攻)


少しわかりにくいかもしれませんが、カッコ内のカードは書かれたタイミングの時のみアウト・インします。
調整段階で旋風BFに対する敗因をまとめた際、《終末の騎士》や《ダーク・グレファー》を過剰に引くと召喚権が不足し、打点の低さも相まってグイグイと押されてしまうという事がわかりました。
このマッチアップにおいては《BFー蒼炎のシュラ》の存在が非常に重要で、この効果の発動の有無が勝負の分かれ目になっていると言っても過言ではありません。
よってサイドチェンジ後は上記下級の数を減らす事で、《サイバー・ドラゴン》や《A・ジェネクス・クラッシャー》のようなステータスが高いモンスターを多く採用し、戦闘面での相性差を埋めるところから始めるます。
特に《サイバー・ドラゴン》は打点と召喚権の両方の問題を解決してくれる非常に優秀なサイドカードです。
ドッペルゲンガー》は自分からセットを行っていく先行では使いにくいカードですから、先行時は投入を1枚に抑えています。
逆に《A・ジェネクス・クラッシャー》は裏守備から入る必要があり効果の発動にはワンテンポのラグが発生するため、余裕のある先行時のみ投入を行っています。
先行と後攻の差はとても重要で、このようなテンポ面を意識する必要もあれば、《天罰》のようなコストを要するカードの採用にも関わってきます。
先行は単純に手札が一枚多い状態からゲームが開始されるため、コストの必要なカードも比較的使いやすいでしょう。


サイドチェンジ後はとにかく相手の伏せに気を配り、《転生の予言》や《異次元への隙間》を回避するように努めます。
これらのカードは先出しが必須ですから事前にセットされている事が多く、またこれだけでは防御面に不安があるため他のセットを併用する傾向があります。
ここを《ドッペルゲンガー》できるとゲームがぐっと楽になりますので、タイミングを見極めて上手くこれを成就させる事が2本目以降の鍵になります。
また、それら2種の罠カードに加えクロウなど墓地リソースに対する強烈なメタが予想されるため、極力墓地に依存した展開は避けるように努めるべきです。




「対櫃型旋風」

−1 終末の騎士
−1 ダーク・グレファー
(−1 聖なるバリア−ミラーフォース−)(先行)
(−1 魔のデッキ破壊ウイルス)(後攻)
+1 霊滅術師 カイクウ
+1 D.D.クロウ
(+1 サイバー・ドラゴン)(後攻)
(+1 A・ジェネクス・クラッシャー)(先行)


入れ替えはほとんど必要ありません。
このマッチアップは墓地BF側がかなり有利です。
比較的守りが薄いのでグレファーアームズの4000が通りやすく、返しを奈落や幽閉でいなせれば最速2ターンでゲームが終わりますし、《封印の黄金櫃》の発動は一時的にアドバンテージを失うため上手くこの隙をつければかなり早い段階でゲームを決定付ける事もできます。
前編で紹介した必殺コンボが決まる場面もちょくちょくあるので積極的な仕掛けを図っていくのもアリです。
ただし一つ注意点があり、このチェンジは対戦相手のデッキタイプが罠カードが5枚程度の初期型櫃旋風に関しての場合に限った事で、後期型の《次元幽閉》のようなカードを採用したセットカードを多用してくるタイプのものに関しては先に挙げた「罠型旋風」に対するチェンジと同じで構いません。
罠を多めに採用している場合は《封印の黄金櫃》が入っていようが入っていまいが「罠型」に違いは無いので《封印の黄金櫃》の存在は無視して考えても支障はありません。
強いていうなら《大寒波》を頭の片隅に留めておく必要がある程度でしょうか。櫃型旋風は勝ち筋を《ダーク・アームド・ドラゴン》《BF−極北のブリザード》に頼り切っているので《霊滅術師 カイクウ》《次元幽閉》《奈落の落とし穴》が程良く刺さります。
相手モンスターを墓地に送らないように努める事で非常に楽にゲームを進める事ができるため、その意向に合わない《聖なるバリア−ミラーフォース−》は必要がなくなる訳です。
ただし、後攻の場合は速攻の物量で押し切られてしまうケースがあるためこの時はメインデッキに残しておきます。




「対デブリダンディ」

−1 冥府の使者ゴーズ
−3 次元幽閉
−2 奈落の落とし穴
−1 聖なるバリア−ミラーフォース−
−1 異次元からの帰還
+1 霊滅術師 カイクウ
+3 D.D.クロウ
+2 天罰
+1 王宮の弾圧
+1 魔のデッキ破壊ウイルス


メインの《次元幽閉》分不利があるためサイド後は8枚と少し多めの入れ替えで優位の確立を目指します。
抜いたカードはどれも発動タイミングの限られた受けのカードばかりで、これは《ライトロード・ハンター ライコウ》やサイドデッキからの投入が予想される《王宮のお触れ》や《トラップ・スタン》《盗賊の七つ道具》にテンポを取られないようにするためです。
この入れ替えのポイントは「相手の投入してくるカードに当たりをつけて的確な用意をしておく」ことです。
抜いたカードもそうですが《サイクロン》が残されているのは先に挙げた《王宮のお触れ》を始めとするメタカードへの警戒を怠らないためで、仮に1本目に相手プレイヤーが全くセットカードを行ってこずに《サイクロン》が浮いてしまっても、これを抜いてしまう事は大きな間違いです。
自分同様相手プレイヤーもサイドチェンジは行うのですから、この点はよく踏まえておきましょう。
サイドチェンジ後はメタカードのぶつかり合いになる事もしばしばありますので、事前に「何をされそうか」をしっかり考えておく必要があるでしょう。




「対ライトロード」

−2 ゴッドバードアタック
−3 次元幽閉
−1 聖なるバリア−ミラーフォース−
−1 異次元からの帰還
(−2 サイクロン)(デブリライロの場合のみ)
(−1 魔のデッキ破壊ウイルス)(デブリライロの場合は残留)
+1 サイバー・ドラゴン
+1 霊滅術師 カイクウ
+2 天罰
+1 王宮の弾圧
+1 閃光を吸い込むマジック・ミラー
(+1 サイバー・ドラゴン)(デブリライロの場合は無し)
(+2 D.D.クロウ)(デブリライロの場合のみ)


ライトロードとのマッチアップで最も気をつけるべきポイントは《ライトロード・マジシャン ライラ》です。
一つのアドバンテージを重要視する墓地BFにとってこのカードの破壊効果は天敵です。
またライトロードとの対戦は全デッキ中最も相性が悪いとも言えるレベルで、ライトロードモンスターはさほど気に止める存在ではないのですが、《裁きの龍》《カオス・ソーサラー》と単体でアドバンテージを稼ぎだすモンスターが多く、強みである《ゴッドバードアタック》を減らさなければならないからです。
発動できたとしてもどうしても損をしてしまいがちで、少なくとも得をする場面はほとんどないため悩ましい展開に苦しめられる事でしょう。
オネスト》の存在も驚異的で戦闘破壊をアドバンテージ獲得の軸としている墓地BFでは非常にやりづらい相手なんです。
また各種ライトロードモンスターや《ソーラー・エクスチェンジ》《光の援軍》で《ライトロード・ビースト ウォルフ》を始めとする墓地アドバンテージが発生し始めるといよいよ手に負えなくなります。
こうなってくると隙を突いて《天罰》のようなカードでバックアップを図りながら少々突っ走り気味に押していく他なく、デッキの趣旨と矛盾してしまうためとてもやりにくい相手です。
覚悟を決めて《A・O・J ディサイシブ・アームズ》の一撃に期待するのも有効とされるぐらいで、特に相手が純正タイプのライトロードなのであれば積極的に狙ってしまってもいいぐらいです。
オネスト》や《裁きの龍》に怯えて消極的展開を繰り返すよりはいくらかマシのはずですから。
《A・O・J ディサイシブ・アームズ》の召喚は《BF−暁のシロッコ》《終末の騎士》《ダーク・グレファー》の3枚を手札に揃え《ゾンビキャリア》を墓地に送る事で達成でき、《ダーク・グレファー》で捨てるコストが《ゾンビキャリア》か《BF−大旆のヴァーユ》であればそのまま《BF−アームズ・ウィング》を生成できるのでバーンダメージと合わせてそのターン中に勝利する事も可能ですよ!
ただどのくらいのダメージが入るかなど「運」以外の何物でもないためここに踏み切るには相応の覚悟が必要です。墓地BFが手札の全てを捨てると言うのは多大なリスクを背負う事になりますからね。




「対ヒーロービート」

−2 終末の騎士
−1 ダーク・グレファー
−1 増援
−1 魔のデッキ破壊ウイルス
−1 異次元からの帰還
+2 サイバー・ドラゴン
+1 A・ジェネクス・クラッシャー
+2 ドッペルゲンガー
+1 王宮の弾圧


ヒーロービートを相手にする時のコツは徹底的な伏せへの干渉です。
順当に防御リソースを消費させ《ゴッドバードアタック》でモンスターを退けてしまえばほとんどの脅威は払いのけれます。
各種ヒーローには要所で《次元幽閉》《奈落の落とし穴》を当てて《ミラクル・フュージョン》に牽制を掛けておくのも重要で、何度か記事で紹介したようにヒーロービートは《ミラクル・フュージョン》が非常に強力ですからここだけは細心の注意を払ってゲームを進めましょう。
またメタビート的なデッキ相手に《王宮の弾圧》を投入する事に疑問を感じるかもしれませんが、これは《サイバー・ドラゴン》《ミラクル・フュージョン》《スターライト・ロード》と言ったモンスター展開を抑える事が出来るためヒーロービート相手には優秀な除去として機能します。
特に《スターライト・ロード》を気にしなくて済むのはとても楽で、伏せを退けずとも《ゴッドバードアタック》を積極的に発動して行けるのが強みです。
また、このデッキは《スターライト・ロード》以外にも《盗賊の七つ道具》や《神の警告》のような発動タイミングを選ぶ先伏せ必須のカードが採用されている事が多く、常にガバ伏せのような状態になるため《ドッペルゲンガー》が非常に有効です。
先行後攻に関わらず積極的に投入しましょう。そして忘れてはならないのがライフ管理です。
オネスト》を気にして動けなくなるパターンは最悪ですから、最低でも2000以上のライフをキープするように除去の当て方を検討してください。




「対儀式天使」

−1 冥府の使者ゴーズ
−1 ネクロ・ガードナー
−3 次元幽閉
−2 奈落の落とし穴
−1 聖なるバリア−ミラーフォース−
+2 サイバー・ドラゴン
+1 A・ジェネクス・クラッシャー
+1 ハリケーン
+2 天罰
+1 王宮の弾圧
+1 閃光を吸い込むマジック・ミラー


このサイドチェンジはとても簡単で、使う機会の無いカードを外し、逆に使えそうなカードを挿していくだけです。
各カードの役割もとてもわかりやすいものですし、例えば《サイバー・ドラゴン》は《BF−疾風のゲイル》とのシンクロで《インフェルニティ・デス・ドラゴン》を繰り出す要因であったり、属性が違うので《聖なるあかり》を戦闘破壊できたりします。
《A・ジェネクス・クラッシャー》は以前紹介したように《終末の騎士》と組み合わせる事で《神光の宣告者》を破壊できます。
互いに任意型の誘発効果を持つモンスターなので、チェーン1:《A・ジェネクス・クラッシャー》チェーン2:《終末の騎士》の順番でチェーンブロックを組めば、《神光の宣告者》は直前のチェーンブロックしか無効にできないため《A・ジェネクス・クラッシャー》には触る事が出来ず、例え手札に6枚の天使族を持っていたとしても破壊する事が出来ます。
《ハリケーン》は「貯め込み」を行う際に非常に有用なカードで、貯め込みを行うと相手にも幾らかの迎撃罠を用意されてしまうためこれもマストカウンターの一つになり得ます。
このデッキに対する基本的な戦い方は先日のデッキ紹介で行っていますのでそちらを参照になってください。




「対墓地BF」

−1 終末の騎士
−1 ダーク・グレファー
−2 サイクロン
+1 霊滅術師 カイクウ
+3 D.D.クロウ


ほとんどのデッキにおいて言える事ですが、ミラーマッチというものは非常に面倒で、このデッキにおけるそれは細かなアドバンテージの稼ぎ合いになります。
お互いの《D.D.クロウ》で《BF−大旆のヴァーユ》の効果成立には期待が持てませんから、基本は墓地に依存せずフィールド上の何かでアドバンテージを稼ぎだす事が目先の目標です。
僕の今回使用したタイプのものだとメインから《次元幽閉》を投入しているためサイドでの変更はほとんどありません。《次元幽閉》は墓地BFに対してももちろん有効で、上級BFモンスターを除外できれば後続の攻め手を断つ事ができます。
またこのミラーマッチにおいては《ダーク・アームド・ドラゴン》のようなパワーカードを手にした方が圧倒的な有利で、《強欲で謙虚な壺》や《闇の誘惑》では多少の回りを犠牲にしてでもとにかく強力なカードを多く集めるようにすると良いでょう。
そして注意点としてもう一点、《神の宣告》が挙げられます。
このカードはミラーマッチにおいてゲームを決定付ける最強レベルのカード、《ダーク・アームド・ドラゴン》《異次元からの埋葬》《異次元からの帰還》を止める事のできる数少ないカードなのですが、以前紹介したように墓地BFは瞬間的な打点の生産に長けており、召喚権を行使した後の場面でも《ダーク・グレファー》の特殊召喚から更なる追撃で残りのライフを一気に攫われてしまう可能性があります。
相手から同じように《神の宣告》を合わされてしまうと残りライフの具合から言ってまず生き残れません。発動の必要性があるかしっかりと見極める必要があるでしょう。




主流のデッキに関しては以上になります。
この構築の時点では存在しなかった六武衆相手に対する変更は考慮していません。
初めに述べたように今後墓地BFの運用を図るのであればその点をよく踏まえたチューンアップが必要になるでしょう。


長くに渡りましたが墓地BFのススメはこれで終了です!
途中紆余曲折しましたが色々言いたい事は言えたので個人的には満足です(笑)
稚拙な文章にお付き合いいただきありがとうございました。


今晩か明日あたりにたまりに溜まったコメントの返信を行おうと思います。
ではでは♪