墓地BFのススメ・後編 - 其の二

其の一 http://d.hatena.ne.jp/jspeed/20101123#1290510665

2.サイドデッキ構築

ここでは僕が実際に行っている構築の仕方を紹介したいと思います。
デッキの組み方なんていうのは人それぞれでやり方も千差万別ですが、少なからず僕自身はこの方法が最も効率的だと考えているので、興味のある方は是非参考にしてみてください!


まず第一段階として、環境に存在するデッキとメインデッキの状態でガッツリ対戦します。
都合大会に参加するのが一番手っ取り早いですね。友人間だけでこれを済ませるとデッキやプレイに偏りが生じやすいですし、相性差や構築内容を勘違いしてしまう事が良くありますから、出来るだけ多くのプレイヤーと対戦する事が望ましいです。
前回紹介したDOはこういった時にも大変重宝します。地域を跨いで全国のプレイヤーと対戦できますからね。
時には思わぬデッキやアイディアに巡り合える事もあるため時間が許すのであれば積極的に利用してみる事を勧めます。

一通りのデッキと対戦を終えたら次は各デッキに対する勝因・敗因の分析です。
平たく言えばどういう展開になったら勝ち、どういう展開になったら負けてしまうのか、という事をここではかなり掘り下げたところまで行います。
「かなり」です。簡潔であってはいけません。
「先行を取った方が勝ち」程度で話を打ち止めてしまうのは僕の中ではナンセンスな話で、「なぜ先行を取った方が有利なのか」は絶対に考える必要があります。
原因が割り出せれば、10年にも渡りカードがリリースされ続けたこの遊戯王と言うゲームのカードプールには必ず解答が存在します。
そこに行き着くためにも何がどうダメなのかは徹底して洗い出す必要があるでしょう。
過去の《自律行動ユニット》や《デビル・コメディアン》、それにここ最近の《ドッペルゲンガー》のような1枚はこうした過程を経て行き着いた選択肢です。
僕が過去にインフェルニティに《ドッペルゲンガー》を採用したのは先行の鳥獣+ガバ伏せへの回答としてでした。
単体の魔法罠セット⇒《サイクロン》・《砂塵の大竜巻》
複数のセット⇒《ゴッドバードアタック》
ガバ伏せ⇒《デルタ・クロウーアンチ・リバース》
先行のBFの対応力は凄まじいものですが、唯一これを潜り抜ける手段がモンスターの裏守備であったため、最終的なそれに落ち着きました。
理由の一つ一つを突き詰めれば何が必要なのかは自ずと見えてくるはずですから、分析という作業は非常に大切です。
勝因分析では「何が必要なのか」、敗因分析では「何が無駄なのか」をそれぞれ割り出し、そうした結果でサイドデッキとの入れ替えを検討していくのです。
またここが結構大事なところなのですが、順序立てると先に「何が無駄か判断」し、次に「何が必要なのか」を判断します。要はアウト候補から考え出すのが効果的です。
前項の悪いサイドデッキの例で記したように、入れたいものを用意し過ぎて抜くものが無いなんて言うのはよくある話で、また幅広いデッキを意識して行くためにも入れ替えの枚数は最低限に抑え、サイドデッキの枠に余裕を持たせるのが理想的です。
1番理想とするところは1枚も変えずに2本目以降の獲得を目指す事ですが、そんな事はよっぽど不可能で現実味がありませんから、「勝つための最低枚数最大効率」を意識しての構築を目指していきます。
前述したように、あまり多くの枚数を入れ替えすぎるとデッキ本来の動きが鈍くなってしまう事があるため、実際の動きを確認しながら随時手を加えていくのが良いでしょう。
それでは、ここで実際の構築の話に移ろうと思います。


サイドデッキの組み方には大きく分類して2つの方法があって、そのうちの一つは過去から現在に至るまでの主流、言わばサイド構築の王道「各種メタ」です。

環境に存在する各デッキに有効とされるカードをサイドデッキに散らしておき、相手に応じてその中から入れ替えを行うやり方で、《D.D.クロウ》や《天罰》のような堅実なメタカードの存在が目立つのが特徴ですね。
もう一つは「スイッチサイド」に代表される軸をずらすやり方です。
スイッチサイドと言うのは、サイドデッキの15枚枠をフルに活用して1本目とは違った戦い方を実現する方法で、ワンターンキルデッキが2本目以降ビートダウンデッキに化けると言うのはよくあるパターンです。
相手はワンターンキルデッキを想定したサイドチェンジを施すでしょうから、その変更につけ込んでデッキの内容を別方向にシフトさせ、幾つかの変更を無駄にさせようという考え方です。
ただしこの方法には致命的な欠点が存在していて、スイッチ前後両方の形が共に相手のデッキに対して有効で無かった場合、マッチを通して絶望的な状況になってしまいます。
さらにゲームが3本目にもつれこんでしまうと、スイッチの存在を知られてしまっている手前奇襲効果は薄れ、両方をケアした構えを取られやすくなりますから、かなり高い確率で1本目を先取できるデッキでもない限り、この方法は適切とは言えません。
ですが、相手を撹乱する事でミスを誘いやすく、いくらかのカードを完全に無力化する力もありますから、ハマった時のリターンは大きめです。
僕は前環境の初期形インフェルニティデッキでこの方法を用いました。
《D.D.クロウ》に代表されるメタカードに極端に脆く、《ヒーローズルール2》のような「メタカードに対するメタカード」でケアを図るよりは、軸をずらしたビートダウンの方が効率的だかと判断したからです。
メインデッキの勝ち方が《氷結界の龍 トリシューラ》の連発と非常に豪快であるため《聖なるバリア−ミラーフォース−》のような除去カードは外されやすい傾向にありましたし、優勝と言う結果を見てもとりあえずの成功を収めたと言えます。

D.D.クロウ×3枚
サンダー・ブレイク
ダスト・シュート
ライトニング・ボルテックス
ライトロード・ハンター ライコウ×2枚
異次元からの帰還
砂塵の大竜巻×2枚
次元幽閉×3枚
転生の予言


サイドから大量の除去カードと、ビートダウン戦術をサポートするカードを何枚か投入し、ワンターンキル以外の勝利の実現を目指しています。
また上で少し述べましたが「メタのメタ」というやり方は非常に効率が悪く、相手プレイヤーが想定したメタカードを投入し、引いた上で、なおかつ自分もそのタイミングに合わせてメタを引く事で初めて機能しますから、考えるだけでも頭が痛くなりますよね。
期待値を上げるためにも複数枚の投入が必要ですし、またこの手のカードは発動タイミングが限定的なものが多く、受けの姿勢に入ってしまい動きが鈍くなりがちです。
例に挙げたインフェルニティデッキの場合で言えば、僕は《D.D.クロウ》やミラーマッチの対応策として《紅蓮の指名者》を検討していました。
手札の公開・ライフの損失は近いターンでワンターンキルに移行できるのであれば関係なくなりますし、《ハリケーン》に対して発動可能で《マインドクラッシュ》のような失敗がほとんど無い事から非常に有効な手段だと考えたからです。
ですが実際にこれを試してみたところ、ライフコストが思っていたよりもシビアだったり、既に場に出てしまったカードには触れないため場のクロックがライフコストと合わせて一層の脅威になってしまったり、自分の手札が2ターン以内にゲームを決する事が出来るほどに強力な内容で無ければならない、といった様々な壁に当たり採用を断念しました。
もちろんこれは《紅蓮の指名者》自体のカードパワーが低い事も原因の一つとしてありますが、メタのメタとしての立ち位置に当たるカードはその傾向が強いため、何か特殊なコンボデッキでもない限りはこの方法は避けると良いかもしれません。