2011年後期の環境遷移

12月に入り、環境もいよいよ折り返し地点です。
普段は何も無い後期シーズンですが、今年は久方ぶりの冬季公式イベント・コナミトーナメントがあります。
この後のCSもたくさんありますし、トーナメント遊戯はまだまだ熱いです。
先のイベントに向け、現状のメタを整理しておきましょう!


まず一番に言いたいのが、今期は兎にも角にもデッキが多い事。
各選択肢に多少の優劣はありますが、どのアーキタイプもきちんと組み上げれば十分にチャンスのあるレベルです。上手い具合に環境が整備されてきた証だと思います。


その中でも頭一つ抜け出しているのがこのTG天使で、解決能力と殺傷力の2点が非常に秀でています。
ストライカー・ヴィーナスの展開力に然りヒュペリオン・開闢の使者の決定力に然りどの点を取っても一級品の性能です。
環境をリードしてきているだけあって総合的なパワーはピカイチ、生半可な構造では瞬く間にねじ伏せられてしまいます。
しかしながら、環境序盤から結果を出し続けてきたこのデッキのメカニズムは徐々に解明が進み、「デッキに6枚の代行者を軸とする都合、引きムラがある」「アース・TGのサーチ・謙虚によりテンポロスが発生する為、1ターンの遅れが致命傷になりやすい」等いくつかの問題点が浮き彫りとなりました。
そうした隙を的確に突いたのが「代償ガジェット」「カラクリ」です。
何故このタイミングでこれらのデッキが結果を残し始めたのかを疑問に感じているプレイヤーは少なくないと思いますが、両デッキの共通点は「比較的安定して序盤で脅威を展開する術を持つ」ところにあります。


代償ガジェットはデッキ名を冠する血の代償そのものが抜群の殺傷力を簡単に提供してくれます。
代償があれば有り余るほどの召喚権を獲得できる為、事前にガジェットを展開していく必要性が無く、前述したTGストライカー絡みの展開をケアできるのも大きな利点です。
またそれが無くとも1ターン場にガジェットが残ればTGという壁を否定するメロウガイストや、あらかたの大型モンスターを抑止するインヴェルズローチを召喚でき、天使側が少しでももたつくような事があればすぐさまこれに蓋をできます。これらの動きは上記に挙げた天使の問題点を的確に突いており、非常に有効な手立てです。
相手が焦って攻め急げば豊富に詰まれた罠やトラゴエディアで返り討ちにもできますからね。
「どうしようもないワンキル」を半ば強制的に相手に放棄させる事ができます。それをたった1体のガジェットで作り出せるのがこのデッキの良いところです。


ラクリも同様、早い段階でプレッシャーをかける手段を有しています。
前面の脅威こそ、ナチュルビーストやごく稀のランドオルス・ローチ程度と控え目ではありますが、それを補ってなお余りあるのが将軍シンクロを絡めた展開力です。
少ないリソースから連鎖的な展開を計り、一気に打点を膨らませる事ができる為、仕掛けを早いタイミングに、かつ能動的に設ける事ができるのです。
展開した打点で猶予時間を短く設定する事は結果的として相手の回答を狭める事に繋がりますし、返し手の消費を強制しています。
ラクリの動きは六武衆のそれと非常に近く、少ない防御手段をクロックの速さで支える構造です。
6枚積まれたサーチカードが理想の動きを達成する上で非常に有用で、初ターンで動き出す事も少なくありません。
能動的な展開を見ていけるパターンが多いので、相手の動きに依存しないのが売りです。


上記2種のアーキタイプは天使と五分ないしはそれ以上のゲームが可能で、現実的な選択肢として発覚するや否や一気に環境を席巻しました。
現環境最もパワーの高いデッキは間違いなく天使ですが、メタゲームの常、デッキ単位でのパワーは劣りつつも、環境デッキに勝ちうる要素があれば他の候補も有力な選択肢になります。


対天使を巡る動きの中で、ORDER OF CHAOSのリリースを受けデビューを果たしたのがインゼクターです。
今までに例を見ない奇抜な展開パターンは俗に言う「初見殺し」感がタップリで、動きとしても十分実戦レベルであった事から多くのプレイヤーがこの選択肢に着手しました。それはもう多くのプレイヤーが。
その為情報が急速に広まっていき、売りのはずだった初見殺し要素は、12月頭の今現在で早くも立ち消えになりました。
騒がれすぎた事も一つの要因として挙げられますが、比較的早い段階からカードプールを解禁していたDOの影響も大きかったかもしれません。
ちなみに現在時点でインゼクターに初見殺されてしまうのはかなり不味い、というか恥ずかしい事なので、事前に動きを学んでおく事をオススメします。
こちらの駒沢CC決勝の動画がインゼクターの流れを見る上では非常に良い教材となるので目を通しておきましょう。
相手の方もいい感じに初見殺されています。
http://www.youtube.com/watch?v=bkC4kepEzj8


また目立った結果こそ見せないものの、リクルーターを使っていたり、ゼンマイとハイブリットしていたりといくつか派生も存在する為、入賞リストの中身は軽くでも目を通しておくのが吉です。
突っ込んできたトマトに警告を打ち忘れてダンセルで崩壊しようものなら目も当てられません。
結果こそなかなか出ませんが、数は多いデッキなので必ず意識しておく必要があります。
またこの大流行の中で度重なるマッチングを経た結果、防御面の弱さが露呈し、TG天使に対する脆さが問題点の一つとして挙げられるようになりました。
自ターンでカードを破壊しながら動いていくというシステムが瞬間的な展開力に長けた天使というデッキ相手に絶望的な相性差を築いてしまったのです。
最近の天使は再びメインにバーミリオンやヴェーラーが戻っている傾向が強く、ストライカー絡みの展開を意識している相手に対して突っ張った結果返り討ちに会う展開も珍しくないでしょう。
ですが、繰り返し行使される破壊能力は罠を中心に組まれたデッキ相手に鬼のような働きを見せる為、アンチ天使の勢力全般に対しては有効な選択肢です。


インゼクターの流行を受けて天使が再び巻き返しを図っており、成立しつつある三つ巴の関係を、各々が何かしらのメタ手段で打開を目指しています。
その隙間を縫って忍者ラギア・ゼンマイのような新勢力が虎視眈々と進出の機会を伺っている状況です。
現在主流のデッキは選択肢間で共通項が少なく、サイドでしっかりメタろうとするとスロットを大きく圧迫してしまう為、今までマークの強かったデッキや新勢力も今なら比較的勝ちやすい状況にあると言えます。
ただ暗黒界のような「意識こそ薄くなったものの、インゼクターメタの余波を受けてしまう」といったような二次被害を被ってしまうケースもあるので、流れてくる情報はしっかりとキャッチしてメタの在り方を適宜把握しておきましょう。


最後に現存する各アーキタイプの流行度を記します。
常々思っていたのですが、遊戯界によく見られる「デッキランク」なるものが表す「何が強いかの格付」よりかは「何が多いか」の方が圧倒的に重要なはずですから、今回はランク付けは止めて、MTGのTier(「階層」等の意味があり、数字の若いものから順にシェア率の高さを表します。)の表記を用いました。
そうしないと暗黒界のような「特定の人物がやたらと結果を残すが、全体の分布自体は少ない」といったデッキの評価にブレが出ますからね。


Tier1
 TG天使
 インゼクター
Tier2
 カラク
 代償ガジェット
 ラギア
Tier3
 インフェルニティ
 純正天使
 ラヴァル
 六武衆
Tier4
 暗黒界
 ジャンド
 旋風BF
Tier5
 Xセイバー
 剣闘獣
 ゼンマイ
 ドラグニティ
 墓守
 ヒーロービート
 墓地BF
 ライトロード


Entrance・twitter・DOの情報が主なので実際の状況とブレがあるかもしれませんが、おおよそは正しいはずです。


以上です!それではまた次回更新まで^−^